カテゴリー「◇高校生の読書感想文におすすめの本」の10件の記事

2017年8月20日 (日)

高校生の読書感想文におすすめの本 2017年夏・秋

夏休みの読書感想文によい本を選んで記事にするつもりでしたが、遅くなりましたので、秋の読書週間(10月27日から11月9日まで)にもよい本ということで、おすすめを選んでみました。来年の夏休みの本選びの参考にしてくださっても結構です。

画家を主人公とした短編小説2編、中・長編小説各1編を選んでみました(バルザックの作品を除けば、過去記事で採り上げた作品になります)。大人のかたにもおすすめです。

作品がいつ、どこで書かれたかということは重要です。

読んでいる途中でそれを知りたくなることが多いものですが、読んだ後にでも、そうしたことについて調べてみれば、作品に対する理解がより深まることでしょう。

自分が読みたいように読んで、好きなように感想を書いても一応感想文にはなるでしょうが、作者がどういう意図をこめて作品を書いたかというを考えながら読まなければ、作品を通して作者が伝えたかったことが読みとれませんし、作者との関係を育むこともできません。

対人関係においても、こうした読書で培われた洞察力がよき友人を得ることに役立つでしょう。他人を理解したいと思っている人よりも、他人に自分を理解されたいと思っている人のほうが圧倒的多数を占めます。

他人を理解するということは、自分を理解することにも通じます。読書を通して自分を見つめる習慣を持ち、他人を理解したいと思うような人が増えれば、この世はもう少し繊細な、美しいところとなるのではないでしょうか。

作品を通して作者からもたらされる読書の喜びは、心という源泉を刺激して、えもいわれぬ幸福感をもたらしてくれるでしょう。そのためには、それを可能としてくれるような良書を選ぶ必要があります。

わからない言葉が出てきたとは、面倒臭がらずに辞書を引いてみることをおすすめします。わからなかった言葉がわかるようになるということは、それだけ自分の世界が広がることなのです。

もし、作品から否定的な印象を与えられた場合には、作品のどういうところが肯定できないのか、探ってみてください。そのことをきちんと書けば、それも立派な感想文になりますよ。

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中編小説、サマセット・モーム(1874生 - 1965没)の『月と六ペンス』は読書感想文向きです。登場人物がややステレオタイプで、それだけに読みやすいといえます。

月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)
ウィリアム・サマセット モーム (著), 土屋 政雄 (翻訳)
文庫: 433ページ
出版社: 光文社 (2008/6/12)

モームはイギリスの作家で、『新潮世界文学 30 モームⅡ』(中野好夫訳、新潮社、1968)によると、医師として第一次大戦で従軍しますが、諜報関係の仕事にまわされ、スイスのジュネーヴを中心に活躍しました。

このときの体験が、スパイ小説の古典といわれる短編小説集『アシェンデン』に生かされています。40年ほども昔の話になりますが、わたしが学んだ高校で使われていた英語の教科書に、『アシェンデン』の一部分が教材として載っていました。

第一次大戦ではその後、ロシアの過激派政権成立を阻止するための任務を帯びます(工作は失敗)。第二次大戦では、戦争協力に関するフランスの情報を蒐集する仕事を行っていたそうです。

モームの作家活動は、19世紀末のヴィクトリア朝時代に始まりました。その作風は皮肉っぽいリアリズムを特徴としていますが、世紀末的唯美主義の影響も見られます。

モームが『月と六ペンス』の主人公としたストリックランドは、フランスの画家ポール・ゴーギャン(1848-1903)をモデルとしたといわれています。

ゴーギャンは、中年になってそれまでの仕事をやめ、家庭も捨て、楽園を求めて南太平洋フランス領ポリネシアにあるタヒチ島に渡ります。ストリックランドもそうです。

とはいえ、ゴーギャンの絵を画集で見、『ノアノア』というタヒチ滞在記を読むと、ゴーギャンとストリックランドは作風も性格もかなり違うなという気がします。モームの『月と六ペンス』はゴーギャンの伝記ではなく、モームの芸術観が結晶した小説なのですから、それが当然ではあるのでしょう。

『月と六ペンス』では、イギリスの中・上流家庭の様子が細かに描かれています。一方、ゴーギャンの『ノアノア』を読むと、ゴーギャンのタヒチ滞在が帝国主義的西欧列強による植民地主義と深い関わりがあることがわかります。

タヒチがフランス領だったからこそ、ゴーギャンはタヒチで暮らすことができたのですが、タヒチに楽園の理想を託しながらも、その楽園に植民地主義の影響が及んでいることに失望します。

一方、モームの小説ではストリックランドは何を求めてタヒチに渡り、その成り行きはどうだったのでしょうか。そういえば、ゴーギャンと、ゴーギャンと親交のあったゴッホは共に日本の浮世絵の影響を受けています。モームは世界周遊の締め括りとして1959年、日本を訪れたそうです。

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画家を描いたゴーゴリとバルザックの短編をご紹介します。

狂人日記 他二篇 (岩波文庫 赤 605-1)
N.ゴーゴリ (著), 横田 瑞穂 (翻訳)
文庫: 224ページ
出版社: 岩波書店 (1983/1/17)

『狂人日記 他二篇』に収められている『肖像画』がおすすめです。

ロシア・リアリズム文学の創始者とされるニコライ・ゴーゴリ(1809生 - 1852没)は、 ゴーゴリに続いた世界の文豪たちに大きな影響を及ぼしました。

臨場感あふれる写実的、映像的な描写が特徴で、作風はリアリズムと幻想性の融け合った独特のムードを持っています。

『肖像画』には幻想的というよりはオカルティックなムードがあり、わたしは読みながら恐ろしくなりました。

この作品では重要な芸術論が展開されています。本物の芸術作品が放つ清浄、深遠、気品をゴーゴリは見事に表現しています。

ここまで芸術の神髄に迫った作品は稀でしょう。今後の人生で、芸術作品を鑑賞するときの指針となってくれるような小説です。

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サラジーヌ 他3篇 (岩波文庫)
バルザック (著), 芳川 泰久 (翻訳)
文庫: 272ページ
出版社: 岩波書店 (2012/9/15)

オノレ・ド・バルザック(1799生 - 1850没)はフランスの国民的作家であるにとどまらず、近代文学の祖とされている小説家です。

壮大な人類の歩み全体を捉えようとする総合性がその文学の特徴で、バルザックは「上から下まで、全段階にわたる社会、立法、宗教、歴史、現在を、私は残らず分析し観察した」(E・R・クルティウス『バルザック論』大矢タカヤス監修、小竹済栄訳、1990)と書いています。

『サラジーヌ 他三篇』に収められた『ピエール・グラスー』は短編ですが、このような小品においてもバルザックの本領は発揮されています。

画家を主人公とした短編小説はバルザックにはもう一編あり、バルザックの短編の代表作として挙げられる『知られざる傑作』がそうです。芸術に溶解してしまうかのような画家が描かれた作品ですが、今回おすすめする『ピエール・グラスー』ではお気楽な俗っぽい画家が描かれます。

生活の糧を得るために画家になったピエールは、芸術行為を社会生活における損得に合わせて行います。

このような行為はもはや芸術行為とはいえないのでしょうが、彼はあくまで善良な社会の一員であって、権力の絶頂に登り詰めた後も自分の絵の本当の価値がどんなものかがわかっており、良心の呵責からある善行(?)を行ったりします。

ピエールが彼を取り巻く善良な人々と共に幸福な人生を送る姿は、何ともいえません。今の日本社会では、ピエール・グラスー型の芸術家にうまくなりおおせている人々が大勢、精力的に生産活動を行っているのではないでしょうか。

何だか種明かしをしてしまったようですが、これはわたしの解釈と感想にすぎません。あなたは、わたしとは異なる感想文をお書きになることと思います。

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どうせ読むなら長編小説を、というかたのためには、画家を主人公としたゾラの長編小説をおすすめします。

制作 (上) (岩波文庫)
エミール・ゾラ (著), 清水 正和 (翻訳)
文庫: 382ページ
出版社: 岩波書店 (1999/9/16)
言語: 日本語

制作 (下) (岩波文庫)
エミール・ゾラ (著), 清水 正和 (翻訳)
文庫: 371ページ
出版社: 岩波書店 (1999/9/16)

フランスの小説家ゾラ(1840生 - 1902没)は自然科学の手法を文学に導入した自然主義文学を提唱し、ヨーロッパに一文学潮流を創り出しました。

社会の断面図を見せてくれるような作品を書くゾラの創作姿勢はジャーナリスティックで、明快な写実性を特徴としています。ですから、『制作』は長編ですが、読みやすくて、少しも長いとは感じさせません。

そういう意味では、ゾラとモームには共通点があります。

生まれた順に記せばバルザック、ゴーゴリ、ゾラ、モームとなります。全員が優れた写実性を特徴としていますが、着眼点に違いがあります。

ゾラは、後期印象派の画家セザンヌと親交がありました。『制作』にはセザンヌが投影されているようです。

ゾラのこの作品もゴーゴリの『肖像画』同様、リアリズムと幻想性の融け合った作風で、芸術の魔性に迫っています。ゴーゴリの作品ではその魔性が悪魔的なもの、ゾラの作品ではバッカス的(ここでは退廃的エロス)です。

ゾラの作品にはわたしはいつも作りすぎの印象を受けるのですが、サロン落選展の描写などは圧巻です。

『制作』の主人公クロードの最期……訳者解説によると、小説『制作』を贈られたセザンヌは儀礼的な礼状を最後に、ゾラとの交友を断ってしまったということです。1902年のゾラの急死の報に、セザンヌはひどい衝撃を受け、その後倒れるまでの4年間、『大浴場』『サント・ヴィクトワール山』の連作に没頭し、完成させました。

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2016年8月11日 (木)

高校生の読書感想文におすすめの本 2016年夏

作品がいつ、どこで書かれたかということは重要です。読んでいる途中でそれが知りたくなることが多いものですが、読んだ後にでも、そうしたことについて調べてみれば、作品に対する理解がより深まることでしょう。

短編・中編小説(戯曲)

夏の夜の夢・あらし(新潮文庫)
シェイクスピア(著),福田 恒存(翻訳)
出版社: 新潮社; 改版(1971/8/3)

「夏の夜の夢」「あらし」はどちらもシェイクスピアの有名な戯曲で、妖精の出てくる幻想的な作品であるところが共通しています。

感想文におすすめなのは、シェイクスピア最後の作品といわれる「あらし」です。あらしはテンペストとも訳されます。

船の難破から始まる起伏に富むストーリーで、悲劇的な事件を発端とし、奇怪で、魔術的で、面白くて、深みのある、ロマンティックな、いくら言葉を重ねても表現しきれないくらい、すばらしい戯曲です。

華岡青洲の妻(新潮文庫)
有吉 佐和子(著)
出版社: 新潮社; 改版(1970/2/3)

華岡青洲は実在した人物です。

青洲は江戸時代の外科医で、世界初の全身麻酔による手術に成功しました。その過程が丹念に描かれる小説はそれだけでも読み応えのあるものですが、小説ですから、事実通りというわけではありません。

有吉佐和子はこの小説で、医学とは別のテーマを設定しています。どのようなテーマであったのか、ぜひ読み取っていただきたいと思います。

美しき惑いの年(岩波文庫)
カロッサ(著),手塚 富雄(翻訳)
出版社: 岩波書店; 改版(1954/7/5)

独立しても読める自伝的作品四部作『幼年時代』『若き日の変転』『美しき惑いの年』『若き医者の日』のうち、『美しき惑いの年』はカロッサの18歳から21歳にかけての時期が描かれた作品です。

医学を学び、開業医となるハンス・カロッサは第一次世界大戦と第二次世界大戦を経験することになりますが、ハンス・カロッサ(相良憲一・浜中春訳)『ハンス・カロッサ全集 第4巻』(臨川書店、1997)の解説によると、カロッサが青年時代を過ごしたこのころのミュンヘンは最も平穏で幸福だったといわれる黄金時代で、「イーゼル河畔のアテネ」と呼ばれる芸術の都だったそうです。

このような芸術家たちの世界で、また医者の卵として、カロッサはさまざまな経験をし、いろいろなことを考えます。作品の豊かな世界を味わい、そしてカロッサと一緒に考えてみてください。

長編

タタール人の砂漠(岩波文庫)
ブッツァーティ(著),脇 功(翻訳)
出版社: 岩波書店(2013/4/17)

この夏におすすめする、一押しの作品です。

長編小説ですが、長いとは少しも感じられないでしょう。内容はどこか不思議なところがありますが、読みやすい小説です。

作品の舞台にイメージを与えたとされるドロミテ・アルプス。

訳者解説によると、イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティが愛したといわれる故郷ベッルーノから見えるその山並みの向こうは、もうオーストリアとの国境だそうです。19世紀前半、ベッルーノはオーストリアの支配下にあり、第一次大戦中には一時オーストリア軍に占領されたのだとか。

以下は「Pixabay」からお借りしたドロミテの写真です。

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細雪(上・中・下)(新潮文庫)
谷崎 潤一郎(著)
出版社: 新潮社; 改版(1955/11/1)

谷崎潤一郎の代表的長編小説です。

谷崎は『源氏物語』を訳していますが、この古典的な物語の世界を現代に蘇らせようとした作品だといわれています。四季の美しさの中で、四人姉妹の物語が展開します。

かなりの長編ですが、この小説もさほど長いとは感じられないでしょう。戦時下の困難な状況の中で典雅なこの物語が書き続けられたというのは、驚くべきことです。

水害の中での超人的な救出の場面など、いささか作りすぎではないかと思われる箇所があったりもしますが(わたしは台風被害に遭ったことがあるので、なおさら)、そこでは野心的な作品を数々手掛けた谷崎の清新な息吹が感じられるようで、微笑したくなります。

『源氏物語』は、過去記事「高校生の読書感想文におすすめの本(長編部門・ベスト5)」で採り上げました。

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2015年8月 8日 (土)

高校生の読書感想文におすすめの本 2015年夏

短編・中編小説

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)
アントワーヌ・ド サン=テグジュペリ (著), 二木 麻里 (翻訳)
出版社: 光文社 (2010/7/8)

『星の王子さま』を書いたことで知られるサン=テグジュペリはフランスの作家ですが、パイロットでもありました。実体験をもとにドキュメンタリータッチで書かれた、美しさとスリルに満ちた作品です。

田園交響楽 (新潮文庫)
ジッド (著), 神西 清 (翻訳)
出版社: 新潮社; 改版 (1952/7/17)

盲目の少女が牧師に引き取られます。粗野だった少女は牧師のもとで成長し、次第に洗練されていきます。やがて、手術の成功で目が見えるようになった彼女が見たものは……? 

複雑な内容の小説ですが、複雑であるからこそ小説を読む楽しさが増し、当然、解釈もいろいろと出てきますから、それだけ感想文も書きやすいというわけです。

肉体の悪魔 (新潮文庫)
ラディゲ (著),  新庄 嘉章 (翻訳)
出版社: 新潮社; 改版 (1954/12/14)

ラディゲの長編処女小説といわれていますから、長編のグループに入れるべきでしょうが、ストーリーがシンプルであるためか、あまり長いとは感じられないので、このグループに入れました。

15歳の少年と19歳の人妻が出会い、あまやかに始まった恋愛は……という、よくありがちなストーリーの小説です。

しかし、よくありがちでないことには、この小説をラディゲは16歳から18歳の間に書き、20歳で夭逝(ようせつ)しました。

恋する男女の未来に何の手心も加えない、クールな筋の運びです。箴言(しんげん)のように響く言葉を頻繁に自身につぶやく主人公は、そうすることで恋愛を成熟の糧(かて)としているかのようです。

精緻(せいち)な心理描写に驚かされますが、わたしの場合は年取ってから再読した今のほうが驚きが強いように思います。

感性のネットワークを張り巡らせ、人妻に関係のあることばかりか自分から出た考えや感情に至るまで、全てをキャッチし、客観的に解釈しようとする、凄まじいばかりのエネルギーに圧倒されます。全文、どこにも弛緩(しかん)した箇所が見当たらないのです。

ラディゲに対抗するつもりで、意欲的な感想文を書いていただきたいものです。

草の竪琴 (新潮文庫)
トルーマン カポーティ (著), 大沢 薫 (翻訳)
出版社: 新潮社 (1993/3/30)

カポーティは『ティファニーで朝食を』のような軽妙洒脱(けいみょうしゃだつ)な小説や、この『草の竪琴』のような哀しくなるほどに美しい少年時代の小説を書く一方では、『冷血』の如き重厚なノンフィクション小説も書いた作家です。

次に紹介するフィツジェラルドとどこか共通点のある、アメリカらしい作家といえるかもしれません。

グレート・ギャツビー (新潮文庫)
フィツジェラルド (著), 野崎 孝 (翻訳)
出版社: 新潮社; 改版 (1989/5/20)

アメリカの一時代を知るためにも、ぜひ読んでほしい小説です。きらびやかな華やかさとわびしさが交錯する、ため息の出るような世界が描かれます。読書感想文は書きやすいと思います。

ハツカネズミと人間 (新潮文庫)
ジョン スタインベック (著),  大浦 暁生 (翻訳)
出版社: 新潮社 (1994/8/10)

アメリカの良心を代表しているような作家スタインベック。スタインベックの小説は社会派小説に分類されると思いますが、叙情味ゆたかで、哀切なところがあり、アメリカの土地の香りがしてくるようです。

マンスフィールド短編集 (新潮文庫)
マンスフィールド (著),  安藤 一郎 (翻訳)
出版社: 新潮社; 改版 (1957/9/3)

人間の気分というものは、周囲のちょっとした気配に影響されて一変することがあります。そうした過程を、マンスフィールドほど巧みに描いた人は少ないでしょう。

喜怒哀楽がこんなに微妙なところから誕生するとは、自分ではなかなか気づくことができません。このような人間の秘密を明晰(めいせき)な形にして教えてくれる、希有(けう)な作家です。

とても短い作品が多い短篇集ですが、読書感想文が書きやすいかどうかは微妙でしょう。

ただ、一編の短い小説から何枚もの絵画が出てくるかのような美しい作品ばかりなので、こうした機会にマンスフィールドの世界を知っていただきたいと思います。

萩原朔太郎 (ちくま日本文学 36) 
萩原 朔太郎   (著)
出版社: 筑摩書房 (2009/6/10)

萩原朔太郎は詩人として有名ですが、小説にもいいものがあります。

『猫町』『ウォーソン夫人の黒猫』はどちらもとても短い幻想小説で、感想文におすすめです。『ウォーソン夫人の黒猫』は心理小説なのかオカルト小説なのかわかりませんが、怖いですよ。上品な作風であるだけに……。

散文詩

プラテーロとわたし (岩波文庫)
J.R.ヒメーネス (著), 長南 実 (翻訳)
出版社: 岩波書店 (2001/2/16)

プラテーロというロバに語りかけられた、138編の散文詩です。読み進むにつれ、アンダルシアの風景や町並み、人々の暮らしなどが見えてきます。

プラテーロがどんなロバかは、こんな風に書かれています(11ページ)。

プラテーロはまだ小さいが、毛並みが濃くて、なめらか。外がわはとてもふんわりしているので、体全体が綿でできていて、中に骨が入っていない、といわれそうなほど。ただ、鏡のような黒い瞳だけが、二匹の黒水晶のかぶと虫みたいに固く光る。

1956年、ヒメーネスはこの作品でノーベル文学賞を受賞しました。

印象深かった詩のどれかを採り上げて感想文にしてもいいでしょうし、全体の感想を書いてもいいでしょうね。

戯曲

ギリシア悲劇〈1〉アイスキュロス (ちくま文庫)
アイスキュロス (著),  高津 春繁 (翻訳)
出版社: 筑摩書房 (1985/12)

高校生の夏休みにギリシア悲劇にチャレンジしてみませんか? 一生の宝物になりますよ。

一番目に収録された作品『縛られたプロメテウス』は、読書感想文にオススメです。

夜叉ヶ池・天守物語 (岩波文庫)
泉 鏡花 (著)
出版社: 岩波書店 (1984/4/16)

美の極致といってよい、泉鏡花の幻想的な戯曲です。ストーリーは、『天守物語』のほうがわかりやすいかもしれません。

日本美を堪能させてくれる泉鏡花の作品ですが、表現が古風に感じられるでしょうね。そこがいいのですが、鏡花の場合は小説より戯曲のほうが読みやすいと思います。

どちらも、青空文庫に入っています。

長編

白痴 (上巻) (新潮文庫)
ドストエフスキー (著), 木村 浩 (翻訳)
出版社: 新潮社; 改版 (2004/04)

白痴 (下巻) (新潮文庫)
ドストエフスキー (著), 木村 浩 (翻訳)
出版社: 新潮社; 改版 (2004/04)

白痴というタイトルは逆説的で、無垢、清浄、天上的知性という意味合いが含まれているように思います。

主人公のムイシュキン公爵は、ひとたび知れば、なつかしい人物となります。

この小説では会話が多く、それに圧倒されるためか、それほど長いとは感じられません。読み応えはたっぷりあります。

ジェーン・エア (上) (新潮文庫)
C・ブロンテ (著), 大久保 康雄 (翻訳)
出版社: 新潮社; 改版 (1953/2/27)

ジェーン・エア (下巻) (新潮文庫)
C・ブロンテ (著), 大久保 康雄 (翻訳)
出版社: 新潮社; 改版 (1954/1/12)

ジェーン・エアを好きか嫌いかは別として、ジェーン・エアを知らない自分というものが、わたしは想像できません。英文学の定番――の一編――といえます。

長編ですが、難しい作品ではありませんし、ストーリーには不気味で謎めいたところがあるので、肝試しのノリでどんどん読めると思います。

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2014年8月10日 (日)

高校生の読書感想文におすすめの本 2014年夏(海外編3冊)

最近「高校生の読書感想文 おすすめ」といった検索ワードで、当ブログをご閲覧になる方が増えました。

わたしはこれまでに、高校生が読書感想文を書くのによいと思われる本の紹介記事を6本書きました。高校生の読書にふさわしいと思われるバランスのとれた、文学作品としての品格を備えた作品を紹介するように努めてきました。

アクセスが最も多いのは以下の記事です。

書店で目につく本は毎年変わるので、昨日用事で中心街に出かけた帰りに書店に寄り、書棚で目についた3冊の本のタイトルと出版社名をメモ帳に書き留めてきました。

わたしが持っている本とは翻訳者、出版社などが違いますが、ざっと中身を確認し、おすすめできると思いました。

これまでにわたしが書いた記事では、高校生の理解力を考慮した、よくまとまった、定番的な作品を主に紹介してきました。

今回は、「この本が文庫で買えるなんて、何てすばらしい」と思った本を紹介することにしました。何年か経ってほしいと思っても、絶版になっていたりして思うように入手できないことがあるのですね。

ところで、あなたはフランス料理を召し上がったことがありますか? 

わたしは国内から一歩も外へ出たことがなく、フランス料理店にも入ったことがないので、縁がありません。欧風料理店でランチを注文したことがある程度です。

ですから、フランス料理のフルコースといわれても、漠然と想像できるだけですが、文学の世界でなら、この日本にいながらにして(翻訳されたものを通して)、数々のフルコース(長編)に舌鼓を打ちました。

「暗黒事件」は、そんなフルコース的な絶品小説をせっせと世の中に送り出したバルザックの長編小説です。長編ですが、それほど長くない手頃な長編で、フランスの文豪バルザックの諸作の中でも、とりわけ有名な歴史小説です。

暗黒事件: バルザック・コレクション (ちくま文庫)
オノレ・ド バルザック (著), 柏木 隆雄 (翻訳)
文庫: 443ページ
出版社: 筑摩書房 (2014/6/10)

この本を開くと、歴史の勉強で味もそっけもないものとして「フランス革命」「ナポレオン帝政」などと脳味噌に刻みつけられた歴史用語が突然香りを放ち、生き生きとした姿を見せ始めることでしょう。

わかりにくい箇所は飛ばして読んでもいいと思いますよ。あとで気になれば、ネットでなり、辞書、事典、年表でなり、調べればよいことです。

一番大事なのは、作品の香りを嗅ぐことですから。

勿論、わからないところを調べながら読めば、より読書を楽しめるでしょう。

そして、興味を惹かれた箇所をノートに書き出すことから、感想文の第一歩を始めてみては如何ですか?

以下の2冊に収められた作品は、エッセイ的な要素の強い作品です。プロットのはっきりした小説に比べると、感想文が書きにくいかもしれません。

でも、こうしたタイプの本の読書では、気ままな散歩のような気楽さがあり、一部分を採り出して感想を書いても様になる――感想文らしいものになる――という強み(?)があります。

これらの作品を読んだことのある場合とない場合とでは、この世というところが違って見えてくると思います。洗練された、良識的な物の見方とはどういうものかを教えてくれることでしょう。

マルテの手記 (光文社古典新訳文庫) 
ライナー・マリア リルケ (著),  松永 美穂 (翻訳)
文庫: 394ページ
出版社: 光文社 (2014/6/12)

ヘンリー・ライクロフトの私記 (光文社古典新訳文庫) 
ジョージ ギッシング (著), 池 央耿 (翻訳)
文庫: 331ページ
出版社: 光文社 (2013/9/10)

読書感想文を書くというイベント(宿題)を通して、ぜひすばらしい文学作品に触れてみてください。

※関連記事

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2013年7月28日 (日)

高校生の読書感想文におすすめの本 2013年夏(短編部門・ベスト3)

(1)ロスチャイルドのバイオリン

  馬のような名字 チェーホフ傑作選 (河出文庫)
  文庫: 341ページ
  出版社: 河出書房新社 (2010/3/5)

 

(2)文鳥

  文鳥・夢十夜 (新潮文庫)
  文庫: 329ページ
  出版社: 新潮社; 改版 (2002/09)

(3)狭き門

  狭き門 (新潮文庫)
  文庫: 250ページ
  出版社: 新潮社; 改版 (1954/8/3)

 ※当ブログにおける関連記事

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2013年7月25日 (木)

高校生の読書感想文におすすめの本 2013年夏

「高校生の読書感想文におすすめの本」を書くのも、今回で3回目となりました。自分が年をとってくると、若い方々の体、表情、動作の全てがみずみずしく感じられて、まぶしいくらいです。

 そして、ああよい本を読んで、さらにみずみずしく、輝いてほしいなあと願わずにいられません。

 前回は、作者について短い紹介文をつけましたが、作者について調べてみることも読書の楽しみの一つだと思うので、今回は「この本は如何?」と思った本を、そのまま並べてみることにしました。

 ギリシアと日本の古典を1冊ずつ(古代ギリシアの哲学者プラトンの作品を前回に続いて選んでしまいました。とびきり面白いので。西洋哲学の源流といわれるプラトンの著作を読んだんだ――なんて、自分で自分に自慢できますよ。高校生にも充分読める内容です)。

 ロシアの戯曲を1冊(チェーホフは短編小説の名手でもありました)。

 フランスと日本の深刻な小説を1冊ずつ(あなたがもし同じ状況に置かれたとしたら、何を考え、どう行動しますか? 『ペスト』を書いたアルベール・カミュは1957年、44歳という若さでノーベル文学賞を受賞しました)。

 ドイツと日本の恋愛小説を1冊ずつ(カラーが全く異なる小説を選びました。ゲーテはあまりにも有名となった恋愛小説を書きました。もう1冊は、日常を不思議な世界に変容させてしまう化学薬品のような恋愛小説です)。

 日本の短編小説集を1冊(粋――いき――という言葉をご存知ですか? この本で、粋な小説を味わえます)。

 フランスの文豪のダイナミックな小説を1冊(主人公の最後の言葉に注目!)。

 2006年度ノーベル文学賞受賞者の代表作である、トルコの長編小説を1冊(絢爛豪華な世界です)。

 どれも文庫なので、ページ数をご覧になれば、どれくらいの長さかがわかるでしょう。中編を中心に選びました。ただし、『わたしの名は赤』は上下巻の長編です。『現代語訳 雨月物語・春雨物語』と『老妓抄』は短編集です。

 ギリシアと日本の古典を1冊ずつ――と書きましたが、『饗宴』を書いたプラトンは紀元前5世紀から紀元前4世紀に生きた大昔の人です。『雨月物語・春雨物語』を書いた上田秋成は、それに比べたらずっと現代に近い江戸時代後期の人です。『若きウェルテルの悩み』を書いたゲーテ、『「絶対」の探求』を書いたバルザックも、日本史の区分でいえば江戸時代の人達です。

 名作は、どれも生き生きしています。本の中で、様々な時代、色々な国の人々と交流できるのですから、本ってまるでタイムマシンみたいですよね。

 ところで、あなたは、大阪府吹田市千里の万博公園にある「太陽の塔」をご覧になったことがありますか? わたしはまだですが、粋な『老妓抄』を書いた人は、その「太陽の塔」を制作した岡本太郎のお母様です。

 ……本を並べるだけのはずが、あれこれ書いちゃいましたね。

饗宴 (新潮文庫) 
 プラトーン (著), 森 進一 (翻訳)
 文庫: 218ページ
 出版社: 新潮社; 改版(1968/9/3)

現代語訳 雨月物語・春雨物語 (河出文庫) 
 上田 秋成 (著), 円地 文子(翻訳)
 文庫: 277ページ
 出版社: 河出書房新社 (2008/7/4)

桜の園・三人姉妹 (新潮文庫) 
 チェーホフ (著), 神西 清((翻訳)
 文庫: 252ページ
 出版社: 新潮社; 改版 (1967/9/1)

ペスト (新潮文庫) 
 カミュ (著), 宮崎 嶺雄 (翻訳)
 文庫: 476ページ
 出版社: 新潮社; 改版 (1969/11/3)

沈黙 (新潮文庫) 
 遠藤 周作 (著)
 文庫: 312ページ
 出版社: 新潮社; 改版 (1981/10/19)

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)   
 ゲーテ (著), 高橋 義孝(翻訳)
 文庫: 205ページ
 出版社: 新潮社; 改版 (1951/3/2)

第七官界彷徨 (河出文庫) 
 尾崎 翠 (著)
 文庫: 189ページ
 出版社: 河出書房新社 (2009/7/3)

老妓抄 (新潮文庫) 
 岡本 かの子(著)
 文庫: 262ページ
 出版社: 新潮社; 改版(1950/5/2)

「絶対」の探求 (岩波文庫)
 バルザック (著), 水野 亮 (翻訳)
 文庫: 367ページ
 出版社: 岩波書店; 改訳〔〕版 (1978/04)

わたしの名は赤〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫) 
 オルハン パムク (著), 宮下 遼(翻訳)
 新書: 431ページ
 出版社: 早川書房; 新訳版(2012/1/25)
わたしの名は赤〔新訳版〕(下)(ハヤカワepi文庫) 
 オルハン パムク (著), 宮下 遼(翻訳)
 新書: 444ページ
 出版社: 早川書房; 新訳版(2012/1/25)

 ※当ブログにおける関連記事

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2012年7月28日 (土)

高校生の読書感想文におすすめの本 2012年夏

最新の2013年版はこちら⇒https://elder.tea-nifty.com/blog/2013/07/2013-3172.html

 今回は、短編から中編までの手頃な長さの作品を中心に、文庫になっているもののなかから13冊、Amazonで購入が可能なものを選びました。
 短い説明文は、本の解説とウィキペディアを参考にしました。
 ライン以下では、昨年のおすすめをご紹介しています。

 プラトン[紀元前427-紀元前347]は、古代ギリシアの哲学者。プラトンの作品はどれもスケールの大きな作風で、思考の美しさを味わわせてくれます。『ソクラテスの弁明』は、深みのある作品ですが、案外読みやすく、言葉の正しい使いかたを教えてくれるので、高校時代に読むにはぴったりだと思います。

 ウィリアム・シェイクスピア[1564-1616]は、イギリスの劇作家。四大悲劇『ハムレット』『マクベス』『オセロ』『リア王』をはじめとする、多くの優れた戯曲で知られています。 

 ウィリアム・ヘンリー・ハドソン[1841-1922]はアルゼンチンに生まれ、その後イギリスに渡りました。両親はアメリカ人です。ハドソンは鳥類学者でした。『緑の館』はやや長い小説ですが、鳥類学者でもあったハドソンだったからこそ書けたと思わされる、神秘的でロマンティックな恋愛小説です。

 プロスペル・メリメ[1803-1870]。フランスの作家メリメは、歴史家、考古学者でもありました。『カルメン』はオペラになった、特に有名な作品です。

 ジョルジュ・サンド[1804-1876]は、フランスの女性作家で、男装の麗人として知られました。女性権利拡張運動でも有名な人です。また音楽家ショパンとの恋愛でも知られています。

 アーダルベルト・シュティフター[1805-1868]は、オーストリアの小説家で、画家でもありました。『水晶』は、児童文学作品として紹介されることもあります。雪山で遭難しかかった兄と妹の物語なのですが、息を呑むほどに美しい作品です。

 以下は、ブクログにおけるわたしのレビュー。ご参考までに。

作者の哲学的強度を感じさせる作品4編を収めた、まるで宝石箱のような短編集。最初の作品『水晶』を、わたしは子供の頃に児童文学全集で読みました。
大自然のふところで生きる村人たち。クリスマスの祝祭のリポートから作品が始まります。ネタバレでいってしまうと、これは二人の子供の遭難と救出の物語なのです。  兄の言葉に従うときの妹の「そうよ、コンラート」という口癖が、作品を読み終えても長く耳について離れません。大人になってもそうだったので、岩波文庫に『水晶』入りのシュティフターの本を見つけたときは嬉しかったです。
 

 ニコライ・ゴーゴリ[1809-1852]は、ロシア帝国の小説家、劇作家。ロシア文学に大きな影響を及ぼした作家で、ドストエフスキーは「われわれは皆ゴーゴリの外套から生まれたのだ!」といっています。

 泉鏡花[いずみ きょうか 1873(明治6年)-1939年(昭和14年)]は、石川県金沢市に、名人級の彫工を父とし、能楽師の家系の人を母として生まれた小説家、劇作家。その生まれは、鏡花独特の美麗な文章に影響しているといわれています。『高野聖』がわたしのおすすめです。

 ハンス・カロッサ[1878-1956]は、ドイツの開業医、小説家、詩人。自伝的作品『幼年時代』の続編として読める『若き日の変転』も、岩波文庫で出ています。

 谷崎潤一郎[たにざき じゅんいちろう 1886(明治19年)-1965(昭和40年)]は東京生まれの小説家で、「大谷崎」と称された、近代日本文学を代表する一人です。様々なタイプの作品を精力的に生み出しました。源氏物語の現代語訳を手がけ、長編『細雪』は代表作とされています。わたしは今回、『春琴抄』と『少将滋幹の母』のどちらをおすすめするかで迷いました。

 坂口安吾[さかぐち あんご 1906(明治39年)-1955(昭和30年)]は、新潟県出身の小説家、エッセイスト。第二次大戦後、既成の文学に異を唱えた、無頼派と呼ばれる作家の一人で、太宰治、次にご紹介する織田作之助と共に無頼派の中心的人物とされています。読書感想文としてのおすすめは、文化論である『日本文化私観』。

 織田作之助[おだ さくのすけ 1913(大正2年)-1947(昭和22年)]は、大阪生まれの小説家。無頼派の一人で、愛称は「オダサク」。現在、大阪文学振興会により、「織田作之助賞」という文学賞が主催されています。読書感想文としてのわたしのおすすめは、主人公の個性に度肝を抜かれる『六白金星』、次に、軽妙洒脱な作風の『夫婦善哉』です。

 北杜夫[きた もりお 1927-2011]は、東京生まれの小説家、エッセイストで、精神科医でもありました。今回、わたしは『青春記』をおすすめしましたが、『どくとるマンボウ航海記』も、とっても面白いエッセイですよ。長編小説『楡家の人びと』も有名です。

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2011年8月23日 (火)

高校生の読書感想文におすすめの本~ 1日あれば大丈夫(短編部門・ベスト3)

最新版はこちら
高校生の読書感想文におすすめの本 2013年
 https://elder.tea-nifty.com/blog/2013/07/2013-3172.html 

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(1)ヴァーグナー『ベートーヴェンまいり』(百年文庫13 響)

ヴァーグナー,ホフマン,ダウスン
ポプラ社
発売日:2010-10-13

(2)夏目漱石『琴のそら音』(百年文庫31 灯)

夏目漱石,ラフカディオ・ハーン,正岡子規
ポプラ社
発売日:2010-10-13

(3)ピランデルロ『よその家のあかり』(百年文庫26 窓)

遠藤周作,ピランデルロ,神西 清
ポプラ社
発売日:2010-10-13
ピランデルロ「よその家のあかり」は絶品。神西清「恢復期」も、乙女の日記にしては明晰すぎる気がするが、爽やかでいい。

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短編部門・ベスト3(ポプラ社「百年文庫」から)
(1)ヴァーグナー『ベートーヴェンまいり』(百年文庫13 響)
(2)夏目漱石『琴のそら音』(百年文庫31 灯)
(3)ピランデルロ『よその家のあかり』(百年文庫26 窓)

中編部門・ベスト1
https://elder.tea-nifty.com/blog/2011/08/post-286a.html
(1)トーマス・マン『トーニオ・クレーガー』(河出文庫)

長編部門・ベスト5
https://elder.tea-nifty.com/blog/2011/08/post-ad1a.html
(1)ロマン・ローラン『ジャン・クリストフ』(岩波文庫)
(2)トルストイ『戦争と平和』(新潮文庫)
(3)ドストエフスキー『罪と罰』(新潮文庫)
(4)マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』(新潮文庫)
(5)円地文子訳『源氏物語』(新潮文庫)

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2011年8月16日 (火)

高校生の読書感想文におすすめの本~一押し(中編部門・ベスト1)

最新版はこちら
高校生の読書感想文におすすめの本 2013年
 https://elder.tea-nifty.com/blog/2013/07/2013-3172.html 

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 お盆のころから「高校生の読書感想文 おすすめ」といった検索ワードで、嵐の如く当ブログの記事『高校生の読書感想文におすすめの本』にお見えになります。

 この記事でおすすめしたのは長編小説ですので(長いものが不向きな方々のためにポプラ社から出ている「百年文庫」をおすすめしてはいますが)、この時期での切羽詰った読書では、長いものをじっくり読もうという気分にはなれないでしょうね。

 そこで、手頃な長さ、かつ読みごたえのあるみずみずしい青春文学の一冊を上にご紹介した次第です。

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短編部門・ベスト3(ポプラ社「百年文庫」から)
https://elder.tea-nifty.com/blog/2011/08/post-8442.html
(1)ヴァーグナー『ベートーヴェンまいり』(百年文庫13 響)
(2)夏目漱石『琴のそら音』(百年文庫31 灯)
(3)ピランデルロ『よその家のあかり』(百年文庫26 窓)

中編部門・ベスト1
(1)トーマス・マン『トーニオ・クレーガー』(河出文庫)

長編部門・ベスト5
https://elder.tea-nifty.com/blog/2011/08/post-ad1a.html
(1)ロマン・ローラン『ジャン・クリストフ』(岩波文庫)
(2)トルストイ『戦争と平和』(新潮文庫)
(3)ドストエフスキー『罪と罰』(新潮文庫)
(4)マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』(新潮文庫)
(5)円地文子訳『源氏物語』(新潮文庫)

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2011年8月13日 (土)

高校生の読書感想文におすすめの本(長編部門・ベスト5)

最新版はこちら
高校生の読書感想文におすすめの本 2013年
 
https://elder.tea-nifty.com/blog/2013/07/2013-3172.html

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 重厚な大河小説を読んで、高校生の夏休みを思い出深いものにしましょう。一生、傍に置いておける本ばかりです。 

 長いものはとても読めそうにないというかたには、ポプラ社の「百年文庫」をおすすめします。よりすぐりの短編ばかり三編ずつ収録されていますので、どの一冊を選んでもよいと思いますよ。

 小中学生には、岩波少年文庫の名作の数々を。

全4冊。

全4冊。

ドストエフスキー
新潮社
発売日:1987-06

全2冊。

マーガレット・ミッチェル
新潮社
発売日:1977-06

全4冊。

全6冊。

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短編部門・ベスト3(ポプラ社「百年文庫」から)
https://elder.tea-nifty.com/blog/2011/08/post-8442.html
(1)ヴァーグナー『ベートーヴェンまいり』(百年文庫13 響)
(2)夏目漱石『琴のそら音』(百年文庫31 灯)
(3)ピランデルロ『よその家のあかり』(百年文庫26 窓)

中編部門・ベスト1
https://elder.tea-nifty.com/blog/2011/08/post-286a.html
(1)トーマス・マン『トーニオ・クレーガー』(河出文庫)

長編部門・ベスト5
(1)ロマン・ローラン『ジャン・クリストフ』(岩波文庫)
(2)トルストイ『戦争と平和』(新潮文庫)
(3)ドストエフスキー『罪と罰』(新潮文庫)
(4)マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』(新潮文庫)
(5)円地文子訳『源氏物語』(新潮文庫) 

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