電子ピアノがやって来てから25日経過(16日に追記1・2)
電子ピアノが我が家に来て、早くも25日経ちました。
夫は「指くぐり」のテクニックを覚えました。わたしもほぼ初心者ですから、基本的に夫は独学なのですが、10分~15分くらい、先輩のわたしができているかどうかチェックしてみます。
『ピアノの教科書』に説明がなかったりする場合は、ネットで探して印刷しておきます。そこまでするつもりはありませんでしたが、そうせざるをえない真剣味が夫にはあるのです。かと思うと、「どうせ遊びだから」といったり、対応が難しいです。
嫌でも、公文教室で助手をしていたときのことを思い出します。
わたしたちがオタマジャクシといっていたものは実は音符といわれており(いや、それくらいは2人ともわかっていました)、丸い部分を「符頭(ふとう)」や「たま」、符頭から垂直に伸びている線は「符尾(ふび)」や「ぼう」、符尾から書かれている波打った線は「符鉤(ふこう)」や「はた」と呼ばれるとありました。
そのようなことを教わった記憶がありません。音楽の基礎知識もろくにないまま、小学低学年から高校1年まで、わたしはピアノを弾いたり、短い曲を書いたりしていた………。
一昨日、短くまとめられたドイツ民謡を弾くときに、夫が何度も妙な躓き方をしました。どうしたのと訊いたら、連桁(複数の音符を横線でつなげたもの)が何なのか、わからなかったようでした。その迷いが弾き方に出たのでしょう。
8分音符を4つ、あるいは2つ、つなげた連桁が出てきていたのですが、夫は訊いてきました。「最後の音符には『はた』がない。これは果たして4分音符なのか? だとしたら、なぜ8分音符と一括りにする必要があるんだ?」
考えたこともなかったことをいわれ、わたしは詰まりました。「そこにつなげて並ばされているのは、全部8分音符なのよ。最後に来た8分音符の『はた』はないんじゃなくて、めくれ上がって、前の8分音符の『はた』にくっついているのよ!」
老後の楽しみなんですから気楽に……とはいかないのかもしれません。連桁と連符の違いについても、気難しく訊かれそうな気がしてきました。
疑問があれば、自分でググればいいのに。なぜか、ググる役目はわたし。
姪の娘がピアノを習っています。小学校1年生です。妹にメールで、どんな楽譜を使っているか尋ねたところ、写真が送られてきました。
- ぴあのどりーむ 4(田丸信明著、学研プラス 音楽事業室、1998)
- みんな知ってる! プレリーディング曲集(安倍美穂編集、東音企画、 2010)
- FUN!FUN!ピアノステージ(池田奈生子著・編集、全音楽譜出版社)
- ピアノ パーティー B(ジェーン S. バスティン著、リサ バスティン著、ローリー バスティン著、東音企画、1998)
どれも、初めて見る楽譜でした。もう1冊は、メトードローズでした。
- メトードローズ・ピアノ教則本 上巻(安川加壽子翻訳、音楽之友社、2222)
同じメトードローズですが、これは夫の使う(予定の)ピアノの1年生ではなく、幼児向きの文字の大きな同じ内容の上巻です。妹が使っていましたっけ。
前に書きましたが、わたしが買ったのは、以下の3冊です。様子を見ながら、夫の楽譜は考えていきます。本人の希望もあり、『ピアノの教科書』を終えてから、メトードローズに入る予定です。
- ピアノの教科書(丹内真弓、ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス、2019)
- メトードローズ・ピアノ教則本 ピアノの1年生 (エルネスト ヴァン ド ヴェルド著、安川加寿子翻訳、音楽之友社; B4版、1998)
- オトナの簡単ピアノ がんばらずに弾ける初心者のクラシック(シンコーミュージック スコア編集部、2021)
わたしは年末から三が日にかけて肩や背中が凝り、ピアノを続けられるだろうかと心配でした。もしかしたら、大掃除のせいだったかもしれません。今は何時間ピアノを弾いても何ともなく、むしろ毎日弾いたほうが腕が軽く感じられるくらいです。なかなか毎日とはいきませんが。
妹が「兄さんは手が大きいから、オクターブ簡単に届きそう」と書いてきました。いずれそうなるでしょうね、続けば……。
わたしは、ピアノのレッスンに通った子供時代のハイ・フィンガー奏法から解き放たれた喜びをピアノに触れるたびに噛みしめています。
YAMAHA P-45B 電子ピアノ 88鍵盤 Xスタンド・ダンパーペダル・ヘッドホンセット
Xスタンドにダンパーペダルの簡易的な電子ピアノで、ちょっとしたときのぐらつきが気になることがありますが、カワイのアップライトピアノを弾いていたときより何倍も楽しい。夫が購入するとき、玩具と思っていたのがとんでもない話でした。
16日の追記1:
子供の頃弾いていたカワイのピアノは、当時のアップライトピアノとしてはよいピアノだったと思います。ピアノが楽しくなかった原因は、やはりハイ・フィンガー奏法にあったと考えています。日本でのみ主流といってよい奏法だったことから考えると、ピアノ事情に疎かった当時のお国事情に翻弄された大勢の中の1人といえます。うまく弾きこなせなかったあのピアノには、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
夫が購入した電子ピアノは、過去記事で書いたように、グランドピアノ1、グランドピアノ2、エレクトリックピアノ1、エレクトリックピアノ2、パイプオルガン1、パイプオルガン2、ストレングス、ハープシコード1、ハープシコード2、ビブラウォンの音色に変えることができるようになっていて、それもまた楽しさを高めてくれる要因となっています。
メトードローズ、案外難しいと感じています。右手と左手を歌わせるのは楽しいのですが、「夕飯何にしよう?」と考えたとたんに間違います。子供のころはどうだったのでしょう? 今はしきりに雑念がわいてしまいます。
16日の追記2:
サイト「Piano Lessons」(URL: https://piano-mylessons.com)の以下の記事に、メトードローズがどのようなテキストであるのか、わかりやすく解説されています。テキストのタイトル「メトードローズ(Méthode Rose)」 は「バラの方式」の意味だそうです。
フランス語版ウィキペディア「Ernest Van de Velde」によると、メトードローズ(Méthode Rose)の著者エルネスト・ヴァン・ド・ヴェルド(Ernest Van de Velde)は1862年6月1日にフランスのリールに生まれ、81951年11月1日に89歳でトゥールにおいて没しました。教師、作曲家、指揮者でした。
夜中にまとめて練習時間をとればいいのですが、年のせいか寝てしまいがちで、昼間、家事の合間に弾くことなるので、洗濯機をとめて干して弾き、料理の下ごしらえをして弾き……あと少しで1曲終えようとする間際にチャイムの音がして「回覧板です」……と落ち着きません。
『オトナの簡単ピアノ がんばらずに弾ける初心者のクラシック』の最初のほうに入っているバッハの「主よ 人の望みの喜びよ」はわたしにも弾けそうだったので、真っ先に弾いているのですが、最後まで間違えずに弾くことは現時点では難しいです。1箇所か2箇所、必ず引っかかります。
でも、自分でこの美しい曲を弾けることの喜びは言葉にならないほどです。結婚後の長い時間、ピアノなしだったのが不自然でした。
下手な瞑想をするより、楽器を弾くほうが効率的かもしれませんよ。
少しでも雑念が湧くと、間違えてしまいます。完全な集中力を要求されるのです。その集中の中で弾いていると、直に音色に手を触れているような感動的な感じを覚えます。金色の響きの中に素足で入っていくような感じがすることもあります。
昔はこのような、易しく弾ける工夫が施された名曲をここまで詰め込んだ楽譜に出合ったことはなく、ハイ・フィンガー奏法が嫌なわたしにとってピアノのレッスンは苦痛以外の何ものでもありませんでしたから、楽譜をほしいとも思わなかったでしょう。
自分が弾く練習用の楽譜とピアニストが弾く楽譜は全く別物だと思っていましたが、今はこの先にあれがあるのだとわかります。書店でショパンのエチュード集を見ながら、これに辿り付くまで寿命があればいいけれどと思いました。
もうピアノの先生のお宅に行く時間なのに、何も練習していない、どうしよう……という夢をよく見ます。
夢では大体いつも夜でーー実際には明るい時間にレッスンを受けることのほうが多かったはずですがーー先生のお宅の窓の美しい明かりをわたしは「マッチ売りの少女」になったような気持ちで眺めていたり、庭には深い雪があったりしました。このところ見ていません。
しかし、ピアノばかりしていては創作が進まないので、ほどほどにしなくては。
昨日、録画したNHKの美術評論番組『美の壷』を見ていたら(娘が好きで、わたしも見るようになりました)、和楽器の笙が出てきました。パイプオルガンの音色にそっくりなので、驚きました。