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2021年11月 7日 (日)

『祐徳院』らくがきメモ 6)能の五番立

「蔵出し名舞台 名人の芸で観る能の五番立」『にっぽんの芸能』(NHK)――初回放送日: 2021年8月27日――を視聴した。

『にっぽんの芸能』の能を採り上げた回は勉強になるので、よく視聴しているのだが、この回は録画したまま未視聴だった。もっと早く視聴しておけばよかったと思った次第。能の五番立の解説がとてもわかりやすかった。ノートしておこう。

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能の五番立

  • 神(しん)
    天下泰平、国土安穏[あんのん]を祈り祝う神の姿を描く。「高砂」「鶴亀(月宮殿)」等。
  • 男(なん)
    主に武将が死後、修羅道という地獄で苦しむ様子を描く。「清経」「実盛」等。
  • 女(にょ)
    多くは女性を主人公とした、美しく幻想的な能。「羽衣」「熊野(湯谷)」等。
  • 狂(きょう)
    心乱れた人々や怨霊、異国のものを描く。「隅田川(角田川)」「葵の上」等。
  • 鬼(き)
    鬼や獅子、天狗などが登場する華やかなフィナーレ。「石橋[しゃっきょう]」「大江山」等。

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江戸時代、能は武家の式楽(公式芸能)と定められていた。萬子媛の夫であった鍋島直朝公が能を嗜まれた背景として、こうした幕府の方針があり、加えて萬子媛の影響もあっただろう。

先月、『多田富雄新作全集』が3,000円台で2点出ていた。新品もあるが、9,240円もする。図書館から度々借りていたので、できれば入手したいと思っていた。中古品だと、汚れていないか心配になる。それも安い値段だと。くずくずしているうちに安いほうは売り切れてしまった。

3,300円の本が残っていた。汚れている箇所が写真に撮られ、表示されていた。箱入りの本で、汚れているのは箱のようだった。中身は無事なのだろうか? 多田氏の作品の内容にはやや疑問があるのだが、とても勉強になる本であることは間違いない。今後、ここまで安い中古品が出るとは限らない。注文した。以下はAmazonの商品ページより。

多田富雄新作能全集
多田富雄 (著), 笠井賢一 (編集)
出版社 ‏ : ‎ 藤原書店 (2012/4/23)
発売日 ‏ : ‎ 2012/4/23

多田富雄三回忌記念出版 現代的課題に斬り込んだ全作品を集大成!
免疫学の世界的権威として活躍しつつ、能の実作者としても、脳死、強制連行、核兵器、戦争など、現代的課題に次々と斬り込んでいった多田富雄。1989年の第一作「無明の井」から、最晩年の「花供養」まで、現世と異界とを自在に往還する「能」という芸術でなければ描けない問題を追究した全8作品に加え、未上演の2作と小謡を収録。巻末には6作品の英訳も附した決定版。

確かに、箱の一箇所が汚れていたが、それほど気になる汚れかたではなかった。中身は新品同然だった。注文カードが挟まれたままで、栞紐が使われたことのないまま二つ折りになって挟まっていた。藤原書店の小冊子「機」も挟まっていた。

嬉しかった。本が汚くなっていると、せっかく購入しても放置状態になってしまうことがあるのだ。図書館から借りる本はありがたいことに、新品同然のものばかり。たまに大衆受けするタイプの本を借りると、あまりの汚さに愕然となる。

多田氏の能作品を再読したが、内容にはやはり疑問がある。しかし、11編の能作品には創作ノート、構成、あらすじなど付いていて、とても勉強になる。海外公演のための英訳詞章集も付いているではないか。

そういえば、イェーツが能の影響を受けた書いた一幕物詩劇「鷹の井戸」が青空文庫で読めたので、印刷して読んだ。独特の雰囲気は出ているが、内容的には痩せている。

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