カテゴリー「児童文学」の189件の記事

2020年6月30日 (火)

8 本目のYouTube動画「風の女王」をアップしました。ビデオ・エディターの不具合で AviUtl へ。

あと、児童小説『ぼくが病院で見た夢』を前後編でアップしたら、動画作成はお休みにして、萬子媛をモデルにした童話、その後に新作能の執筆に入る予定でした。

ところが、ここへ来て、動画作成に利用しているMicrosoftフォトの機能ビデオ・エディターに不具合が発生するようになりました。

初めてビデオ・エディターで動画を作成したとき、完成後の動画に音のノイズが入っていました。あれこれやってみて駄目だったのでリセットしたらノイズが入らなくなり、その後はずっと正常に動画作成できました。

それが、昨日またノイズが入り、リセットしても駄目……。

3 度リセットしたあと、ノイズが消えたと思ってYouTubeにアップしたら、聴き逃しがあって、動画後半にノイズが 1 箇所入っていました。

何度も作成し直して頭がボーッとなってしまい、気づかなかったようです。

機械朗読動画なので、複雑なことはできなくてもよく、不具合さえ起きなければ使い続けたでしょう。でも、ノイズは気になります。

もうビデオ・エディターはワタクシ的には限界だと思い、夫が入れている無料の動画作成ソフト「AviUtl」を入れてみました。有名なフリーソフトなので、解説している人も多いです。

わたしが主に参考にしているのは、以下のサイト様。

AviUtlの易しい使い方
https://aviutl.info/

今日は AviUtl 本体と必要なプラグインを入れ、少しお勉強したところです。でも、使いこなすには時間がかかりそう。

ここで一旦動画作成をお休みして創作に入るか、予定の動画を作成し終えるかで、迷っています。萬子媛の童話が仕上がったら、これも機械朗読動画にするつもりなので、どちらにせよ、動画作成ソフトの使い方はある程度マスターする必要があります。

前述したように、1 箇所音のノイズが入っており、聴き苦しいと思いますが、当ブログにもアップしておきます。よろしければ、ご視聴ください。

 

風の女王
https://youtu.be/9Bvfl3O-VaY

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2020年6月20日 (土)

6本目のYouTube動画『ぬけ出した木馬(後編)』をアップ。さわやかな美味しさ、モロゾフの「瀬戸内レモンのプリン」。(追記、青文字)

モロゾフの「瀬戸内レモンのプリン」、さわやかな美味しさでした。

Img_2892_a

6本目のYouTube動画『ぬけ出した木馬(後編)』をアップしました。字幕は自動生成に任せたままで、編集(書き直し)していません。明日はちょっと無理かもしれませんが、なるべく早くやります(追記: 6月20日15時に字幕校正済み)。今回朗読してくれたのは、前編に続いて、標準語話者 のぞみ です。

『ぬけ出した木馬(後編)』https://youtu.be/1lvIIDVL4eI 

 ※前編はこちら → https://youtu.be/RcPTg6hHRPk

なんか、最近こればっかりやっていて、これだけで消耗してしまっている感じですが、今後の予定は前記事でお知らせした通りです。

梅雨に入って、湿っぽいですね。新型コロナ予防に加えて、梅雨に対応した体調管理も必要ですね。あなた様も、どうか、ご自愛ください。洗濯物が乾きにくいですが、我が家では小型のサーキュレーターがフルに活躍してくれています。

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2020年6月11日 (木)

4本目の文学動画『卵の正体(後編)』を作成、アップしました。動画作成のあれこれ。

電子書籍化した作品(KDPセレクトに登録していないもの。セレクト登録作品はアマゾンでしか公開できません)と公開済みのブログ記事を動画作成のもとにしているので、校正の手間はないのですが、それに匹敵する作業はあり、それはナレーションソフトの標準語話者のアクセント調整と、自動字幕内容の訂正です。

ナレーションソフト『かんたん!AITalk®3 5話者パック(標準語)』(株式会社エーアイ)の使い方はシンプルで、難しくはありません。AHS ストアで購入しました。税込価格 19,800 円。「お買い上げ5000円以上送料無料」、「代引手数料は弊社にて負担させていただきます」とのことで、19,800 円の出費で済みました。

個人の範囲であれば、「YouTubeなどのウエブへの映像作品のナレーションに使用」、「動画への広告掲載(アフィリエイト行為)」、「ホームページ、ブログなどで 私的に利用」することが可能という、一部改訂になったこの利用許諾内容には感謝してもしきれません。

6年前に変な(?)動画を初作成したときから、ちゃんとした文学動画を作成したいという夢がありました。それにはナレーションソフトが必要だと思い、フリーソフトも試しましたが、触発されるものがなく、半ば諦めていました。

標準語話者のぞみ、かほ、ななこ、せいじ、あんず。せいじは男性、あんずは子供の音声。音声効果には音量、話速、高さ、抑揚があり、調整次第では、相当な効果が出せるのではないでしょうか。

〈のぞみ〉の音声は、『マドレーヌとわたし』のような童話にぴったりだと思いました。なぜか、スーパーが「シューパー」、馬が「ば」になる箇所があり、どうしても直りませんでした。「馬」が行の頭にくるからだろうと思い、平仮名や片仮名にしてみても「ば」と読みます。

科学的な用語が出てくるファンタジー『卵の正体』には、むしろ棒読みっぽい〈ななこ〉のほうがクールな感じが出て合うように思いました。〈せいじ〉の音声はアナウンサーのように聴こえます。

優秀な標準語話者達ですが、人間の声が持つ、情感から来る陰影などはさすがに望めないため、朗読動画を作るにはバックミュージックが必要だと思いました。ありがたいことに、音楽素材を無料配布してくださっているサイトがあります。写真素材を無料配布してくださっているサイトもあります。

字幕をきちんとつけておけば、それをもとに視聴者がGoogle翻訳で外国語にすることも可能なので、頑張ってつけてみました。自動翻訳を利用してつけました。自動翻訳そのままでは、例えばマドレーヌが所々「窓霊夢」「窓 m」、ペガーズが「ぺ guards」になっていたりして、そのままでは使えません。書き直しが必要です。

萬子媛をモデルとした新作能にチャレンジするつもりで準備中なのですが、同じような内容で、まず短い童話にしてみたいと考えています。

https://youtu.be/LLk4o9qakgc

日本語字幕を付けています。画面の右下に表示されている字幕アイコンをクリックしてみてください。全画面にすれば、文字も大きくなるので、わたしの老眼にもつらくありません。 

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2020年6月 7日 (日)

児童小説『卵の正体』(前編)の動画をYouTubeにアップしました

15分以内に収めるつもりで作成していましたが、無理で、前後編になります。まずは前編。Microsoft10に標準でインストールされているフォト(のビデオエディター)を使って動画作成しています。

あまり複雑なことはできそうにありませんが、今のわたしにはぴったりです。今回、フォトで初めて動画作成したとき、完成作を視聴すると、音声に3カ所も目立つノイズが入っていました。

わあ困ったと思い、リセットして駄目ならしばらく動画編集を諦めるつもりでやってみたら、治りました。フォトではブログにアップする写真を修正するくらいにしか使っていなかったからよかったものの、リセットすれば、当然ながらフォトに保存していたものは消えてしまいます。

Kindle書籍にしている作品の中で、KDPセレクトに登録していない作品は動画にしてしまいたいと思っています。途中で力尽きなければ。案外、時間がかかるのです。

セレクトに登録している作品は、アマゾンでしか発表できません。尤も、キャンペーン中でなければ、セレクト登録を解除することはできます。

ただセレクトに登録している作品は、比較的長いものが多いので、動画にはむかない気がします。99円の児童小説シリーズは、長さが動画にぴったりだと思いましたが、これでも少し長いです。最初に作成したマドレーヌが一番短いかな。

https://youtu.be/nrrTZbxKI0g

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2020年6月 5日 (金)

横田滋さんのご冥福をお祈り致します。久しぶりに動画を2本作成、YouTubeにアップしました。

ここ数日、動画作成に没頭していたので、アメリカで暴動が起きたことくらいしか、ニュースのチェックができていませんでしたが、この記事を書く前にざっとチェックしたところ、横田めぐみさんのお父様がお亡くなりになったと知り、何ともいえない気持ちになりました。

今年で戦後75年になるのに、自国を守るためのまともな軍隊すら持てない異常な国。とことん嘗められるだけですね。悔しい。拉致被害者は他にも沢山おられます。九条信者は直ちに、九条と共に北朝鮮へ行って、拉致被害者を救出してきてくださいよ。でなければ、もう、あなたがたの偽善的な戯言は、一切信じない。受け付けない。悔しくてたまらない。

動画作成について、長い記事を書くつもりでしたが、その気が失せました。動画、アップしておきます。気が向かれたら、ご視聴ください。

前の記事で、次のようなことを書きました。

「ITalkシリーズ(ナレーションソフト)の利用許諾内容が一部改訂になっており、個人の範囲であれば、「YouTubeなどのウエブへの映像作品のナレーションに使用」、「動画への広告掲載(アフィリエイト行為)」、「ホームページ、ブログなどで 私的に利用」することが可能になったと知ったからでした(この件について情報が必要なかたは、必ず、ご自身でお確かめください)。

注文していたソフトが届いたので、さっそく使ってみたのでした。わたしが購入したソフトには、標準語話者のぞみ、かほ、ななこ、せいじ、あんず――が存在しています。調整が大変ですが、不慣れな調整者に応えて、よく頑張ってくれたと思います。

こればかりやっているわけにはいかないので、今作成中の動画が仕上がれば、創作に戻ります。気づいたことが色々とあるので、それについては後日、記事にします。

https://youtu.be/21bq186PwcE

https://youtu.be/RcB_1zlmt_E

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2020年3月19日 (木)

Kindle版『不思議な接着剤1: 冒険前夜』をKENPCでお読みいただき、ありがとうございます!

シリーズ物となる予定の第1巻目『不思議な接着剤1: 冒険前夜』(ASIN:B00NLXAD5U)をKENPCでお読みいただきました。ありがとうございます!  KENPCでお読みいただいたのは3月18日、今回で3回目でした。これまでに1冊お買い上げいただいています。

Amazon「商品の説明」から引用します。

内容紹介
次巻で、中世ヨーロッパへ、時間旅行をすることになる3人の子どもたち。
本巻では、それを可能にしてくれる不思議な接着剤と子どもたちとの出あいをえがきます。
不思議な接着剤「クッツケール」は賢者の石100パーセントの超化学反応系接着剤、発売元はアルケミー化学工業株式会社。
「クッツケール」の背後には時空をこえて商売の手をひろげる企業連合の存在がありますが、この作品ではまだほんのり、すがたを感じさせるていどです。
不思議な接着剤に出あった子どもたちの心の動きを鮮やかにえがき出し、生きることの美しさ、せつなさを訴えかけます。

本文より
{ 瞳は、竹ぐしとパレットナイフを用いて、ケーキを型から取り出す作業を進めながら、しずかに話を聞いていました。
 ですが、翔太に起こったこと――いえ、弟に自分がしでかしたあやまちを紘平が話したとき、瞳は身をふるわせて作業をやめました。
「ねえ、紘平くん。それって、夢とか、ゲンカクとかじゃないの? わたし、しんじられない」
 瞳は、かしこそうな目をすずしげに見開いて、それ以上、紘平が話しつづけることを拒否するかのようでした。}

もくじ
1 おとうさんの部屋で
2 くっついたピアノ協奏曲
3 どうすればいいのか、わからない
4 青い目のネコ
5 明日は、しあさって
6 冒険へのいざない
あとがき

※本書は縦書き、小学4年以上で習う漢字にルビをふっています。

不思議な接着剤1: 冒険前夜  ¥250
https://amzn.to/2Ok2hp4

他の児童小説を紹介します。

田中さんちにやってきたぺガサス ¥500(中編児童小説)
https://amzn.to/2NUhJcd

すみれ色の帽子 ¥309(日記体児童小説。『不思議な接着剤』に登場する少女、瞳の日記です)
https://amzn.to/2CNZkYu

(以下は、99円の短い児童小説シリーズです)

卵の正体  ¥99
https://amzn.to/2QoMOql

ぼくが病院で見た夢  ¥99
https://amzn.to/2KvUWS7

ぬけ出した木馬  ¥99
https://amzn.to/2NSQvTr

花の女王 (児童書) ¥99
https://amzn.to/2CSOsbG

マドレーヌとわたし(漢字使用) ¥99
https://amzn.to/2XlDMfa

マドレーヌとわたし  ¥99
https://amzn.to/33XESjJ

※『花の女王』は四大(地水火風)シリーズのうちの1編で、地がモチーフです。風がモチーフの『風の女王』は、電子書籍にはしていません。当ブログにアップしていますが、当記事でもライン以下にアップしておきます。気が向かれましたら、どうぞ。
 まだ水と火が残っています。中編にするのもいいな……と考えています。

 

以下はアマゾン・キンドルストアの著者ページです。拙電子著書一覧を御覧いただけます。

Amazon.co.jp: 直塚万季: 作品一覧、著書略歴
https://www.amazon.co.jp/-/e/B00BERQ7P0

 

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2019年7月 7日 (日)

岩波少年文庫の総選挙。お小遣いで初めて買った小説、ベルテ・ブラット(石丸静雄訳)『アンネは美しく』(偕成社、1970)

ツイッターで岩波少年文庫の総選挙(?)があっていたので、わたしもツイートしました。

ただ、考えてみると、子供のころに岩波少年文庫の本を読んだ記憶がありません。創刊は1950年で、わたしが生まれたのは1958年の2月ですから、書店や学校の図書室あるいは市の図書館によく行っていたことから考えると、不思議でした。

リンドグレーンの作品は、『長くつ下のピッピ』を家で買って貰った講談社「世界の名作図書館」に収録されていたもので読み、続編や他のリンドグレーンの作品(やかまし村、やねの上のカールソン、名探偵カッレなど)は小学校の図書室で読んだように思いますが、全てハードカバーでした。

ウィキペディア「岩波少年文庫」

岩波少年文庫(いわなみしょうねんぶんこ)は、日本の出版社・岩波書店が出版している児童文学の叢書である。小B6判・並製。

沿革
1950年12月25日創刊。初回の刊行はスティーブンスン『宝島』、ウェブスター『あしながおじさん』、ディケンズ『クリスマス・キャロル』、ハムズン『小さい牛追い』、ケストナー『ふたりのロッテ』の5冊であった。当初の装丁はソフトカバーであったが、1954年にハードカバー化された。ケースもしっかりした厚紙であった。
1961年12月16日までに第一期(全100点、121冊)・第二期(全72冊)合計193冊の刊行が完了。以後、児童書については単行本および、岩波少年少女文学全集全30巻(1960〜1963年)、個人全集の刊行に力が入れられ、岩波少年文庫の新刊は10年余り刊行されなかった。
1974年、第一次オイルショック による物価高騰の影響を受け、ソフトカバーの軽装版で新刊の刊行を再開。1983年までに全68冊が刊行された。
1985年には創刊35周年を迎え、4色刷のカバーの新装版が発行された。この時、背表紙の色が対象年齢別に、ピンク(小学生中級〜)、黄色(小学生上級〜)、水色(中学生〜)の3種に色分けされた。その後、1991年までに全51冊が刊行された。
1995年には創刊45周年を記念して新刊の刊行を再開。これ以降、新刊の刊行は継続している。2000年には創刊50周年を迎え、左右の幅を7mm広げた新しい判型が採用された。
2010年には創刊60周年を迎えており、総発行点数は約400、総発行部数は約3,100万部に達している。

「岩波少年文庫」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年6月12日 05:47 UTC、URL: http://ja.wikipedia.org

謎が解けました。

1961年に第一期・第二期の刊行が完了したとき、わたしは3歳です。その後ブランクがあり、再び刊行の再開されたのが1974年。わたしは16歳になっていました。

再開後の岩波少年文庫の本が書店や図書館に並ぶころにはもう高校生ですから、岩波少年文庫ではなく、岩波文庫や新潮文庫などの本を読むようになっていたはずです。それで、子供のころは岩波少年文庫の本とあまり接点がなかったのでしょう。

話は変わりますが、わたしが初めてお小遣いで買った小説は、ノルウェーの女性作家ベルテ・ブラット著、石丸静雄訳『アンネは美しく』(偕成社、1970)でした。中学一年生のときだったと思います。定価430円とあります。

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宝物となって、今も書棚にあります。絵が物語るように、堅実で情感豊かな16歳の少女アンネが18歳になるまでを描いた、ジュニア小説です。

ノルウェー西部のフィヨルドの奥で育ったアンネは、牧師夫人の仲介で都会に出、住み込みの女中のアルバイトをしながら高校を卒業するまでの顛末が純愛をテーマとして描かれます。

最新設備を備えた都会の家で、アンネは田舎娘としての頓珍漢な行動で周囲を苛立たせますが、彼女にはバイオリンと編み物の特技がありました。

編み物をして生活費の不足を賄い、音楽一家と知り合ってからはバイオリンの腕が生きます。しかも、アンネは容貌が整っていて、特待生を目指すほど優秀でした。

わたしは当時、読みながら自分とアンネを比べて、あまりに大人びた、しっかりしたアンネに感心しながらも、話ができすぎているとも思いました。

編み物はわたしが中学校のころ、バレンタインデーに男子に贈るマフラーを編むのが流行っていました。マフラーくらいは編めたとしても、それで生活費を稼ぐなど想像できませんでしたし、楽器にしても、ピアノを習ってはいましたが、わたしは音大を目指している友人とは心構え自体が違うだけでなく、アンネは一日に何時間も練習している友人とも違って、さほど練習もせずに人前にバイオリニストとして立てるほどの腕前でした。

アンネには様々な苦労がありますが、音楽一家に育った青年イエスと恋に落ち、その恋は大小の起伏を交えながらゆっくりと育っていきます。小説は、二人の明るい前途を暗示して終わります。訳者の解説を読むと、続編もあるようです。

アンネはイエスと結婚して音楽の町ザルツブルクに住み、子供に恵まれ、パリで音楽の修行を続けようとするイエスのために奮闘するようです。

登場人物がヨーロッパのあちこちへ移動するのが不思議で、ヨーロッパ全体が一つの国のようだと思ったことを覚えています。

『アンネは美しく』は、『赤毛のアン』の系統に属する作品ではないかと思います。

こういうと顰蹙を買うかもしれませんが、わたしはアンはわざとらしく、騒々しく思えて、あまり好きになれませんでした。率直で、生真面目で、駆け引きなど思いつきもしない、静かなアンネのほうが好きでした。

自分の性格がアンかアンネのどちらかに似ていたために、アンが嫌いだったのかどうかはわかりませんが、自分の子供っぽさに自覚があったのは確かで、アンネの静穏な魅力に惹かれ、大人っぽい判断力と行動にあこがれたのでしょう。

訳者の石丸静雄氏の経歴をウィキペディアで見ると、石丸氏は佐賀県生まれで、『ニルスのふしぎな旅』を著したセルマ・ラーゲンレーフの神秘主義的な小説『幻の馬車』(角川文庫、初版1959、再版1990)の訳者でもあられるようです。原文がどのようであるかは知りませんが、邦訳の美しさは印象に残っています。

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2019年5月26日 (日)

『帰ってきたメアリー・ポピンズ』で、自分がどこから来たかをムクドリに語る赤ん坊 (4) 

森恵子『P.L.トラヴァース』(KTC中央出版、2006)を参考にすると、トラヴァースはジョージ・ウィリアム・ラッセル(George William Russell,筆名AE,1867 – 1935)、アルフレッド・リチャード・オレイジ(Alfred Richard Orage,1873 - 1934)、ジョージ・イヴァノヴィチ・グルジェフ(George Ivanovich Gurdjieff,1866年 - 1949)の順に出会ったようだ。

森によると(2006,p.18)、トラヴァースとジョージ・ラッセル(AE)の出会いは1925年。ラッセルは57歳、トラヴァースは25歳だった。ラッセルはトラヴァースを「『娘、助手、徒弟あるいはその三つを合わせたもの』と考え目をかけてくれた」。また、「精神世界について、妖精物語や神話の意味、東洋の宗教などについて教えを受けた。AEが重要視していたのは、アイルランドの国家ではなく、そこに広がって存在する精神的な結び付き、霊的な一族であった」。

交友関係はラッセルが1934年に亡くなるまで、10年近くに及んだ。森によると(2006,p.29)、ラッセルはトラヴァースの「師でもあり恋人でもあった」。メアリー・ポピンズの初期の作品にロマンティックなムードが漂っているのも、頷ける。

ウィキペディア英語版、日本語版の「ジョージ・ウィリアム・ラッセル」には、神智学協会やヘルメス協会は出てきても、グルジェフ関連の記述は見当たらない。ラッセルはグルジェフとは接触がなかったようである。

ウィキペディア日本語版には、ラッセルが神智学団体のまとめ役や相談役も担ったとあり、次のような記述もある。

1880年頃から神智学に興味を持ち始めた。1885年に学友ウィリアム・バトラー・イェイツがダブリンにヘルメス協会を設立した際にはすぐ加入しなかったが、この組織が神智学協会へと改組されると参加し、さらに1898年にはこの組織を抜けて自らヘルメス協会を復興させた。
「ジョージ・ウィリアム・ラッセル」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2016年7月24日 15:57 UTC、URL: http://ja.wikipedia.org)

ウィキペディアのヘルメス協会というのは、The Hermetic Order of the Golden Dawn のことではないかと思う。

「黄金の夜明け団」と邦訳される、英国フリーメーソン系英国薔薇十字協会の3人のメンバーによって創設された神秘主義的結社である。

亡き母に捧げられた「風にのってきたメアリー・ポピンズ」は1934年に出版されたが、「メアリー・ポピンズ」シリーズの基となった詩や短編が1923年から見られるという。

1935年7月にラッセルが癌で亡くなった3か月後の10月に書き上げられ、同年出版された「帰ってきたメアリー・ポピンズ」には、最後までこの作品のことを心配していたラッセルの助言が生きているそうだ。

「メアリー・ポピンズ」シリーズ初期の1、2巻にラッセルの影響が色濃く、アイルランドの妖精物語や神話などに交じって神智学の影響が見られるのも、長かった2人の関係を考えれば、不思議ではない。

ちなみに、英語版ウィキペディア「George William Russell」によると、トラヴァースがラッセルを知ったとき、彼は既婚者だった。1898年にバイオレット・ノースと結婚しており、1932年の妻の死はラッセルに大きな打撃だったらしい。ラッセルの気前のよさともてなしは伝説的だった(Russell's generosity and hospitality were legendary.)。以下の記述からすると、特に若い作家に対してそうだったのだろう。トラヴァースもその恩恵に与った一人だったのだ。

He was noted for his exceptional kindness and generosity towards younger writers: Frank O'Connor termed him "the man who was the father to three generations of Irish writers", and Patrick Kavanagh called him "a great and holy man". P. L. Travers, famous as the creator of Mary Poppins, was yet another writer who gratefully recalled Russell's help and encouragement.
「George William Russell」『フリー百科事典 ウィキペディア英語版』。2019年5月25 22:45 UTC、https: //en.wikipedia.org

トラヴァースがラッセルを通じてオレイジと知り合ったのは1933年である。出会いの翌年、1934年にオレイジは亡くなっている。

英語版ウィキペディア「Alfred Richard Orage」を閲覧したところでは、オレイジと神智学協会の関係は1890年代後半から1907年までである。

In 1906 and 1907 Orage published three books: Consciousness: Animal, Human and Superhuman, based on his experience with theosophy; Friedrich Nietzsche: The Dionysian Spirit of the Age; and Nietzsche in Outline and Aphorism. Orage's rational critique of theosophy evoked an editorial rebuttal from The Theosophical Review and in 1907 he terminated his association with the Theosophical Society.
「Alfred Richard Orage」『フリー百科事典 ウィキペディア英語版』。2019年5月15日、04:22 UTC、https: //en.wikipedia.org

1906年と1907年にオレイジは3冊の本を出版した。その内容が The Theosophical Review からの反論を呼び起こし、それが原因で彼は1907年に神智学協会との関係を断ったようである。The Theosophical Review は、アニー・ベサントとG・R・S・ミードを編集者としてロンドンで刊行された月刊誌。

オレイジの著作のタイトルから見る限り、オレイジ独自の思想が神智学と関連付けて織り込まれているのではないだろうか。

1914年にはグルジェフと関係の深かったウスペンスキーと出会い、1922年にはグルジェフと出会っている。それから亡くなるまで、オレイジはグルジェフの助手として働いた。

このことから考えると、オレイジの最晩年にしか接触がなかったトラヴァースがオレイジからグルジェフへの関心をもたらされたことはあったとしても、神智学の影響を受けたとは考えにくい。

「メアリー・ポピンズ」の初期の2作品からはまぎれもなく神智学の雰囲気が感じとれるから、トラヴァースの神智学への関心はやはり、ラッセルとの交際によってもたらされたものではないだろうか。それも、彼女は直にブラヴァツキーの代表作を読んだのだとわたしには思える。

そして、ラッセル亡き後、トラヴァースはグルジェフに傾倒していったのだろう。

「帰ってきたメアリー・ポピンズ」に話を戻そう。

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以下は未整理のオレイジに関するノート。

英語版ウィキペディア「Alfred Richard Orage」によると、アルフレッド・リチャード・オレイジAlfred Richard Orage(1873 - 1934)は、小学校の教師時代に独立労働党(Independent Labour Party。かつてイギリスに存在した社会主義政党)に関わり、その後プラトンを7年間、ニーチェを7年間、マハーバーラタを7年間学んだ。

1890年代後半、従来の社会主義に幻滅したオレイジは神智学に転向。1907年に神智学協会との関係を断った。

オレイジは1907年に週刊誌「ニュー・エイジ(The New Age)」を買い取って、編集者としての辣腕を振るった。

「ニュー・エイジ」の寄稿者はフェビアン協会のメンバーが多かった。

ウィキペディア「フェビアン協会」(「フェビアン協会」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年2月20日 13:32 UTC、http://ja.wikipedia.org)によると、フェビアン協会(Fabian Society)は1884年にロンドンで設立された。漸進的な社会変革によって教条主義的マルクス主義に対抗し、暴力革命を抑止する思想や運動をフェビアン主義(フェビアニズム)と呼ぶ。労働党の基盤の団体として、現在も存在。 

ファビアン協会のメンバーにはジョージ・バーナード・ショー(George Bernard Shaw,1856 – 1950)、イーディス・ネズビット、ハーバート・ジョージ・ウェルズ(Herbert George Wells,1866 – 1946)など作家もいて、1907から1933年にかけて神智学協会の第2代会長
を務めたアニー・ベサント(Annie Besant,1847 – 1933)も初期のメンバーの一人だった。

オレイジはその雑誌の傾向を変化させていく。キャサリン・マンスフィールドも寄稿したようである。

オレイジはグルジェフとの関係には紆余曲折あったようだ。ウィキペディア英語版の記述からすると、オレイジはグルジェフに結構こき使われているようにわたしには映る。

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2019年5月24日 (金)

『帰ってきたメアリー・ポピンズ』で、自分がどこから来たかをムクドリに語る赤ん坊 (3) 

ここでちょっと書いておくと、わたしはグルジェフに関する著作を読んだことはなかったが、オカルト情報誌『ムー』でたびたび目にしていた。

また短編小説の名手キャサリン・マンスフィールドが結核末期にグルジェフの施設に駆け込み、そこで亡くなったことをマンスフィールドの年表や伝記を通して知っていた。書店でグルジェフに関する著作を手にとってみたことは何度もあったが、読みたいという衝動が起きなかった。

マンスフィールドについて少し書いておくと、彼女の作品は一幅の絵のように印象的である。登場人物が息を呑むほど精緻に描写され、人生の深みに誘い込まれる。

一例を挙げよう。キャサリン・マンスフィールド(安藤一郎)『マンスフィールド短編集』(新潮社⦅新潮文庫⦆、1979改版)所収「パーカーおばあさんの人生」の次の断章。

「おばあちゃん! おばあちゃん!」小さな孫息子は、ボタンどめの深靴のまま、彼女の膝の上に立った。外の遊びから帰ったばかりだった。
「これ、おばあちゃんのスカートが台なしになっちゃうじゃないか――いけない子だね!」
 だが、孫は彼女の首に手を巻きつけて、頬を彼女の頬にすりつけた。
「おばあちゃん、一ペニーちょうだい!」とねだった。
「あっちへいきなさい、おばあちゃん、お金なんかもってないよ」
「うそ、もってるよ」
「いえ、もってません」
「うそ、もってるよ、一ペニーちょうだい!」
 もうそのとき、彼女は古い、ぐにゃぐにゃになった、古い皮財布をまさぐっていた。
「それなら、お前はおばあちゃんに何をくれる?」
 孫は、ちょっと恥ずかしそうな笑い声をたて、いっそう近くくっついてきた。その瞼がふるえながら、彼女の頬にあたるのを感じた。「なんにも、もってないもの」と彼は小さな声で言った。(マンスフィールド,安藤訳,1979,pp37-38)

言葉を尽くして博愛やかよわい生命のいじらしさを説くよりも、この断章一つ示すほうが効果的なのではあるまいか。

実は、この孫は既に死んでいるのである。これは、パーカーおばあさんの回想なのだ。

この孫が死なずに成長したらどうなっていただろう(とんだ祖母不幸な男に育った可能性だってある)と思ったりするが、マンスフィールドの作品の登場人物には誰にも彼にも未来が閉ざされているようなはかなさが付き纏っている。そこのところがわたしには不自然な気がするというか、物足りないところだった。

マンスフィールドの描写力を羨望したヴァージニア・ウルフのような知的処理がなされないだけに救いがなく、真実の半分が欠落しているような気がしてしまう。

キャサリン・マンスフィールド(崎山正毅&伊沢達雄訳)『幸福・園遊会 他十七篇』(岩波書店《岩波文庫32-356-1》、1969)の巻末「年譜」(マンスフィールド,崎山&伊沢訳,1969,「年譜」p.409)に、彼女が1922年10月、「奇跡を求めてフォンテンヌブローのグルディエフ・インスティテュート(一種の精神療法を唱えるロシア人グルディエフの創立になる)にはいる」とある。翌年の1月9日、34歳で亡くなっている。

グルジェフの著作の邦訳版は次の3冊が出ているようだ。

ベルゼバブの孫への話―人間の生に対する客観的かつ公平無私なる批判
G.I.グルジェフ (著), 浅井 雅志 (翻訳)
出版社: 平河出版社 (1990/08)

注目すべき人々との出会い 
G.I.グルジェフ (著), 星川 淳 (翻訳)
出版社: めるくまーる (1981/12/1)

生は「私が存在し」て初めて真実となる
G.I. グルジェフ (著), Georgei Ivanovitch Gurdjieff (原著), 浅井 雅志 (翻訳)
出版社: 平河出版社 (1993/08)

残念ながらわたしが利用している図書館にはない。次の4冊がある。

グルジェフ・ワーク―生涯と思想 (mind books)
K.R.スピース (著), 武邑 光裕 (翻訳)
出版社: 平河出版社 (1982/08)

覚醒の舞踏―グルジェフ・ムーヴメンツ 創造と進化の図絵
郷 尚文 (著)
出版社: 市民出版社 (2001/6/1)

回想のグルジェフ―ある弟子の手記
C.S. ノット (著), Charles Stanley Nott (原著), 古川 順弘 (翻訳)
出版社: コスモスライブラリー

グルジェフ伝―神話の解剖
ジェイムズ ムア (著), James Moore (原著), 浅井 雅志 (翻訳)
出版社: 平河出版社 (2002/3/1)

ネット検索で、グルジェフに関するサイトを発見した。リンク禁止とは書かれていないようなので、紹介しておく。

グルジェフの著作・音楽・舞踏|創造と進化の図絵|電子版全集
http://gurdjieff.la.coocan.jp/index.html

サイトの「生涯に関する叙述」中「1885?~ たどり着きがたい場所への旅/人間をめぐる謎の究明」の次の記述を読む限り、グルジェフが神智学の影響を受けたとは到底思えない。

二分化された意識構造から生じる異常性の例として、グルジェフは、「いちおうは目が覚めた状態」にある人々がもっぱら顕在意識の支配下で見せる行動や思考の異常性にも目を留めた。戦争と動乱の絶えない時代にあって、グルジェフはしばしばその現場を目撃したが、もっとありふれた状況のなかでこれについて徹底的に解明するための研究対象としてグルジェフが目を留めたのは、ちょうどそのころロシアやヨーロッパで大流行していた神智学運動やオカルティズムを背景にして、いわゆる「精神世界」に夢中になる人たちが呈する思考と行動における異常性だった。(HC)

グルジェフは、みずからその分野での「専門家」になりすまし、神智学運動やオカルティズムを追求する組織や団体と接触し、この「哀れむべき病気」のさまさまな症例を研究する(HC)。これは「まやかしの研究と実習」として、のちにグルジェフが設立した学院のカリキュラムにも組み込まれた。
Home > Introduction > 生涯に関する叙述 4/14 1885?~ たどり着きがたい場所への旅/人間をめぐる謎の究明
http://gurdjieff.la.coocan.jp/life/life_04.htm

が、接触があったことは間違いないのだろう。

トラヴァースはグルジェフを通してではなく、直接ブラヴァツキーの著作に触れたのではないだろうか。その後、グルジェフに傾倒していったのを物語るように、メアリー・ポピンズの初期の作品にしかブラヴァツキーの神智学を連想させられるような文章は見い出せない。

だが、グルジェフの死後、トラヴァースは、神智学と関係の深かったクリシュナムルティをグルジェフの再来として崇拝したようだから、メアリー・ポピンズの物語が全体として神智学の香気に包まれていても不思議ではない。

前掲サイトから、キャサリン・マンスフィールドの最期から埋葬後までの情報を得ることもでき、貴重である。

キャサリン・マンスフィールドの思い出 (チェスラヴ・チェコヴィッチ回想録より)
http://gurdjieff.la.coocan.jp/life/PDF/quote_0801.pdf

以下は、ウィキペディア「ゲオルギイ・グルジエフ」の解説より引用。

ゲオルギイ・イヴァノヴィチ・グルジエフ(ロシア語: Гео́ргий Ива́нович Гурджи́ев, George Ivanovich Gurdjieff、 1866年1月13日? - 1949年10月29日)はアルメニアに生まれ、一般に「ワーク」として知られる精神的/実存的な取り組みの主導者として、および著述家・舞踏作家・作曲家として知られる。ロシア、フランス、アメリカなどで活動した。
ギリシャ系の父とアルメニア系の母のもとに当時ロシア領であったアルメニアに生まれ、東洋を長く遍歴したのちに西洋で活動した。20世紀最大の神秘思想家と見なされることもあれば、怪しい人物と見なされることもあるというように、その人物と業績の評価はさまざまに分かれる。欧米の文学者と芸術家への影響、心理学の特定の分野への影響、いわゆる精神世界や心身統合的セラピーの領域への影響など、後代への間接的な影響は多岐にわたるが、それらとの関係でグルジエフが直接的に語られることは比較的に少ない。人間の個としての成長との関係での「ワーク」という言葉はグルジエフが最初に使ったものである。近年ではもっぱら性格分析に使われている「エニアグラム」は、史実として確認できるかぎりにおいて、グルジエフがこれを世に知らしめた最初の人物である。精神的な師としての一般的な概念にはあてはまらないところが多く、弟子が精神的な依存をするのを許容せず、揺さぶり続ける人物であった。
「ゲオルギイ・グルジエフ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。 2018年11月17日 06:22 UTC、URL: http://ja.wikipedia.org

前掲サイト「グルジェフの著作・音楽・舞踏|創造と進化の図絵|電子版全集」を閲覧した限りでは、グルジェフはロシア革命や大戦の激動期を求道的に生き抜く中で独自の思想を展開し、宗教的修行の場を形成したように読める。

「音楽に合わせてのリズム体操、ダルヴィッシュの舞踏、各種のメンタルエクササイズ、呼吸のいろいろな様式の研究」といった記述からわたしに連想されるのは、ブラヴァツキーよりも年齢的に近いシュタイナーなのだが、シュタイナーの名は出てこない。

グルジェフは治療も行ったようだ。記述からすると、これはおそらく磁気治療だろう。

これ以上グルジェフに踏み込む衝動が起きないので、ブラヴァツキーの神智学の影響をメアリー・ポピンズの物語から拾うに留めたい。

ただ、グルジェフの思想は芸術、心理学、ニューエイジ・ムーブメントなどへの影響も大きいようだから、いずれ、もう少し調べることになるかもしれない。何にせよ、ブラヴァツキーがニューエイジの元祖のように祭り上げられながら、なぜ誹謗中傷されるのか、前掲サイト「グルジェフの著作・音楽・舞踏|創造と進化の図絵|電子版全集」の記述(生涯に関する叙述 4/14 1885?~ たどり着きがたい場所への旅/人間をめぐる謎の究明)からもその原因の一端が窺える気がした。

『帰ってきたメアリー・ポピンズ』に話を戻そう。

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2019年5月23日 (木)

『帰ってきたメアリー・ポピンズ』で、自分がどこから来たかをムクドリに語る赤ん坊 (2) 

『帰ってきたメアリー・ポピンズ』で、自分がどこから来たかをムクドリに語る赤ん坊 (1) 
https://elder.tea-nifty.com/blog/2019/04/post-f68a49.html

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パメラ・リンドン・トラヴァース(Pamela Lindon Trvers,1899-1996)の評伝、森恵子『P.L.トラヴァース』(KTC中央出版、2006、p.43)によると、「グルジェフの死後1952年に出版されたトラヴァースのメアリー・ポピンスの物語の第4巻『公園のメアリー・ポピンズ』(Mary Poppins in the Park、53歳)にはグルジェフの考え方が織り込まれているという。

また、晩年に出版された第9巻『さくら通りのメアリー・ポピンズ』(Mary Poppins in Cherry Tree Lane、1982年、83歳)、第10巻『メアリー・ポピンズとおとなりさん』(Mary Poppins and the House Next Door、1988、89歳)では、森によると(2006,p53)、ますます「グルジェフの神知学」の影響が大きくなるそうだ。

当記事は神智学の影響を受けたというトラヴァースの代表作であるメアリー・ポピンズの物語にどの程度、ブラヴァツキーの神智学の影響が窺えるかを調べるのが目的であるから、神智学の流れを汲むというグルジェフに踏み込むのは別の機会にしたいと思う。

ブラヴァツキーの神智学の観点から読むと、確かに、いわゆる神智学の影響が色濃く感じられるのは初期のメアリー・ポピンズの物語中第1巻『風にのってきたメアリー・ポピンズ』(Mary Poppins、1934年、35歳) 、第2巻『帰ってきたメアリー・ポピンズ』(Mary Poppins Comes Back、1935年、36歳) である。

53歳で出版された『公園のメアリー・ポピンズ』は洗練された作品となっており、トラヴァースの児童文学作家としての成熟が感じられる。神秘主義的な作風であるが、格別に神智学を感じさせられる箇所は見つけられなかった。グルジェフの思想のオリジナルな部分からの影響がそれだけ強いということだろうか。

『さくら通りのメアリー・ポピンズ』と『メアリー・ポピンズとおとなりさん』には、いくらか筆の衰えを感じさせられるものがあった。

しかしながら、この2作品には幻想的というより夢幻的といったほうがいいような趣があり、現実と異世界の境界が曖昧で、このころ既にトラヴァースは異世界の住人となっていたようですらあって、夢見心地で書かれたような何か朧げな、恬淡とした味わいがある。

以上のことから、当記事で採り上げるべき作品は初期の前掲2作品ということになる。ロマンティックなところのある『風にのってきたメアリー・ポピンズ』は過去記事で採り上げたから、ここでは『帰ってきたメアリー・ポピンズ』を採り上げたい。

P.L.トラヴァース(林容吉訳)『帰ってきたメアリー・ポピンズ』(岩波書店⦅岩波少年文庫 053⦆、2001新版)では、アナベルという女の子が4人の下に生まれ、バンクス夫妻は5人の子持ちになるわけだが、そのアナベルがゆりかごの中で、ムクドリの問いかけに答えて、自らの起源を語る。

私見によると、この場面でアナベルが語る3箇所に、神智学色が濃厚に表れているのである。引用する。ここに2箇所ある。

「話しておやり、アナベル!」と、親どりが、しゃがれ声でいいました。
 アナベルは、毛布の下で、手を動かしました。
「わたしは、土と空と火と水なの。」と、しずかにいいました。「わたしは闇[やみ]のなかからきたの。なんでも、はじまりはそこなの。」(トラヴァース,林訳,2001,p175)

旧約聖書の創世記にも「闇」が出てくるが、アナベルが語る「闇」とは重要度が異なる印象である。聖書から見てみよう。

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