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2023年6月の4件の記事

2023年6月21日 (水)

Kindle版『気まぐれに芥川賞受賞作品を読む 2007 - 2012(Collected Essays, Volume 2)』をお買い上げいただきました。ありがとうございます!

『気まぐれに芥川賞受賞作品を読む 2007 - 2012(Collected Essays, Volume 2)』(ASIN:B00J7XY8R2)を6月4日ごろ、お買い上げいただきました。ありがとうございます!

26冊目のお買い上げでした。26冊中、1冊はアメリカでのお買い上げです。

Amazon: 直塚万季のページ

純文学小説

児童小説

評論・エッセイ

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ソナチネについて、知らなかったこと

電子ピアノに関する話題です。

夫は両手で「よろこびのうた」を通して弾いています。都合や気分に合わせて2~4日に一度の練習ですから、ゆっくりですが、両手で弾き始めてから楽しそうで、見守る?わたしも楽しいです。

わたしは過去記事で「バッハインベンション第2番が何とか形になってきました。……ソナチネは1番を通して弾いていて、まだ完全ではありませんが、2番に入りました」と書いたような状況ですが、ちょっと考え込んでいました。

購入した教則本は『新訂 ソナチネアルバム1 解説付』(音楽の友社、1955)で、65歳になってからの再チャレンジということもあり、浦島太郎状態で、ほとんど何も考えずに教則本を買いました。その後で購入したバッハインベンションのときは、少し調べました。

メトードローズ、ピアノの教科書は、これ以前にウォーミングアップとして済ませていました。昔使っていたバイエル、ブルグミュラー、ハノン、ツェルニー30番はスルーしてしまっています。ソナタに到達しようと思えば、ハノンとツェルニーはやるべきかなあと迷っています。

ここでなぜソナタが出てきたかといえば、ソナチネ2番が難しいので、改めてソナチネについて調べるうちに、ソナタに行けそうな気がしてきたからでした。

昔、わたしが習っていた先生は、有名音大に生徒を送り出す指導力のある先生でした。ハイフィンガー奏法というわたしには致命的ともいえた同じ奏法で有名音大に行った人は少なくありません。

ところが、わたしはその奏法が嫌で、ピアノまで嫌になってしまいました。「わたしはソナタに行くことはないだろう」と思いました。音大を志す人はソナタを弾いていた印象があり、「ソナタへ行けない」というのがピアノにおける自分の限界を表現する言葉となっていました。

文学に関心が向いてからは、完全にピアノから遠ざかりました。でも、ピアノとの出合いと別れは苦い思い出となって、よくピアノの夢を見ました。再チャレンジしてからは一度も見ていません。

今こうして弾いていると、ピアノを弾く姿勢をしっかり叩き込まれていることがわかります。わたしはそこからハイフィンガー奏法の特徴を消し去って弾いています。

ソナチネ2番が難しいので、つい深夜に4~5時間くらいも弾いてしまいますが、幸い、指、腕、どこにも不具合は感じられません。もっと弾いていたいのですが、昼間仮眠がとれないと悲惨なことになるので(若い頃のような踏ん張りが利きません)、これくらいが限界です。

2番を昔弾いたかどうか、覚えていません。

前掲のソナチネは、近眼+老眼には小さめの音符がややきついということはありますが、問題なく使っています。ただ、解説付とあるのに、ろくに読んでいませんでした。

2番がこんなにも難しいのだとしたら、近々わたしはピアノに2度目の挫折をするだろうと思い、気分的に落ち込みました。2日ほど落ち込んでいました。3日目になって、ピアノが嫌いだった昔でさえ、ソナチネをこんなに難しいと感じたことはなかった……と思い、ググッてみました。

すると、ソナチネアルバムの1と2に難易度の差はないため、2はせずにソナタへ行く人もいるという記事を読みました。そして、ソナチネアルバム1の2番は難易度が高いほうだということもわかりました。

わたしはソナチネを最初から順番に弾こうとしていましたが、考えてみると、ピアノの先生は行ったり戻ったりしながら次の課題曲を指定していらっしゃいました。

『新訂 ソナチネアルバム1 解説付』には全部で30曲収められています。ソナチネとは小さなソナタという意味ですが、18番からは古典及びロマン派の代表的作曲家の小品が収められています。

曲に入る前に、作曲家の紹介(ハイドン、クレメンティ、モーツァルト、ベートーヴェン、クーラウ)、ソナチネ主題一覧、難易度が掲載されています。

やさしいほうからA~Eまで。曲全体と各楽章別の難易度が表示されています。E(非常にむずかしい)は、19番ハイドン「Adagio」、24番ベートーヴェン「Rondo Op51,No.1」、30番シューマン「小さなフーガ」です。

Opとは作品番号のことです。

やさしいA……6曲、少しやさしいB……6曲、少しむずかしいC……6曲、むずかしいD……9曲、非常にむずかしいE……3曲。

1番はBです。2番はDなので、確かに難しいほうですね。バッハインベンションの2番も難しい曲なので、難しい曲の二重攻撃。憂鬱になったのも仕方がありません。

ソナチネはやさしい順に掲載されていると思い込んでいたので、2番でこれだと30番ではどれくらいの難しさだろうとビビり、その先にソナタが遙か遠くヒマラヤ山脈のように聳えているというイメージでした。昔のことを思い出せば、そこまでかなという気も若干はしましたが。

ですが、実際の難易度を知ると、ソナタが近くの山に思え、調子抜けしました。ソナチネ2番に手子摺っている癖に、ソナタが近くの山というと、いい過ぎかもしれませんが。ピアノの先生がとても厳しかったのは、「あなただって音大に行くんでしょう、そのつもりで教えているのよ」という教え方だったからかもしれません。

以下の記事で、「学んでおいた方が良いかなというものを難易度順」に紹介してくださっています。

中級レベルの有名なピアノ教則本!ソナチネアルバム第1巻の難易度順!!」『しろくろ猫のおもむくまま』
https://shirokuroneko.com/archives/1807.html

7番 クレメンティー ソナチネ Op.36 No.1 ★
4番 クーラウ ソナチネ Op.55 No.1 ★★
8番 クレメンティー ソナチネ Op.36 No.2 ★★★
9番 クレメンティー ソナチネ Op.36 No.3 ★★★★
10番 クレメンティー ソナチネ Op.36 No.4 ★★★★★
6番 クーラウ ソナチネ Op.55 No.3 ★★★★★★
12番 クレメンティー ソナチネ Op.36 No.6 ★★★★★★★

記事では、各曲について、詳しく解説されています。そして、「他にも曲はありますが、これだけ弾けばもう充分です!」とお書きになっているではありませんか。

そこで紹介されている全曲、最初の2頁だけざっと弾いてみました。最初から両手で弾けます、間違いながらですけれど。どれも昔弾いたことがあるような……。12番は、『新訂 ソナチネアルバム1 解説付』での難易度はCです。どれも2番よりやさしいので、弾きやすいはずです。

わたしがある曲を厄介だと感じるのは、五線からはみ出した加線音符が沢山目につくとき。加線が3本以上になると、嫌になります。この課題を克服しなければ、ソナタには行けないでしょうね。

しかし、この課題についても、様々なアドヴァイスがネット検索で出て、助かります。

ソナチネで1番やさしいとされる7番。

Clementi: Sonatine no.7 in C-Dur Op.36-1(Nagai)
2525sagi
https://youtu.be/TG6hQtT4I6Y

手子摺っている2番。

Friedrich Kuhlau: Sonatina Op. 20 No 2 in G Major (Complete)
SV NS
https://youtu.be/2ePa5IsqGdI

ソナタアルバム、平均律クラヴィーア曲集、モーツァルト・ベートーヴェンのソナタ集、ショパンのエチュード……まだまだ沢山の山々が。どこで寿命が尽きるのやら。

神智学のブラヴァツキー夫人はピアノの名手だったそうです。聴いてみたいなあ。優れた小説家でもありましたね(格調高い神秘主義小説)。

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2023年6月10日 (土)

イベルメクチンが慢性腎臓病の進行を抑制することを発見(千葉大学)。LGBT法案(2023年6月9日、衆議院内閣委員会)、LGBT当事者への優れた内容のインタビュー動画。牛舎、豚舎、養鶏場の相次ぐ火災。

電子ピアノの練習は、夫はベートーヴェンの「よろこびのうた」を両手で通して弾いています。丹内真弓著『ピアノの教科書』ではこの曲が何度も出てきます。夫が弾いているのはpart2です。

「左手では二つの異なる和音が出てくるだけなんだけど、スムーズに次の和音に指が動かない」と夫。これは、練習を重ねることで、スムーズに弾けるようになるはずです。右手の旋律に左手の和音が加わると、傍で聴いていても美しく、夫も楽しそうです。

わたしはバッハインベンション第2番が何とか形になってきました。片手ずつの練習を重ね、まだ両手で弾いたのは3回ほどです。ソナチネは1番を通して弾いていて、まだ完全ではありませんが、2番に入りました。1番は、2番に入る前に当分の間は通して弾きたいと考えています。

年とったせいか、根気が続かず、通して弾くと、どこかで間違えてしまいがちです。その代わり、曲に対する理解度は増した気がします。作曲者の工夫が曲全体に渡っていることがわかり、感心しながら弾いています。

話題は変わりますが、ツイッターを見ていると、毎日様々な情報が流れてきて、気になっても半分くらいは追いかけることができないほどです。その中でもお伝えしたいのはイベルメクチンが慢性腎臓病に効くというニュースです。

カテゴリー「新型コロナ対策: イベルメクチン」記事一覧
https://elder.tea-nifty.com/blog/index_ivermectin_madame-n-blog.html

母が長い間、慢性腎臓病に苦しんだことを思うと、「イベルメクチンって、何て凄い子なの!」と思いました。18日が母の命日です。48歳で亡くなりました、若かったですね。大ニュースになっていいはずですよね。透析患者も大勢いらっしゃいます。

メディアは、イベルメクチンのことでは、貶めるためのフェイクニュースでしか騒ぎません。有害事象が多く確認され、裁判も起きているワクチンは、相変わらず推進されています。これが陰謀の一端でなくて、何なのでしょう。

小倉台福田医院_福田世一.MEC食Dr@fseiichizb4

千葉大学
イベルメクチンが慢性腎臓病の進行を抑制することを発見

コメ:
これは凄い発見だ。

腎臓のろ過システムは、血液→糸球体基底膜→ポドサイト(糸球体上皮細胞)→原尿→おしっこができる。

イベルメクチンはインポーチンに結合しその働きを阻害。これによりデンドリンというタンパクがポドサイト核に入れなくなるため慢性腎臓病の進行を抑制する

国立大学法人千葉大学「腎臓病進行を抑制する方法を発見 糸球体に現れるデンドリンの核移行抑制が腎臓病進行を遅らせる」『PRTIMES』2023年5月9日 14時00分
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000712.000015177.html

最終更新 午後10:11 · 2023年5月10日

よいニュースの後は、思わしくないニュース。牛舎や豚舎、また養鶏場の火災が頻繁に起きています。このことも、わたしはテレビでニュースになったのを見たことがありません。食糧危機を煽るための放火ではないかと疑いたくなります。農業や酪農はじり貧にしておいて、コオロギ食、ゴキブリミルクを大歓迎しろと? 

桃太郎+@momotro018
牛舎や豚舎や鶏舎の火災を時系列でアニメーションにしてくれてる人がいた。この異常な状況がだいぶイメージしやすくなるので是非ご覧ください。

(動画あり)
投稿者: Yu2-Proof

午後4:52 · 2023年4月28日

世界経済フォーラム――ダボス会議――の陰謀家達(国際金融資本)に丸め込まれてしまっているかに見える自民党はもうだめだと思わざるをえませんが、昨日の衆議院内閣委員会の模様を視聴していると、欧米では大問題になっているLGBT法案を、工夫を凝らして何とかよい法案にしようと苦慮していることが感じられ、こんなことは自民党でないとできないなと思いました。

LGBTも世界経済フォーラムから出たものですが、日本でこの法案を欲しているのはLGBTの人々というより左翼議員、活動家達です。利権形成と国体破壊のためでしょう。しかし、ジャーナリストの山口敬之さんによると、旗振り役は「左翼の餌食」となった自民党の稲田朋美さんであるようです。

西洋では同性愛に厳しかった。その反動ともいわれていますが、日本では事情が異なります。マツコさんのようなかたが大活躍できる国柄なのです。

mei@2022meimei3
カリフォルニアでLGBT推進派と反LGBT派が乱闘に

原因はカリフォルニア州では学校でも6月を「プライド月間(毎年6月に世界各地でLGBTQ+の権利を啓発する為の活動が行われる期間)」と認定する事が投票で決定したからです。

保護者が遂にキレました。
(動画あり)

午後5:28 · 2023年6月7日

日本の国柄、歴史、文化に対する教養も関心もなさそうな人物――ユダヤ人で米国とイスラエルの国籍を持つラーム・エマニュエル駐日米国大使が、G7まで連日のようにツイッターでLGBT法案を通すようにと煽っていました。これは明らかに内政干渉です。駐日米大使という肩書を持ちながら活動家に徹する人物はさすがにこれまで見たことがありませんでした。

naotsuka_maki@NaotsukaM
エマニュエル駐日米国大使の目に余る内政干渉に批判沸騰

2023.05.03 12:00 アゴラ編集部「エマニュエル駐日米国大使の目に余る内政干渉に批判沸騰
https://agora-web.jp/archives/230502214449.html

午後11:39 · 2023年6月7日

安倍元総理がこの問題を長い間研究して危機感を募らせておられたと山口敬之さんはおっしゃっています。

【第18回】「『安倍元首相はLGBT法案に賛成していた』という大嘘」 山口敬之チャンネル 生放送
山口敬之チャンネル

「いかなるLGBT法案も日本に必要ない」「性自認差別禁止条項は絶対にダメ」というのが安倍元総理のお立場だったとか。

安倍元総理がここに至った経緯を、山口さんは詳細に説明しておられます。

……七生養護学校事件(→ウィキペディア)をきっかけとして、日本中の特定の学校で過激な性教育が行われ始めた。このことに問題意識を持った保守系議員により、2005年に安倍元首相を座長とした「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査PT」が立ち上がった。
そして、過激な性教育は左翼の伝統社会を壊すムーブメントであると理解した安倍元総理は、保守政治家たるものはこれにはノーというべきであるとお考えになっていた。

LGBTの原点を知る二つのキーワードがある。それはマルクス主義のうちのフランクフルト学派――ヘーゲルとフロイトの思想を融合したもの――の亜流とされる人々による早く革命を起こすために伝統社会を壊すというムーブメント及び毛沢東主義の「階級」「民族」「性別」による社会の分断である。

LGBTを理由付けにして共産主義者がこれを強力に推進してきているんだという危機感が2005年当時から安倍元総理にはあった。……

西田昌司事務所@j_shoujinishida・10時間
【YouTube西田昌司チャンネル】
衝撃

埼玉県のLGBT教育、これは間違ってないのか⁉︎

もはや野放しでは止められない!規制するためにLGBT法案が必要だ!

【動画はこちらから】
https://youtu.be/mTYEIKvTohg

naotsuka_maki@NaotsukaM
衆院内閣委員会を視聴し同じ危機感を持ちました。女子トイレがなくなった、過激な性教育を訴える等のツイートに、LGBT法もないのに…と疑問でしたが、質疑からするとフライングして地方自治体に働きかけている野党議員がいる様子。理念法との強調、自認の言葉無し、性教育に保護者の目はいいですね。
午前4:32 · 2023年6月10日

肛門科女医 みのり先生@koumonka_doctor・8時間
LGBT法案が通るとどんなことが起こるのか?女湯に男性器のある「自称女性」が入って来ます。そこで悲鳴を上げて「出て行って下さい!」というと「あなたは差別した!」と逆に訴えられ逮捕されるかもしれません。

 「”公衆浴場が公衆欲場に( ̄ロ ̄lll)”」『みのり先生の診察室』
https://ameblo.jp/drminori/entry-12806779114.html

naotsuka_maki@NaotsukaM
衆議院内閣委員会を視聴していました。その質疑によると、このLGBT法案は理念法で、個々の行動を制限したり、何か新しい権利を加えるものではないとのこと。お風呂に外見男で心は女が入ってきた場合、建造物侵入罪、公然わいせつ罪に当たるとのことでした。

【国会生中継】LGBT法案の行方【衆議院内閣委員会】
https://www.youtube.com/live/yVUiyKoblNE?feature=share

午後11:02 · 2023年6月9日

2023年6月9日の衆議院内閣委員会(3時間48分)は、衆議院インターネット審議中継のビデオライブラリで視聴できます。

万一女風呂や女子トイレに、体は男、心は女(自称女、戸籍上は男)が入ってきたら、どんどん通報しましょう。その人物はおそらく、痴漢、あるいは活動家でしょう。常識が求められるのは、如何なる性別の人間でも同じ。

そもそも、性の多様性という言い方は非科学的な、感情的表現で、違和感があります。多様な性文化があるというべきではないでしょうか。

人間の性別は♂♀のみ。ここまで来るのに、長い過程を経たとブラヴァツキー夫人はいいます。

そういえば、貴重な動画の紹介を忘れていました。LGBT当事者へのインタビュー動画です。LGBT問題を考える全ての人に視聴していただきたい優れた内容です。性転換手術は「史上最大の医療詐欺」とウォルト・ヘイヤーさんはおっしゃいます。

性転換手術をしても性は転換しない。LGBT者の本当の問題を誤魔化し、悩みを深めるだけのものだとか。やはり人間の性は♂♀のみなのです。

LGBT当事者告発/性転換手術は「史上最大の医療詐欺」ウォルト・ヘイヤー氏 Sex Change Regret : Walt Heyer
https://youtu.be/JCvdEmVb2TQ

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2023年6月 4日 (日)

使い道のない小説のざっとした出だし(タイトルは「ピアノのお稽古」になるかな)

また日が空きました。小説に没頭していたわけではありません。祐徳院に関するエッセーをまとめるに当たり、神秘主義的要素を抜こうかどうしようかと迷い続けていたのです。抜けば、世間に出しやすいものになります。しかし、そうすれば、神秘主義的感性なしでは解けなかった謎のいくつかを書くことが難しくなるのです。また、生前から優れた神秘的な能力を発揮された萬媛を表面的にしか扱えなくなります。いつまでも結論が出ず、かったるくなりました。

電子ピアノでは、夫は両手に入り、順調です。指の位置を特定するのにまだ時間がかかり、時々止まりますが、ここまで来れば、あとは練習すれば上手になる一方だと思うので、一人立ちも近い?

わたしはインベンション2番、ソナチネは1番を通して弾いています。冬春の乾燥時に指が滑って困りましたが、梅雨に入ったせいか、滑らなくなりました。練習を始める前に手を洗います。それ以上の対策は必要でなくなりました。

夫が細い角材とゴムで楽譜押さえを作ってくれました。ヘッドホンで練習するには便利ですが、ヘッドホンを外すと譜面台の細工が響き具合に影響しているのがわかります。

小説は、今の世界を、陰謀論者と呼ばれる女性の通訳的な人物(夫)の視点で描いたものになりそうです。どこかに応募する当ても発表する当てもないので、モチベーションは悲しいほど上がりませんが、現実に存在する夫とのピアノのお稽古ごっこを作品に取り入れることで見えてくるものがあるというインスピレーションがわき、ざっと出だしを書いてみました。

プロットも完成していない段階での単なる落書きですが、アップしておきます。といってもピアノのお稽古ごっこはこの落書きでは出てきません。たぶんこの出だしはスクラップになります。

そのうち完成して、小説になっていれば、電子書籍にするかもしれません。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+

「ピアノのお稽古(仮題)」

 美しい言葉、わかりやすい喩えで、教えを綾なしたイエスだったが、律法学者に多いパリサイ派と鋭く対立していた。「あなたたちは悪魔である父から出た者」と断定し、彼らの崇める神は神という名に値しない悪魔とまで宣うた。異邦人であるわたしにはこの言葉を比喩的にしか捉えられなかったが、あるいはイエスは、そこまでいいたくなる彼らの行状を知っていたのだろうか。

 2019年、新型ティアラウイルスがもたらした伝染病が豪華客船ルビー・プリンス号によってイタリアに持ち込まれたことを皮切りに、新型ティアラウイルス感染症は世界的な大流行となった。
 ティアラ・パンデミックが終息しない中で行われた2020年の米大統領選の頃から、陰謀論者と呼ばれる人々が伝染病並みに増えていった。陰謀論という症状は新型ティアラ感染者に現れる脳症状の一つとも疑われたが、意外なことには陰謀論者に感染者は少なかった。
 選挙選を制して新大統領になった男が開票間際に奇跡的な大量票を獲得したために、陰謀論者たちはその現象をフィネガン・ジャンプと名付け、陰謀論を多彩な内容にしていった。
 陰謀論者たちはフィネガン大統領が不正をしたと信じた。その信念は、収まらない伝染病に飛び火した。彼らは新型ティアラウイルスを作為的なもの、人工的なものと決めつけることを好んだ。
 彼らの信念が呼び寄せたかのような内容の論文が、高名な科学誌サイ・エンストに現れた。その論文が後日何らかの理由で取り下げられたため、陰謀論者たちは死体に飛びつくハイエナさながら、その理由を盛んに憶測した。
 一方では、新型ティアラはシナの動物市場からヒトに感染が広がったともいわれている。

 妻の千華子は、小学校低学年から高校時代にかけて強迫神経症を患った。その症状は、自分でも馬鹿らしいと自覚しながらも、ある行動をとらずにいられないという形で出た。玄関から出るときは右足から出なければならないとか、ランドセルの中身を7回確認しなければならないとか……なぜかそれをしなければ安心が得られなかったそうで、それはいわば世界観が崩壊しないための儀式だったという。   
 このことと関係あったかどうかわからないけれどーーといって聴かされるエピソードがあった。
「父が海外航路の船員だったでしょ。母が準公務員の仕事を辞めたくなかったせいで、在日コリアンの小母さんを雇ったの。小母さんはご主人に死なれて困り果て、子守兼家政婦の働き口を探していたらしいわ。半世紀以上も昔の話になるわね。可愛らしい顔立ちの優しい小母さんだったけれど、わたしより10歳くらい上の息子ーー彼は団塊世代になるわーーがいて、そのことが災いした」
 この話を聴かされるのは初めてではなかった。
「ワルいこと、されたのよ。小母さんがいないときに。あたかも日本人が彼らに罪深いことばかりしてきたかのような印象操作をGHQがしたせいで、彼は日本人の女の子には何をしても構わないって、思ったんじゃないかしら。敗戦前は同じ国の国民だったはずなのにね。あちらのインフラを整備し、沢山の建物を作り、教育制度を確立して、寿命を延したのは、ずいぶんと罪深いことだったのよ」
 そうなのか? どんな理由があったとしても、諸君は今日から日本国民ではなく、別の国の国民になりました、なんていわれたら、わたしは面白くないぞ? だからといって、その別の国の女の子に何か悪いことをしていいわけではない。それとこれとは別問題だ。GHQが何をしたかはあまり知らないが……。
 小学校の低学年のときに、その忌まわしい出来事は何度か起きた。そのことの意味がよくわからなかった彼女は、母親にもいえなかったという。
 比較的最近の出来事になるが、妻は2冊の本を熱心に学習していた。1994年に文藝春秋から文庫になって出た江藤淳著『閉ざされた言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』と、自由社から2015年に出た関野通夫著『日本人を狂わせた洗脳工作(WGIP) いまなお続く占領軍の心理作戦』だ。
 妻から聴かされる子供のころの話は聴きたい類いの話では当然なかったし、2冊の本はともかく、ネットから仕入れたらしい話のねた……日本に戦争を仕掛けた米国民主政権はディープステートに操られていた、ディープの連中は明治維新の背後にもいただとか、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部、日本で占領政策を実施した連合国連機関。いわゆる進駐軍)にはマルクス主義者のうちのフランクフルト学派が大勢いただのという話になると、いささかついていけないものを感じた。
 米民主政権というと、今更ながらGHQを連想する妻は、アメリカのフィネガン民主政権を快く思っていなかった。日本に原爆を2発も落としたのは米民主政権だったと彼女は強調する。が、共和党のチェス前大統領がディープステートと闘っているという説には懐疑的だった。
 ディープステートとは、欧米で国家内国家を形成しているユダヤ系国際金融資本のことをいうらしい。ヨーロッパのディープステートの代表格がロスチャイルド、アメリカはロックフェラーなんだそうだ。彼らが大金持ちだという見解、それにはわたしにも異論がない。
 戦前の日本はディープステートによる弊害を知っていて当時の新聞にはそれに関する記事が普通に出ていた、太平洋戦争が日本にとっては植民地主義を進めるディープステートとの戦いだったといわれても、陰謀論の域を出ない気がする。妻は尚もいう。
「アジアで植民地になっていなかったのは、もう、タイ王国と大日本帝国だけだったのよ。玉音放送にも日本が植民地主義と戦った痕跡があるわ。『 私は日本と共に終始東アジア諸国の解放に協力してくれた同盟諸国に対して、遺憾の意を表さざるを得ない※1』という箇所は正にそうでしょう……違う?」
 唐突に玉音放送といわれても、太平洋戦争を題材としたドラマなんかで、電波障害のため「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」という言葉がかろうじて聴きとれるラジオ放送というくらいの認識しかなかった。大日本帝国は植民地主義の片棒を担いで、アジア諸国を侵略したのではなかったか? わたしはそのように学校で習った。妻もそうだったはずだ。
 いずれにせよ、戦後80年近く経った今になって、このような話題はかったるい。しかし妻はまだディープステート、ディープステート宣う。
 ディープステートの頂点にいるーー君臨しているというわけではないらしいーーロスチャイルド家について話し始めた妻は、なぜか声をひそめていった。
「ロスチャイルド家は、パリサイ派ユダヤ人の血を引いていることを誇りにしているそうよ」 
「ロスチャイルドはともかく、アメリカの石油王ロックフェラーはユダヤ系ではないだろう?」とわたしがいうと、妻はまたしても秘密の囁きのようにいうのだった。
「わたしもそう思っていた。ウィキぺディア(フリー百貨事典)に『ドイツ南部のプロテスタントの一派バプテスト(浸礼派)に起源を持つアメリカ合衆国の名門一族』ってあるもの。ウィキには騙されるわね。実際には、セファルディム系ユダヤ人らしいわよ」
「セファル……何だって?」
「説明するのが面倒だから、ウィキペディアで調べて」
「ウィキは人を騙すんだろう?」
 妻は、顔を上げた。リビングを拭き掃除しながら、おしゃべりしていたのだった。涼しげなまなざしだったが、突如アルコール除菌スプレーのノズルをこちらに向ける。
「ひゃー、冷たい!」
 わたしの胸の心臓のある辺りに除菌液を吹きつけてきた。濡れたカーキー色のTシャツが肌にこびりつく。わたしはバイ菌か? おまえのおまんま代を稼いでくるご主人様だぞ?
「さあ、お掃除終わり! アルコール除菌やら、マスクやら、衛生用品にかかる費用も馬鹿にならない……いつまで、こんなことが続くのかしら。それとも始まったばかりなの?」
「千華子に頼まれた日本製のマスクだがね、ゲットし損なうところだったんだぜ。シナ製から売りたいのか、日本製は手の届かない棚の上に置かれていたんだ。衛生用品の大手メーカはなぜもっとマスクを作らないんだろう、買ったマスクの会社にしてもさ」
「ああ、あそこはね。尿漏れのための吸水パットや大人用オムツを作っていて、その需要があるから、安易に製造ラインを換えたりしないんじゃないかな。その点が日本企業の優秀さを物語っているとも思う」
「へえー、そう?」
「そうよ。ああいうものってとても大事で、人間が文化的生活を送れるかどうかのぎりぎりのところで生活全体を押し上げてくれるものなのよ。母の介護のときに、そのことがよくわかったわ。男性用の吸水パットもありますよ。入用になったらいってね。蛇口の締まりが悪くなるのと同じことなんだから、何も恥ずかしいことじゃないわ」
 妻は最後のほうは独り言のようにいい、洗面所に行き、戻って来ていった。
「コーヒーが飲みたいな。あなたも飲む?」
「淹れようか」
「ありがとう」というと、妻はエプロンを外した。
「カルディで買ったキリマンジャロとイタリアンローストがあるな。どちらにしますか、奥さん」
「イタリアンローストがいいわ。牛乳をたっぷり入れたら美味しいわね、深煎りの黒いのには」
 妻はこのころはまだ、牛を殺せば15万円の助成金が出るという酪農家潰しの話はしなかった。ニュージーランドの牛にゲップ税が課せられるようになったという、面食らうような話もしなかった。ゲノム編集の話もしなかった。
 サイフォンで淹れたコーヒーは格別だが、ちょっと面倒なので、マキネッタを使うようになってからはこればかりだ。透明感のある味わいをもたらしてくれるサイフォンとは違って、野生的な味わいを引き出してくれるマキネッタ。豆を挽くときから漂うコーヒーの香りは、狂ったわたしたちの世界観を正してくれるような気がする。コーヒーは慎ましく暮らすわたしたちの大切な友人といってもいいくらいだ。
 コーヒーを飲む間にも、アイパッドでツイッターをチェックしている妻を眺めながら、まだしも、主婦たちの井戸端会議のほうが健康的かもしれないと思う。妻の世界は世間から広がっていたのではなく、SNSすなわちソーシャル・ネットワーキング・サービスから何処かへ広がっていた。その世界は、傍観者のわたしには窺い知れないところがあった。
 妻はアイパッドを閉じた。ゆっくりとコーヒーを飲んでいたが、カップを置くと宣言するようにいった。
「ねえ、あなた。わたしは陰謀論者なんですって!」
 ツイッターでどんなやりとりをしていたのか。陰謀論の定義は怪しいもののようにも思えるが、懸念といえば、神経症児だったかつての妻が構築した世界ーー非合理な儀式によって成立していた世界が甦ろうとしているのではないかということだった。陰謀論というか、政府とも世間とも折り合いの悪い情報を養分にして……。窺い知れぬところのある彼女が、一段と窺い知れぬ世界へと行ってしまいそうだ。
 わたしが定年退職後に就いた仕事はシティホテルの夜間フロント係で、給料は安いが、長年勤務した以前の職場に比べれば、楽といえる。まあ、妻がいささか遠い人になったところで、飯さえ用意して貰えれば、こちらに実害が出ることはないだろうとは思う。

 2021年7月、わたしたちに新型ティアラウイルスワクチンの接種券が送られてきたとき、すでに戦いの用意はできていた。妻にいわせれば、これは第三次世界大戦なのだそうだ。

 

※1 ウィキペディアの執筆者. “玉音放送”. ウィキペディア日本語版. 2023-05-22. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E7%8E%89%E9%9F%B3%E6%94%BE%E9%80%81&oldid=95313100, (参照 2023-06-03).

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