転職の季節
娘の転職が決まったので、娘の好きなミートボールを作った。
新卒のとき、娘は就活に失敗。そのあと、こだわりを捨ててあちこち応募しまくっていたが、完敗。
出版社にこだわったのが敗因だと思っていたら、高校時代、大学時代の友人達もことごとく失敗していた。小泉不況の煽りを食った、就職氷河期後半の世代なのだ。
就職氷河期
日本ではバブル崩壊後の就職が困難であった時期(1993年から2005年と定義されている)を指す語。
「就職氷河期」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年1月6日 (日) 05:25 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org
娘の大学卒業年は2005年だから、就活は主にその前年の2004年。就職氷河期の終わりごろに当る。
新卒時に総合職に就けなかった場合、希望や学歴にいくらかでも見合った仕事にありつくのは至難の業。特に、地方在住の親元で暮らしながら探すとなると、希望も学歴もお荷物となる。
これはわたしの時代からそうだが、地方で女性の就職に四大出はむしろ不利なことが多く、実務的、実用的なスキルを実業高校、専門学校などで身につけた若い子にぴったりの求人なら結構ある。四大出よりは短大出のほうがまだしも分がある。
そのころのことは以下の過去記事を読めば、思い出す。記事の中で引用したシモーヌ・ヴェイユの言葉は的確に「失業」というものの本質を衝いていると思う。
2006年10月 7日 (土)
非正規雇用者の問題。わたしと子供たちのホロスコープ。
https://elder.tea-nifty.com/blog/2006/10/post_2b73.html
娘は仮のつもりで就いた書店での仕事だったが、いつのまにか15年が過ぎ去った。
薄給と時間的余裕のなさが心配だったが、娘から聞かされる話は面白く、わたしも出版社、取次店、書店の各仕組や関係性、裏事情といったものに詳しくなった。
本に関することなら、娘に訊けばまず、知りたかったことにプラスして、本に関する興味深いエピソードとか、耳よりの最新情報とか、本の本当の売れ行きとかを知ることができた。
娘は意識の高い書店員だったと親のひいき目ではなく思う。ただ、豊富な知識や書物の本質を見抜く冴えた目などを十分に生かすには総合職か編集者でないと宝の持ち腐れだろうなと不憫に思っていたところ、当の娘も、書店員として、してみたい経験はし尽くした気がするといい、転職を考え始めた。
出版界全体にいえることと思うが、不安定でアバウトで突拍子もないところがあって、娘も、傍観しているわたしも、船酔いに似た気分を味わうことがままあった。その船酔いに耐えられなくなった、というところもあったのかもしれない。
あっけなく決まった転職先はメディカル関係で、不思議なことに、その仕事をそのままズバリ占星術で表現したサビアンシンボルが娘にはあって、驚いた。医療事務の資格を持っていないので駄目だと思っていたのだが、「この学歴では、今の仕事はもったいないね」と面接時にいわれたそうで、複雑な気分にさせられる言葉だったが、学歴が初めていくらか役立ったのかもしれない。
娘は、その仕事をうまくこなせるだろうか。
わたしはちょうど中共のメディカル・ジェノサイドについて調べていたところだったので、娘が勤務することになる総合病院では臓器移植が行われていないことを確認し、とりあえずホッとした。
娘は法学部出なので、実は弁護士事務所の仕事を探していた。しかし、法曹界には浄化すべきダークな問題も潜んでいるようで、求人が出ていたとしても、そこが優秀かつ良心的な日本人弁護士の経営する、経営状態のよい弁護士事務所かどうかといったことは、外からはなかなかわからない。
出ていた求人の一つをじっと見ているうちに、契約がパートに変更になったのがあって、経営状態が芳しくないのかなと思ったりした。
娘の転職を、同僚や、既に転職したり結婚したりしている元同僚達が祝福してくれた。しばらくは、書店での締め括りの仕事や新しい職場での新体験、友人達との飲み会などで、忙しいだろう。書店員をしている間に、娘には多くの友人ができた。それが何よりの書店からの贈り物かもしれない。
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