ソナチネについて、知らなかったこと
電子ピアノに関する話題です。
夫は両手で「よろこびのうた」を通して弾いています。都合や気分に合わせて2~4日に一度の練習ですから、ゆっくりですが、両手で弾き始めてから楽しそうで、見守る?わたしも楽しいです。
わたしは過去記事で「バッハインベンション第2番が何とか形になってきました。……ソナチネは1番を通して弾いていて、まだ完全ではありませんが、2番に入りました」と書いたような状況ですが、ちょっと考え込んでいました。
購入した教則本は『新訂 ソナチネアルバム1 解説付』(音楽の友社、1955)で、65歳になってからの再チャレンジということもあり、浦島太郎状態で、ほとんど何も考えずに教則本を買いました。その後で購入したバッハインベンションのときは、少し調べました。
メトードローズ、ピアノの教科書は、これ以前にウォーミングアップとして済ませていました。昔使っていたバイエル、ブルグミュラー、ハノン、ツェルニー30番はスルーしてしまっています。ソナタに到達しようと思えば、ハノンとツェルニーはやるべきかなあと迷っています。
ここでなぜソナタが出てきたかといえば、ソナチネ2番が難しいので、改めてソナチネについて調べるうちに、ソナタに行けそうな気がしてきたからでした。
昔、わたしが習っていた先生は、有名音大に生徒を送り出す指導力のある先生でした。ハイフィンガー奏法というわたしには致命的ともいえた同じ奏法で有名音大に行った人は少なくありません。
ところが、わたしはその奏法が嫌で、ピアノまで嫌になってしまいました。「わたしはソナタに行くことはないだろう」と思いました。音大を志す人はソナタを弾いていた印象があり、「ソナタへ行けない」というのがピアノにおける自分の限界を表現する言葉となっていました。
文学に関心が向いてからは、完全にピアノから遠ざかりました。でも、ピアノとの出合いと別れは苦い思い出となって、よくピアノの夢を見ました。再チャレンジしてからは一度も見ていません。
今こうして弾いていると、ピアノを弾く姿勢をしっかり叩き込まれていることがわかります。わたしはそこからハイフィンガー奏法の特徴を消し去って弾いています。
ソナチネ2番が難しいので、つい深夜に4~5時間くらいも弾いてしまいますが、幸い、指、腕、どこにも不具合は感じられません。もっと弾いていたいのですが、昼間仮眠がとれないと悲惨なことになるので(若い頃のような踏ん張りが利きません)、これくらいが限界です。
2番を昔弾いたかどうか、覚えていません。
前掲のソナチネは、近眼+老眼には小さめの音符がややきついということはありますが、問題なく使っています。ただ、解説付とあるのに、ろくに読んでいませんでした。
2番がこんなにも難しいのだとしたら、近々わたしはピアノに2度目の挫折をするだろうと思い、気分的に落ち込みました。2日ほど落ち込んでいました。3日目になって、ピアノが嫌いだった昔でさえ、ソナチネをこんなに難しいと感じたことはなかった……と思い、ググッてみました。
すると、ソナチネアルバムの1と2に難易度の差はないため、2はせずにソナタへ行く人もいるという記事を読みました。そして、ソナチネアルバム1の2番は難易度が高いほうだということもわかりました。
わたしはソナチネを最初から順番に弾こうとしていましたが、考えてみると、ピアノの先生は行ったり戻ったりしながら次の課題曲を指定していらっしゃいました。
『新訂 ソナチネアルバム1 解説付』には全部で30曲収められています。ソナチネとは小さなソナタという意味ですが、18番からは古典及びロマン派の代表的作曲家の小品が収められています。
曲に入る前に、作曲家の紹介(ハイドン、クレメンティ、モーツァルト、ベートーヴェン、クーラウ)、ソナチネ主題一覧、難易度が掲載されています。
やさしいほうからA~Eまで。曲全体と各楽章別の難易度が表示されています。E(非常にむずかしい)は、19番ハイドン「Adagio」、24番ベートーヴェン「Rondo Op51,No.1」、30番シューマン「小さなフーガ」です。
Opとは作品番号のことです。
やさしいA……6曲、少しやさしいB……6曲、少しむずかしいC……6曲、むずかしいD……9曲、非常にむずかしいE……3曲。
1番はBです。2番はDなので、確かに難しいほうですね。バッハインベンションの2番も難しい曲なので、難しい曲の二重攻撃。憂鬱になったのも仕方がありません。
ソナチネはやさしい順に掲載されていると思い込んでいたので、2番でこれだと30番ではどれくらいの難しさだろうとビビり、その先にソナタが遙か遠くヒマラヤ山脈のように聳えているというイメージでした。昔のことを思い出せば、そこまでかなという気も若干はしましたが。
ですが、実際の難易度を知ると、ソナタが近くの山に思え、調子抜けしました。ソナチネ2番に手子摺っている癖に、ソナタが近くの山というと、いい過ぎかもしれませんが。ピアノの先生がとても厳しかったのは、「あなただって音大に行くんでしょう、そのつもりで教えているのよ」という教え方だったからかもしれません。
以下の記事で、「学んでおいた方が良いかなというものを難易度順」に紹介してくださっています。
「中級レベルの有名なピアノ教則本!ソナチネアルバム第1巻の難易度順!!」『しろくろ猫のおもむくまま』
https://shirokuroneko.com/archives/1807.html7番 クレメンティー ソナチネ Op.36 No.1 ★
4番 クーラウ ソナチネ Op.55 No.1 ★★
8番 クレメンティー ソナチネ Op.36 No.2 ★★★
9番 クレメンティー ソナチネ Op.36 No.3 ★★★★
10番 クレメンティー ソナチネ Op.36 No.4 ★★★★★
6番 クーラウ ソナチネ Op.55 No.3 ★★★★★★
12番 クレメンティー ソナチネ Op.36 No.6 ★★★★★★★
記事では、各曲について、詳しく解説されています。そして、「他にも曲はありますが、これだけ弾けばもう充分です!」とお書きになっているではありませんか。
そこで紹介されている全曲、最初の2頁だけざっと弾いてみました。最初から両手で弾けます、間違いながらですけれど。どれも昔弾いたことがあるような……。12番は、『新訂 ソナチネアルバム1 解説付』での難易度はCです。どれも2番よりやさしいので、弾きやすいはずです。
わたしがある曲を厄介だと感じるのは、五線からはみ出した加線音符が沢山目につくとき。加線が3本以上になると、嫌になります。この課題を克服しなければ、ソナタには行けないでしょうね。
しかし、この課題についても、様々なアドヴァイスがネット検索で出て、助かります。
ソナチネで1番やさしいとされる7番。
Clementi: Sonatine no.7 in C-Dur Op.36-1(Nagai)
2525sagi
https://youtu.be/TG6hQtT4I6Y
手子摺っている2番。
Friedrich Kuhlau: Sonatina Op. 20 No 2 in G Major (Complete)
SV NS
https://youtu.be/2ePa5IsqGdI
ソナタアルバム、平均律クラヴィーア曲集、モーツァルト・ベートーヴェンのソナタ集、ショパンのエチュード……まだまだ沢山の山々が。どこで寿命が尽きるのやら。
神智学のブラヴァツキー夫人はピアノの名手だったそうです。聴いてみたいなあ。優れた小説家でもありましたね(格調高い神秘主義小説)。
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