カテゴリー「書きかけの小説」の3件の記事

2023年6月 4日 (日)

使い道のない小説のざっとした出だし(タイトルは「ピアノのお稽古」になるかな)

また日が空きました。小説に没頭していたわけではありません。祐徳院に関するエッセーをまとめるに当たり、神秘主義的要素を抜こうかどうしようかと迷い続けていたのです。抜けば、世間に出しやすいものになります。しかし、そうすれば、神秘主義的感性なしでは解けなかった謎のいくつかを書くことが難しくなるのです。また、生前から優れた神秘的な能力を発揮された萬媛を表面的にしか扱えなくなります。いつまでも結論が出ず、かったるくなりました。

電子ピアノでは、夫は両手に入り、順調です。指の位置を特定するのにまだ時間がかかり、時々止まりますが、ここまで来れば、あとは練習すれば上手になる一方だと思うので、一人立ちも近い?

わたしはインベンション2番、ソナチネは1番を通して弾いています。冬春の乾燥時に指が滑って困りましたが、梅雨に入ったせいか、滑らなくなりました。練習を始める前に手を洗います。それ以上の対策は必要でなくなりました。

夫が細い角材とゴムで楽譜押さえを作ってくれました。ヘッドホンで練習するには便利ですが、ヘッドホンを外すと譜面台の細工が響き具合に影響しているのがわかります。

小説は、今の世界を、陰謀論者と呼ばれる女性の通訳的な人物(夫)の視点で描いたものになりそうです。どこかに応募する当ても発表する当てもないので、モチベーションは悲しいほど上がりませんが、現実に存在する夫とのピアノのお稽古ごっこを作品に取り入れることで見えてくるものがあるというインスピレーションがわき、ざっと出だしを書いてみました。

プロットも完成していない段階での単なる落書きですが、アップしておきます。といってもピアノのお稽古ごっこはこの落書きでは出てきません。たぶんこの出だしはスクラップになります。

そのうち完成して、小説になっていれば、電子書籍にするかもしれません。

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「ピアノのお稽古(仮題)」

 美しい言葉、わかりやすい喩えで、教えを綾なしたイエスだったが、律法学者に多いパリサイ派と鋭く対立していた。「あなたたちは悪魔である父から出た者」と断定し、彼らの崇める神は神という名に値しない悪魔とまで宣うた。異邦人であるわたしにはこの言葉を比喩的にしか捉えられなかったが、あるいはイエスは、そこまでいいたくなる彼らの行状を知っていたのだろうか。

 2019年、新型ティアラウイルスがもたらした伝染病が豪華客船ルビー・プリンス号によってイタリアに持ち込まれたことを皮切りに、新型ティアラウイルス感染症は世界的な大流行となった。
 ティアラ・パンデミックが終息しない中で行われた2020年の米大統領選の頃から、陰謀論者と呼ばれる人々が伝染病並みに増えていった。陰謀論という症状は新型ティアラ感染者に現れる脳症状の一つとも疑われたが、意外なことには陰謀論者に感染者は少なかった。
 選挙選を制して新大統領になった男が開票間際に奇跡的な大量票を獲得したために、陰謀論者たちはその現象をフィネガン・ジャンプと名付け、陰謀論を多彩な内容にしていった。
 陰謀論者たちはフィネガン大統領が不正をしたと信じた。その信念は、収まらない伝染病に飛び火した。彼らは新型ティアラウイルスを作為的なもの、人工的なものと決めつけることを好んだ。
 彼らの信念が呼び寄せたかのような内容の論文が、高名な科学誌サイ・エンストに現れた。その論文が後日何らかの理由で取り下げられたため、陰謀論者たちは死体に飛びつくハイエナさながら、その理由を盛んに憶測した。
 一方では、新型ティアラはシナの動物市場からヒトに感染が広がったともいわれている。

 妻の千華子は、小学校低学年から高校時代にかけて強迫神経症を患った。その症状は、自分でも馬鹿らしいと自覚しながらも、ある行動をとらずにいられないという形で出た。玄関から出るときは右足から出なければならないとか、ランドセルの中身を7回確認しなければならないとか……なぜかそれをしなければ安心が得られなかったそうで、それはいわば世界観が崩壊しないための儀式だったという。   
 このことと関係あったかどうかわからないけれどーーといって聴かされるエピソードがあった。
「父が海外航路の船員だったでしょ。母が準公務員の仕事を辞めたくなかったせいで、在日コリアンの小母さんを雇ったの。小母さんはご主人に死なれて困り果て、子守兼家政婦の働き口を探していたらしいわ。半世紀以上も昔の話になるわね。可愛らしい顔立ちの優しい小母さんだったけれど、わたしより10歳くらい上の息子ーー彼は団塊世代になるわーーがいて、そのことが災いした」
 この話を聴かされるのは初めてではなかった。
「ワルいこと、されたのよ。小母さんがいないときに。あたかも日本人が彼らに罪深いことばかりしてきたかのような印象操作をGHQがしたせいで、彼は日本人の女の子には何をしても構わないって、思ったんじゃないかしら。敗戦前は同じ国の国民だったはずなのにね。あちらのインフラを整備し、沢山の建物を作り、教育制度を確立して、寿命を延したのは、ずいぶんと罪深いことだったのよ」
 そうなのか? どんな理由があったとしても、諸君は今日から日本国民ではなく、別の国の国民になりました、なんていわれたら、わたしは面白くないぞ? だからといって、その別の国の女の子に何か悪いことをしていいわけではない。それとこれとは別問題だ。GHQが何をしたかはあまり知らないが……。
 小学校の低学年のときに、その忌まわしい出来事は何度か起きた。そのことの意味がよくわからなかった彼女は、母親にもいえなかったという。
 比較的最近の出来事になるが、妻は2冊の本を熱心に学習していた。1994年に文藝春秋から文庫になって出た江藤淳著『閉ざされた言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』と、自由社から2015年に出た関野通夫著『日本人を狂わせた洗脳工作(WGIP) いまなお続く占領軍の心理作戦』だ。
 妻から聴かされる子供のころの話は聴きたい類いの話では当然なかったし、2冊の本はともかく、ネットから仕入れたらしい話のねた……日本に戦争を仕掛けた米国民主政権はディープステートに操られていた、ディープの連中は明治維新の背後にもいただとか、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部、日本で占領政策を実施した連合国連機関。いわゆる進駐軍)にはマルクス主義者のうちのフランクフルト学派が大勢いただのという話になると、いささかついていけないものを感じた。
 米民主政権というと、今更ながらGHQを連想する妻は、アメリカのフィネガン民主政権を快く思っていなかった。日本に原爆を2発も落としたのは米民主政権だったと彼女は強調する。が、共和党のチェス前大統領がディープステートと闘っているという説には懐疑的だった。
 ディープステートとは、欧米で国家内国家を形成しているユダヤ系国際金融資本のことをいうらしい。ヨーロッパのディープステートの代表格がロスチャイルド、アメリカはロックフェラーなんだそうだ。彼らが大金持ちだという見解、それにはわたしにも異論がない。
 戦前の日本はディープステートによる弊害を知っていて当時の新聞にはそれに関する記事が普通に出ていた、太平洋戦争が日本にとっては植民地主義を進めるディープステートとの戦いだったといわれても、陰謀論の域を出ない気がする。妻は尚もいう。
「アジアで植民地になっていなかったのは、もう、タイ王国と大日本帝国だけだったのよ。玉音放送にも日本が植民地主義と戦った痕跡があるわ。『 私は日本と共に終始東アジア諸国の解放に協力してくれた同盟諸国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない※1』という箇所は正にそうでしょう……違う?」
 唐突に玉音放送といわれても、太平洋戦争を題材としたドラマなんかで、電波障害のため「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」という言葉がかろうじて聴きとれるラジオ放送というくらいの認識しかなかった。大日本帝国は植民地主義の片棒を担いで、アジア諸国を侵略したのではなかったか? わたしはそのように学校で習った。妻もそうだったはずだ。
 いずれにせよ、戦後80年近く経った今になって、このような話題はかったるい。しかし妻はまだディープステート、ディープステート宣う。
 ディープステートの頂点にいるーー君臨しているというわけではないらしいーーロスチャイルド家について話し始めた妻は、なぜか声をひそめていった。
「ロスチャイルド家は、パリサイ派ユダヤ人の血を引いていることを誇りにしているそうよ」 
「ロスチャイルドはともかく、アメリカの石油王ロックフェラーはユダヤ系ではないだろう?」とわたしがいうと、妻はまたしても秘密の囁きのようにいうのだった。
「わたしもそう思っていた。ウィキぺディア(フリー百貨事典)に『ドイツ南部のプロテスタントの一派バプテスト(浸礼派)に起源を持つアメリカ合衆国の名門一族』ってあるもの。ウィキには騙されるわね。実際には、セファルディム系ユダヤ人らしいわよ」
「セファル……何だって?」
「説明するのが面倒だから、ウィキペディアで調べて」
「ウィキは人を騙すんだろう?」
 妻は、顔を上げた。リビングを拭き掃除しながら、おしゃべりしていたのだった。涼しげなまなざしだったが、突如アルコール除菌スプレーのノズルをこちらに向ける。
「ひゃー、冷たい!」
 わたしの胸の心臓のある辺りに除菌液を吹きつけてきた。濡れたカーキー色のTシャツが肌にこびりつく。わたしはバイ菌か? おまえのおまんま代を稼いでくるご主人様だぞ?
「さあ、お掃除終わり! アルコール除菌やら、マスクやら、衛生用品にかかる費用も馬鹿にならない……いつまで、こんなことが続くのかしら。それとも始まったばかりなの?」
「千華子に頼まれた日本製のマスクだがね、ゲットし損なうところだったんだぜ。シナ製から売りたいのか、日本製は手の届かない棚の上に置かれていたんだ。衛生用品の大手メーカはなぜもっとマスクを作らないんだろう、買ったマスクの会社にしてもさ」
「ああ、あそこはね。尿漏れのための吸水パットや大人用オムツを作っていて、その需要があるから、安易に製造ラインを換えたりしないんじゃないかな。その点が日本企業の優秀さを物語っているとも思う」
「へえー、そう?」
「そうよ。ああいうものってとても大事で、人間が文化的生活を送れるかどうかのぎりぎりのところで生活全体を押し上げてくれるものなのよ。母の介護のときに、そのことがよくわかったわ。男性用の吸水パットもありますよ。入用になったらいってね。蛇口の締まりが悪くなるのと同じことなんだから、何も恥ずかしいことじゃないわ」
 妻は最後のほうは独り言のようにいい、洗面所に行き、戻って来ていった。
「コーヒーが飲みたいな。あなたも飲む?」
「淹れようか」
「ありがとう」というと、妻はエプロンを外した。
「カルディで買ったキリマンジャロとイタリアンローストがあるな。どちらにしますか、奥さん」
「イタリアンローストがいいわ。牛乳をたっぷり入れたら美味しいわね、深煎りの黒いのには」
 妻はこのころはまだ、牛を殺せば15万円の助成金が出るという酪農家潰しの話はしなかった。ニュージーランドの牛にゲップ税が課せられるようになったという、面食らうような話もしなかった。ゲノム編集の話もしなかった。
 サイフォンで淹れたコーヒーは格別だが、ちょっと面倒なので、マキネッタを使うようになってからはこればかりだ。透明感のある味わいをもたらしてくれるサイフォンとは違って、野生的な味わいを引き出してくれるマキネッタ。豆を挽くときから漂うコーヒーの香りは、狂ったわたしたちの世界観を正してくれるような気がする。コーヒーは慎ましく暮らすわたしたちの大切な友人といってもいいくらいだ。
 コーヒーを飲む間にも、アイパッドでツイッターをチェックしている妻を眺めながら、まだしも、主婦たちの井戸端会議のほうが健康的かもしれないと思う。妻の世界は世間から広がっていたのではなく、SNSすなわちソーシャル・ネットワーキング・サービスから何処かへ広がっていた。その世界は、傍観者のわたしには窺い知れないところがあった。
 妻はアイパッドを閉じた。ゆっくりとコーヒーを飲んでいたが、カップを置くと宣言するようにいった。
「ねえ、あなた。わたしは陰謀論者なんですって!」
 ツイッターでどんなやりとりをしていたのか。陰謀論の定義は怪しいもののようにも思えるが、懸念といえば、神経症児だったかつての妻が構築した世界ーー非合理な儀式によって成立していた世界が甦ろうとしているのではないかということだった。陰謀論というか、政府とも世間とも折り合いの悪い情報を養分にして……。窺い知れぬところのある彼女が、一段と窺い知れぬ世界へと行ってしまいそうだ。
 わたしが定年退職後に就いた仕事はシティホテルの夜間フロント係で、給料は安いが、長年勤務した以前の職場に比べれば、楽といえる。まあ、妻がいささか遠い人になったところで、飯さえ用意して貰えれば、こちらに実害が出ることはないだろうとは思う。

 2021年7月、わたしたちに新型ティアラウイルスワクチンの接種券が送られてきたとき、すでに戦いの用意はできていた。妻にいわせれば、これは第三次世界大戦なのだそうだ。

 

※1 ウィキペディアの執筆者. “玉音放送”. ウィキペディア日本語版. 2023-05-22. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E7%8E%89%E9%9F%B3%E6%94%BE%E9%80%81&oldid=95313100, (参照 2023-06-03).

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2022年8月24日 (水)

能楽の参考書。書きかけの小説(No.2)

なかなか創作の時間がとれません。早く萬子媛関係の執筆に戻りたい。能楽の勉強は、漫画で続けています。

朝の祈願時、萬子媛に「能楽に関するわかりやすい参考書があればどんなにか」、と思わずつぶやいたら、その直後、別のことでネット検索中にたまたま『花よりも花の如く』に出くわしたのでした。ヨドバシカメラの通販で、とりあえず13巻まで揃えたところです。

話題は変わって、以下は書きかけの小説中の文章、つまりフィクション、作り話ですので、お間違えのないように。よほど興味のある人以外はスルーでしょうが、非公開の下書きだけではつまらないので。まだ粗描の段階ということもありますが、年寄りしか出てこないのはつまらないですね。でも、もうロマンスなんか、書けなくなっちゃいました。

「婚家問題の解決には、相当に時間がかかりそうです。

義妹夫婦(※義妹の夫―仮名X―と限定すべきか。この独特のキャラに関しては克明な描写が必要)にこれまで利用されるだけ利用されてきた、まだ健在である義父母の財産の、どうやら番犬になったわたしは戌年なので、本望といいましょうか。ウー、ワンワン。

78歳まで経理部長として中小企業に勤務した義父は、退職後にXに、本来はXが代表となるべき商事会社(※具体的な内容は取材後に詳細に書く)の社長に据えられ、Xは一切の責任を義父に負わせました。その小規模な商事会社は、旧帝大を出て大手某商社に商社マンとして勤務したXが、早期退職後に再就職対策として起ち上げた会社でした。

大手商事会社に勤務する、出世できなかった商社マンの寿命は短いのです。義父の退職金はそっくり、その小さな商事会社が吸い尽くしたようです。わたしたち夫婦には、その事実が今日まで、完全に隠蔽されていました。

義妹夫婦が婚家に居座り、わたしたちを冷遇するだけ冷遇して寄せ付けまいとしたのは、邪魔が入るのを恐れたためでしょう。

義父は認知症を発症して、名ばかりの社長職から退きました。そして、現在は有料老人ホームで暮らしています。高齢となった義母はぎりぎりまで自宅で暮らすことを望んでいましたが、Xに追い立てられるように身辺整理をさせられ、X夫妻の家で暮らし始めました。楽しい同居のためとはいいがたい状況にあります。

Xは今暮らしている自宅の他に2軒の家を所有していますが、義父母にかかる出費は全て義父母の貯蓄と年金で賄い、びた一文も自分のお金を使うつもりはないのです。お金が出来次第、義母は老人ホーム行きの運命ですが、何とかできないかと模索しています。

というのも、惚けた義父は、健康なころの寡黙な人とは見違えるように、老人ホームでは社交的で案外楽しんでいるようですが(自分の妻も子供も誰だかわからないにも拘わらず)、極めて頭のしっかりしている、どこか内向的な義母はたぶん、そのようなところは苦手……。

こんなことになるのなら、もっと早く準備すべきでしたが、彼らが利用するために義父母の家に居座っているのではなく、甘えている……従って、両親が老いても――婚家を二世帯に改装したりして――一緒に睦まじく暮らしていくのだとばかり思っていたのでした。

義父母が老いたとき、義妹夫婦は遠方に裏山付きの中古住宅を買い、好きに改装して、そこで暮らし始めました。

Xは自分には資格がないにも拘わらず、妻である義妹の名で成年後見制度を利用しようと考えました。義父母の土地家屋を好きなように売却するためです。裁判所の管理下で、義父のためなら土地家屋の売却は可能となるでしょう。

ただ、Xは先に述べたように、本来は資格がないはずなのに、私物化もいいところなのですが、それには親族の1人である夫の意見書が必要でした。

ここで、嫌でも腹黒いXとの接点ができました。Xの成年後見制度の理解は間違っているね、と夫と話しましたが、夫は意見書に記入し、賛意を表しました。ところがXは成年後見の案を放り出し、闇売買に手を出しかけたのでした。既に医師の診断書まで取り寄せているのに、です。長谷川式で5点ですよ。(※認知症をスクリーニングすることを目的とした簡易的な認知機能テスト「長谷川式認知症スケール」について詳しく解説する)

というのも、その闇売買にも司法書士を守るためのルールがあって、認知症との診断を受けてしまってはまずいのです。また、親族の同意も必要でした。医師だけが作成できる診断書を司法書士が作成することからして、この売買の違法性ははっきりしていました。

(※成年後見制度と闇売買について、詳しい解説をここに挿入する)

バレれば、訴えられる可能性がありました。そのとき、Xはおそらく義妹の陰に隠れたまま、夫を前面に押し出すに違いありません。

戌年のわたしは、Xに向かって、猛烈に吠え立てました。」(「書きかけの小説 No.2」ここまで)

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2022年6月14日 (火)

長年の雪辱を果たしました(小説の書き出しです。「書きかけの小説 No.1」)

前回記事をアップしてから日が空いたのは、久しぶりに小説の構想を練っていたからです。

「わたくしは長い間、嫁として不遇で、奇妙な状態に置かれてきました。わたくしの仕事は主婦業なので、どれほど悩み、涙したかわかりません。距離を置いていた期間が長かったにも拘わらず、一日として婚家の問題を忘れたことはありませんでした。それはわたくしたちの家庭の問題でもありました。

そして、結論からいえば、40年かかって嫁としての雪辱を果たしました。わたくしは自分の判断が狂っていなかったことを確信しました。わたくしは小姑鬼千匹の鬼千匹には勝てませんでしたが、婚家の尊厳と権利を辛うじて――本当に辛うじてです――守ることができたと思っています。

法律の知識も無駄ではありませんでした。それがあったから、鬼千匹夫婦への書簡をしたためることができました。

もっと若いときに何とかできないものかと苦悩しましたが、今から考えれば、それは無理なことでした。わたくしの問題というより、彼らの問題だったからです。

不思議なことに欲望が彼らを太陽の下に引っ張り出したのでしたが、お天道様はずっと見ていらっしゃったのですね。

株って怖い。所詮はギャンブル……」

こうした独白調にするべきか、第三者の視点で書くべきか。短編にも中編にも長編にもできます。先に萬子媛に関するまとめや創作があるので、このような、昔書いていたようなタイプの小説って、考えるだけでもきついなあ。でも、たぶん、書こうと思えば短期間で書けます。

株はやったことがないから、取材が必要。しかし、賞狙いもギャンブル。芸術の神に捧げるつもりで書かなければ、土壺にはまります。今更、賞狙いはするつもりがありませんが、上手に書ければ、狙いたくなるかも。文学界がどんなかはわかっているのにね。Kindle本にでもしましょうか。

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