クリスマスには、やはり新約聖書
何だか慌ただしくて、クリスマス・イヴという雰囲気には遠い昨夜でしたが、クリスマスには新約聖書を紐解かないと、忘れ物をしたような気持ちになります。
クリスチャンではありませんが、新約聖書の放つ白い柔らかな光に惹かれて、昔から愛読してきました。大学卒業間際に母が倒れ重態に陥った夜、枕許で紐解いたのも新約聖書でしたっけ。
2007年9月30日 (日)
手記『枕許からのレポート』
https://elder.tea-nifty.com/blog/2007/09/post_e32f.html
読むたびに、何らかの発見があります。
今日、目に留まったのは、イエスがローマ総督ピラトと問答する場面を描いたヨハネの記述でした。ピラトについて、ウィキペディアにはいろいろなことが書かれています。脚注の出典を見ると、比較的バランスよく引用されている気がします。
ポンテオ・ピラト(古典ラテン語:Pontius Pilatus (ポンティウス・ピーラートゥス)、生没年不詳)は、ローマ帝国の第5代ユダヤ属州総督(タキトゥスによれば皇帝属領長官、在任:26年 - 36年)。新約聖書で、イエスの処刑に関与した総督として登場することで有名。新約聖書の福音書の登場のほか、少し後の時代のユダヤ人の歴史家であるフィロンやフラウィウス・ヨセフスなどの歴史書においては、アグリッパ1世以前のユダヤ総督で唯一詳しい説明が存在する[1]。……(以下略)……
フランシスコ会聖書研究所訳『新約聖書』(中央出版社、改訂初版1984)の「ヨハネによる福音書」から引用します。
そこで、ピラトは再び官邸に入った。そして、イエズスを呼び寄せ、「お前がユダヤ人たちの王なのか」と尋ねると、イエズスはお答えになった。「あなたはご自分の考えでそう言うのですか。それとも、ほかの人がわたしについて、あなたにそう言ったのですか」。ピラトは言い返した。「このわたしがユダヤ人であるとでも言うのか。お前の国の人、また、祭司長たちが、お前をわたしに引き渡したのだ。お前はいったい何をしたのか」。イエズスはお答えになった。
「わたしの国は、この世に属していない
わたしの国がこの世に属していたなら、
わたしがユダヤ人の手に
引き渡されないように、
部下が戦ったことであろう。
しかし、実際、わたしの国は、
この世に属していない」。そこでピラトが、「では、お前はやはり、王なのか」と言うと、イエズスはお答えになった。
「わたしが王であるとは、
あなたの言っていることである。わたしは、
真理について証しをするために生まれ、
また、そのためにこの世に来た。
真理に属している人は皆、
わたしの声に耳を傾ける」。ピラトは、「真理とは何か」と尋ねた。
(フランシスコ会聖書研究所訳,1984,pp.384-385)
イエスに対してピラトがユダヤ人の王か、と問いかけ、イエスがそれはあなたの言っていることだと返す場面は、どの聖書記者も書いていますが、それ以外のここでの長い問答はヨハネしか書いていません。
そして、ピラトの「真理とは何か」という問に対するイエスの返答はなかったのか、後に削除されたのか、書かれていません。
イエスの言葉は、低次元であるこの世を包んで存在する、高次元の観点から語られた言葉であるように思われます。
そう考えると、ピラトの「真理とは何か」という言葉は愚問ですね。イエスは既に、真理とは何かについて、語っているからです。ピラトには、イエスの言葉を理解するだけのものが備わっていないことは明らかです。イエスは黙するしかなかったとも考えられます。
神秘主義的観点から新約聖書を考察した「マダムNの神秘主義エッセー」におけるオススメは、以下の記事です。
49 絵画に見る様々なマグダラのマリア
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2016/05/05/025512
目次
- 絵画によるマグダラのマリアの競演
- 東方教会が伝える、誇り高く行動的なマグダラのマリア(主の復活の第一証人、方々へ伝道、ローマ第二代皇帝にイエスの冤罪を直訴)
- イエスが結婚していたとする説
- イエスの愛しておられた者とは誰か?(横になって食事するローマ式だった最後の晩餐)
- イエス一家の棺の発見
- 「フィリポ言行録」について
105 トルストイ『戦争と平和』…⑥テロ組織の原理原則となったイルミナティ思想が行き着く精神世界
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2020/10/11/220929
目次
- なぜイルミナティズムとマルクシズムは酷似しているのか?
- 唯物史観は日本には当てはまらない
- 『共産党宣言』に出てくる「新エルサレム」は理想郷の喩えなのか?
- マルクスはサタニスト(悪魔崇拝者)だったのだろうか?
- 転向したイルミナティの元メンバーの告発動画
- シオン長老の議定書と新約聖書に出てくるパリサイ派
- 中国共産党に改竄された教科書のヨハネ福音書
- 2021年2月4日における追記
また、児童小説『不思議な接着剤』に、グノーシス主義の福音書文書の一つ 『マリアによる福音書』に登場するマグダラのマリアをモデルとした人物を登場させたいと思い、研究してきたノートを以下のブログで公開中です。2016年5月から収録できていませんが、No.100まであります。
創作ノート - 不思議な接着剤
https://etude-madeleine.blog.jp/