久しぶりに電子ピアノのこと。カノン。
夫は、丹内真弓「ピアノの教科書」(ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス、2019)の練習曲6《よろこびのうた/作曲:ベートーヴェン》Part3を終えた後、「3 コードを使った伴奏形」STEP1、2へと進んでいました。
昨年の11月頃から1月にかけて、住居問題が持ち上がり、ろくに電子ピアノの練習ができませんでした。その次のSTEP3から始めたところ、何だか全然できません。しばらくぶりだったからでしょうか?
左手の伴奏形の練習中で、STEP3の課題には「コードの音を1音ずつ分けて弾きましょう」とあります。
ト音記号とヘ音記号については25ページで学習しましたが、楽譜を見ると、音部記号がヘ音記号です。音部記号にはト音記号(高音部記号)、ヘ音記号(低音部記号)、ハ音記号(中音部記号)があります。
楽譜には、ヘ音記号の1段譜が4段並んでいます。
右手で弾いたらいいのか、左手で弾いたらいいのか、わからなかったようでした。どちらで弾くことも可能ですが、左手の伴奏形の練習なので、左手で弾くべきでしょう。
25ページの「へ音記号」の解説には、「ヘ(ファ)の音を表す記号です。2つの点の間がへの音です。中央ドより低い領域に使われ、ピアノの場合、重に左手で演奏する時の記号です」とあります。
大人は理屈で考える生き物なので、考え出すと音楽理論に踏み込むことになってしまい、模倣の天才である子供より上達が遅れるかもしれません。ですが、曲を自分のものにするのは大人のほうが得意かもしれません。
40年ぶりに電子ピアノに触れ、曲に対する見方が子供の頃とは明らかに違います。構造的に見るようになったというのか。
そもそも、子供の頃は調べたくても、ネットなどない時代(テレビは白黒からカラーへ)、自宅には『音楽事典 楽譜篇』(音楽之友社、改版昭和41年)があるだけでした。何度も開いてみましたが、当時のわたしには読むだけで頭が痛くなる代物でした。
先生に指摘されて間違いを正し、たまに先生が断片的に弾いてくださる弾きかたを覚えて真似(1曲通して聴いた覚えがありません。何人もの専門家のお手本をYouTubeで聴けるなんて、凄いことです)、曲らしくなったら次の曲へ……という具合でした。
その繰り返しが何年も続きました。おまけにハイフィンガー奏法の欠点を感じていたわたしには、ピアノの先生のお宅への道そのものが茨の道でした。
和音に比べると、それを1音ずつ分けて弾くのは夫には難しいようです。次のページになると、その2つが混ざっています。その次のページでは3連符の練習。そのまた次のページでは「高いミ、ソ」の練習で、「アメイジング・グレイス」には高いミとソの音が出てくるとあります。
果たして、ページをめくると《アメイジング・グレイス/イギリス民謡》の登場です! ここまで来れば、夫も楽しくなってくるのではないでしょうか。
わたしはそうでした。ここまで進んで、満足度が高くなりました。
この1冊を終えれば、後は夫にお任せです。わたしと練習を続けてもよし、ひとりで弾くのを楽しむのもよし、やめるもよし。ピアノを弾くことは、高齢者となったわたしたちには認知症の予防になると思うので、続けてほしい気がしますが、これ以上の干渉はできません。
わたしは課題に入る前のウォーミングアップとして、ソナチネ1巻1番の1. Allegro、『オトナの簡単ピアノ がんばらずに弾ける初心者のクラシック』(シンコーミュージック、2021)からバッハ「主よ、人の望みの喜びよ」とパッヘルベル「カノン」、バッハインベンション1番を弾くのですが、眠かったり疲れたりしていると、練習不足が祟って、あちこち間違えていました。
最近は集中でき気分よく弾けて、課題に入りやすくなっています。
しかし、問題はその課題です。
2023年6月21日 (水)
ソナチネについて、知らなかったこと
https://elder.tea-nifty.com/blog/2023/06/post-b5ed33.html
前掲記事に書きましたが、ソナチネがやさしい順には掲載されていないことを知らず(あるいは忘れていて)、難しい2番に入ってしまったのでした。おまけに23番に収められているモーツァルトのロンド(ニ長調 K 485)を弾きたくなってしまって……。
練習をほぼ休んでいた昨年11月に思ったこととして、今のわたしにはこの2曲に合格するだけの力量が備わっていないということでした。それでも、ソナチネ1巻2番は何とか1. Allegroを終え、2. Adagio e sostenute に入ったところでした。これも何とか終えようかというところ。短いのに難しい。3. Allegro scherzando も難しそう!
やさしい順に弾いていきながら、時間があるときに2番に取り組みたいと考えています。荘重な美しい曲なので、通して弾いてみたいのです。23番モーツァルトのロンド(ニ長調 K 485)に関しては、これも好きな曲ですし、プロのピアニストも採り上げる曲とあって、弾けるようになりたいのですが、時間が足りません。もっと上手になってから再チャレンジしたいと考えています。
ソナチネで1番やさしいとされる7番ですが、tr(トリル)が出てきます。1番や7番を弾いていると、所々で昔の自分が重なる錯覚を覚えます。ここは何度も練習して得意になった箇所だとか、ここは昔はもっと弾けたような気がするといった、他愛もない感覚ですけれど。
バッハインベンションは昔も今も大好きです。ただ、当時トリルをどのように弾いていたのか、さっぱり記憶にないのです。
……ここで記事を中断して、7番を右左片手で弾いてみました。バッハの曲にはどの曲にも謎めいたところがどこかにある気がするのですが、この曲でもそのように感じました。
解釈を求めて、ググってみました。
☆アナリーゼ J.S.バッハ : インベンション 第7番 ホ短調 / J.S.Bach : Invention No. 7 e minor BWV 778
Takahiko Sakamaki
https://youtu.be/PyQopTqzudU?si=R_x6HK4cy-dozaLp
アナリーゼが楽曲分析のことだと知ったのは電子ピアノを始めてからですが、前述した古い音楽事典には見当たらない用語でした。
『音楽用語 音楽用語集 音楽用語辞典』というサイトに、わかりやすい解説がありました。
アナリーゼ=analyse(独)アナリーゼとは、音楽作品を、形式や様式の観点から分析研究する事。
動画を視聴していて、他にもわからない用語が。
「綺麗なカデンツがあって……」とおっしゃっています。カデンツとは?
『音楽事典 楽譜篇』(音楽之友社、改版昭和41年)を見てみます。127ページにありました。
カデンツ=Kadenz(独)本来は終止(形)のことをいうが,教義の用語法として,近年は主要和音の意味で用いられることが多い。調性的音楽の終止構造にS→D→T(↗機能付標)によるものが多いのに由来し,調性的音楽の和声的基礎構造を一般的に代表せしめたもの。ほかにカデンツァの意味でも用いられる。
カデンツァ=cadenza(伊)(Kadenza 独)元来はカデンツァ・デイ・ブラヴーラ(cadenza di bravura),カデンツァ・フィオリトゥーラ(cadenza fioritura)の略されたもの。終止(形)の前に挿入されるところの演奏困難な自由な無伴奏の部分。……(以下略)……
ドミナントも調べます。すると、属音を見るようにとの指示があったので、見てみましたが、うー頭が痛くなる。
前掲サイトがわかりやすそうなので、そちらを閲覧。
ドミナント=dominant(英)ドミナントとは、次のような意味を持つ。(1)属音(2)属和音(3)属和音と共通の機能を持つ和音を総称して指す事もある。Dと略記。V以外にVIIの和音をV7の根音省略形と見なしドミナントに含む。
モールも、わたしの古い音楽事典にはありません。前掲サイトを再び閲覧。
モル=Moll(独) モル=短調。英語ではminor(マイナー)。音から全音→半音→全音→全音→半音→全音→全音の順に音が上がる。モール。
いやはや、音楽用語を全然知らないでは、曲の解釈も何もあったものではありませんね。ちなみに「カノン」について、わたしの古い音楽事典では128~130ページにかけて、かなり詳しく解説されています。
カノン=(canon 仏)(canon 英,Kanon 独,canone 伊)カノンは元来,「規則」「標準」を意味するギリシャ語で,中世紀以来の音楽においては,最も厳格な模倣による,対位法楽曲の一種を指す。十四世紀には,単旋聖歌よりとられた定旋律(cantus firmus)が他声部によって終始厳格に模倣されるカノン風フーガ(fuga per canonem)と呼ばれる楽曲があり,これが今日のカノンに発達した。カノンの特徴を一般的に述べれば,主題と呼ばれる一声部が旋律を始め,これが応答と呼ばれる他声部によって,ある一定の時間的間隔をおいて正確に模倣される形式である。そして同じく模倣手法によるフーガにおいては模倣が主題のみに限られるのに反し,カノンにおいては終始模倣が行われる。カノンは,色々な観点から,大体次のような種類に分けることができる。……(以下略)……
11種類に分けることができるとあります。
- 平行カノン
- 転回カノン(反行カノン)
- 逆行カノン
- 逆行転回カノン
- 拡大と縮小によるカノン
- 群カノン
- 有限カノン
- 無限カノン(循環カノン,永久カノン)
- 圏状カノン
- 混合カノン
- 謎カノン
カノンの作曲者といえば、やはり真っ先にJ.S.バッハとパッヘルベルを思い出します。パッヘルベルとバッハ家には深い親交があったようですよ。
ウィキペディア「ヨハン・パッヘルベル」
……(略)……1677年、パッヘルベルはアイゼナハに移り、ザクセン=アイゼナハ公のヨハン・ゲオルク1世に仕えていた宮廷楽長、ダニエル・エーベルリンの下で宮廷オルガン奏者の職に就き、宮廷とゲオルク教会での礼拝に携わった(なお、エーベルリンはパッヘルベルと同郷でニュルンベルクの出身であった)。アイゼナハは、J.S.バッハの父ヨハン・アンブロジウス・バッハの故郷であり、パッヘルベルはそこでバッハ家の人々と出会い、アンブロジウス・バッハと親しくなり、彼の子供たちの家庭教師を任せられた[15]。しかし、パッヘルベルのアイゼナハでの生活は、わずか1年で終わることになった。……(略)……1678年の6月、パッヘルベルはヨハン・エフラーに代わりエアフルトのプレディガー教会(伝道者教会)のオルガン奏者として雇われた。エアフルトでもバッハ家は有名で、パッヘルベルと彼らとの交友はここでも続いた。(なお、その地のオルガン奏者たちは皆 "Bachs" と後に呼ばれるようになるほどであった) パッヘルベルは、ヨハン・アンブロジウス・バッハの娘ヨハンナ・ユーディタの名付け親となり、ヨハン・クリストフ・バッハ(1671–1721年、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの長兄)の家庭教師を務め、ヨハン・クリスティアン・バッハ(1640-1682年)の家に住んでいた[17]。エアフルトでの滞在は12年間におよび、その間に彼は、当時のドイツにおける主要なオルガン作曲家の一人に数えられるほどの地位を確立した。……(以下略)……
ウィキペディアの執筆者. “ヨハン・パッヘルベル”. ウィキペディア日本語版. 2023-07-16. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%83%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%AB&oldid=96030670, (参照 2024-02-03).
ところで、前回の電子ピアノの記事でわたしは次のようなことを書いています。
2023年10月21日 (土)
何とヤマハの先生に習った過去を忘却していました。磯山雅著『J・ S・バッハ(講談社現代新書)』(講談社、1990)を再読中。
https://elder.tea-nifty.com/blog/2023/10/post-0b241b.html……(略)……ところで、バッハで検索していたとき、バッハ研究で著名な磯山雅氏が 2018年2月22日に71歳でお亡くなりになっていたことを知りました。以前、テレビでバッハの解説者としてよくお見かけしていました。その解説が大好きで、バッハへの理解が深まりました。著作も持っています。
磯山雅『J・ S・バッハ(講談社現代新書)』(講談社、1990)には沢山線を引いています。次回の電子ピアノの記事で、そのうちのいくつかを紹介させていただきたいと思っています。
磯山氏のブログを見つけました。
I招聘教授の談話室
https://prof-i.firebaseapp.com/prof-i.asablo.jp/blog/index.htmlお亡くなりになった後の3月23日に、国際基督教大学の春季卒業式が挙行され、礒山先生の博士学位授与式が執り行われたそうです。……(略)……
礒山氏の御著書から当記事で紹介する予定でしたが、またの機会に。
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