『祐徳院』らくがきメモ 7)田中軍医をモデルとしたワキが、萬子媛をモデルとしたシテ(前ジテ)に出逢う場面
田中保善著『泣き虫軍医物語』(毎日新聞社、1980年)に触発されて執筆中の新作能「祐徳院(仮題)」。執筆にあたり、「本音と建前」の章「キャプテン・ラスト」の節の中の41頁の記述をモチーフとさせていただいている。
「ワキ〈名ノリ〉」を書いたところで、中断していた。
ワキ〈名ノリ〉
これは肥前国鹿島より出でたる大日本帝国陸軍軍医にて候。このたびの東亜細亜の大事を計らひ、ちはやぶる天下を和(やは)さんと、わが大日本帝国は米國また英國へ宣戦を布告せり。
初めつ方は時つ風吹けども、やうやう勢ひのしづまれり。
赤紙来たれば、地区一同各戸総出にて、われの武運長久の祈願祭を祐徳稲荷の社にいとなみたまひて、其の後に地区有志はなむけの会を開きたまひき。
国に留め置きつる妻子あり。明日打ち出でんとての夜、子とみに病ひづきて候。子の病ひ、軽からねば、われは後ろ髪を引かるる思ひなり。
わが船団十二隻は門司の泊まりを発向致し候。駆逐艦、水雷艇、駆潜艇、飛行機に守られて、朝鮮海峡、東支那海と南下すれど、鬼神よりは凄まじき敵は取り掛けき。其をからうじて交はして、魔のバシー海峡凌ぎけり。
前記事にモデム(ONU)の調子が悪いと書いたが、状況の変化はなく、NTTからの返事を待っているところなので、モデムの調子は戻っていない。インターネットにつながったりつながらなかったりなので(有線はつながらなくなった)、このノートを公開後に「直ちに書き直したい」と思っても、それができなくなる可能性もあるが、公開しておこう。
インターネットが不安定になってからは紙のノートに手書きでの作業だった。むしろ集中できてはかどる気がしているのだが、紙に書いたままだと、自分で書いた文章なのに、読み返しても頭にスムーズに入って来ない。
「ワキ〈名ノリ〉」を書いたときのように、能向きの文章に調えるのは後にして、へんてこな文章になるのを怖れずに書いていこうと思う。
田中軍医をモデルとしたワキが、萬子媛をモデルとしたシテ(前ジテ)に出逢う場面
時は、昭和19年神無月(10月)10日、午[うま]の刻の初刻(11時)。リエンガエン湾サンフエルナンドの泊まりを発向致し候。われらを乗せたる貨物船「江尻丸」は、縁起の悪しき第4番船なり。
船中にて、われは尼僧なる衆に行き合ひき。奇しきことにて候。
その中に、いみじう気高う清げに御座[おは]する年高き尼僧(老尼僧)が、ゆくりかに(思いがけなく)歌を詠じて、差し過ぎき。「しるべある時にだに行け極楽[ごくらく]の道にまどへる世の中の人」(新古今和歌集 巻第二十 釈教歌 1923)*訳者代表 窪田空穂『日本古典文庫12 古今和歌集・新古今和歌集』(河出書房新社、1988、P.447)
いや、ちょっと待てよ。2020年7月28日に書いたノートでは、ワキとのやりとりがあったはず。
尼僧の歌に不吉なものを感じたワキが尼僧を呼び止める形にするか、2020年7月28日のノートのように、出逢った時点で会話を始める形にするか、それが問題だ。
呼び止める形にするほうがいいかもしれない。
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