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2023年11月 7日 (火)

Mさん、お誕生日おめでとうございます

Mさん

お誕生日おめでとうございます

来年1月から放送される大河ドラマ。NHK は次のように宣伝しています

大河ドラマ「光る君へ」は、平安中期に、のちに世界最古の長編小説といわれる「源氏物語」を生み出した、紫式部の人生を描きます。武家台頭の時代を目前に、華やかにひらいた平安文化の花。きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性の一生に挑戦する大河ドラマです。

紫式部像が歪められなければいいが……と戦々恐々としておりますが、ドラマ関連作として書店の平台に置かれていた三枝和子先生の『小説 紫式部(河出文庫)』(河出書房新社、2023)を見かけました。未読だったので、購入しました。

わたしが取り組んでいる人物――祐徳稲荷神社の創建者である祐徳院(萬媛)――は花山院定好の娘で、紫式部と同じ藤原北家の人です。

わたしは過去記事で、紫式部の優れた小説の技法を考察して次のように書きました。

藤壺の宮に対して紫式部は距離を置いた描きかたで、その結果すりガラスを通して見るような、伝聞のような効果が出ている。

藤壺は光源氏に次ぐ――紫の上以上の――重要人物であるにも拘わらず、その人の感情や考えが行動を通してしかわからないために、読者は隔靴掻痒の焦れったさを覚える場合があるかもしれない。『源氏物語』が苦手な人の中にはそういった人々もいるのではないか。

その書き方を通せば、紅茶をすぐに茶碗に注ぐよりもポットの中で茶葉を蒸してから注ぐほうが香りも味も引き立つように、むしろ高貴さが香り立つように思う。

登場回数では紫の上のほうが多いのに藤壺の存在感が薄らぐことがないのは、紫式部がこうした技法上の効果を「雲隠」の手前まで持続させているからに他ならない。

また、紫式部は時々こうした技法を無視したかのように接写しているが、これも同じ技法に含まれるものと考えられ、そうすることによって印象が際立つ。

三枝先生がご健在であれば、こうした技法上のことも含めて色々とお話ししたかったと思わずにいられません。

満身創痍に見える日本文学ですが、Mさんのように変わらぬ志で書き手を育てる人と、変わらぬ志で書く人が存在する限り、文運隆盛の世はまた巡ってくることでしょう。

ご健康と益々のご活躍をお祈りしております

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