ユングは、若い頃から生涯にわたって降霊術のとりこだったようだ
はてなブログ「マダムNの神秘主義的エッセー」で公開中のエッセー 77「前世療法は、ブラヴァツキー夫人が危険性を警告した降霊術にすぎない」及びブロガーブログ「Nのめもちょう」にクリップした以下の記事3本をまとめて動画にする予定なのだが、まとめるのが億劫だ。
ワイス博士の前世療法の問題点について、神秘主義的観点から考察する ①
https://n2019memo.blogspot.com/2021/04/blog-post.htmlワイス博士の前世療法の問題点について、神秘主義的観点から考察する ②
https://n2019memo.blogspot.com/2021/04/blog-post_3.htmlワイス博士の前世療法の問題点について、神秘主義的観点から考察する ③著名なヨガ行者パラマンサ・ヨガナンダと前世療法における「前世の記憶」の様態の決定的違い
https://n2019memo.blogspot.com/2021/04/blog-post_73.html
ピプノテラピストとして前世療法を行い、それで食べている人も多いだろうことを思えば、ますます億劫になる。
だが、前世療法――降霊術と同じものだとわたしは考えている――の危険性は神秘主義者として訴えていくべきだと強く思わざるをえないのである。
前掲はてなブログの注目記事を見ると、エッセー 91「C・G・ユングの恣意的な方法論と伝統的な神秘主義」が入っている。この記事がまだメモの段階にあったことを思い出した。
老松先生訳の以下の著書も読むつもりでいながら、まだ読んでいなかった。
リチャード・ノル(老松克博訳)『ユングという名の「神」―秘められた生と教義』 ( 新曜社、1999)
タイトルからして、衝撃的だ。
ウィキペディア「カール・グスタフ・ユング」によると、ユングはスイス、トゥールガウ州ボーデン湖畔のケスヴィルでプロテスタント(改革派)牧師の家(ドイツ系)に生まれ、チューリッヒ州のキュスナハト改革派教会に葬られた。(ウィキペディアの執筆者. “カール・グスタフ・ユング”. ウィキペディア日本語版. 2021-02-09. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%B3%E3%82%B0&oldid=81749853, (参照 2021-07-06).)
エッセー 91 に加筆するつもりで、次のようなメモをとっていた。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
現代哲学・心理学が依拠しているといってよいウィリアム・ジェームズ(William James,1842 - 1910)は、自分には同じに見えるからという、ただそれだけの理由で、ラリっている薬物中毒者の幻覚も、霊媒の憑依現象も、神秘主義者のヴィジョンも、皆、同一の神秘主義的経験に一緒くたに分類してしまうという大きな過ちを犯した。
神秘主義と心霊主義は見分けがつかないものとなって、その結果、全体が胡散臭いものと見做されるようになってしまった。
ジェームズの神秘主義へのアプローチは次のようなものである。
神秘的状態に関する私の論じ方が光を投げるか、それとも暗〔かげ〕を投ずることになるのか、私は知らない。というのは、私自身の性質として、神秘な状態を享楽することが私には全然できないといっていいくらいなのであって、私としてはその状態についてはただ間接的にしか語れないからである。しかし、たとえ問題をこうして外面的に眺めるほかないにしても、私はできるだけ客観的また受容的であるつもりである。(W・ジェイムズ、桝田啓三郎訳『宗教的経験の諸相(下)〔全2冊〕』岩波文庫 -岩波書店、2015、182頁)
神秘な状態を享楽?
前置きであるにも関わらず、早くもジェームズは「神秘的状態」とは「享楽」する性質のものであるかのように唐突に断定し、その口吻からはそうすることで彼が自らを神秘主義者たちより上位に置き、自分こそ洗練されたストイックな、そして誠実な論じ方をする人物であると印象づけるための心理操作を行っている。
カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung,1875 - 1961)はジェームズより凡そ30年遅く生まれたが、ジェームズの影響は免れ得なかっただろう。ウィキペディアの以下の記述を見ると、やはりそのようである。
精神科医であったユングは、ピエール・ジャネやウィリアム・ジェームズらの理論を元にした心理理論を模索していた。
ウィキペディアの執筆者. “カール・グスタフ・ユング”. ウィキペディア日本語版. 2021-02-09. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%B3%E3%82%B0&oldid=81749853, (参照 2021-07-06).
前掲書『ユング自伝 2 ―思い出・夢・思想―』で、ユングは次のように書く。
批判的な合理性は、死後の世界についての考えを多くの他の神秘的な考えと共に、除去してしまったようである。これは現代では殆どの人が、自分を意識と同一視し、自分について自ら知っていることのみが自分であると考えているためにこそ生じたことである。しかし、このような知識がいかに限定されたものであるかは、心理学を生かじりしたものでさえ明らかなことである。(ユング,河合・藤縄・出井訳,p.138)
ユングは「批判的な合理精神」に一見、批判的なようでありながら、その批判的合理精神に除去されてしまった「死後の世界についての考え」と「多くの他の神秘的な考え」を除去される以前の状態に戻して精査してみようとはせず、独自のアプローチを図った。
われわれの時空の概念は、単に近似的な近似的な妥当性をもつだけで、従ってそこには大なり小なりの歪みのある領域が存在する。これらすべての点を考え直して、私は心の不思議な神話に注意深く耳を傾けることにした。(ユング,河合・藤縄・出井訳,同上)
そして、ユングが次のように書くとき、彼は――彼のいうところの――神秘的な人ではなく、また科学的な人でもないことがわかる。彼は「神話のこころみ」を行うが、それは「癒やすものであり、価値ある行為」、「それなしではすまされない不思議な魅力を与えてくれる」であるゆえに行うというのである。
われわれは、全く異なった法則によって統制されている他の世界を心に描き出すことはできない。それはわれわれが、われわれの心を形づくり、基本的な心の状態を確立するのを助けるような特殊な世界に住んでいるからである。われわれは、自分の内的な構造のために著しく限定されており、従って、われわれの全存在と思考によって、このわれわれの世界に縛られているのだ。神秘的な人は、「そのすべてを超えてゆく」ことを疑いもなく主張する。しかし科学的な人はそれを許すことはできない。知性にとって、私の神話のこころみはすべて不毛な思弁にすぎない。(ユング,河合・藤縄・出井訳,p.139)
僭越ながら、わたしは自分のことを神秘主義者と自覚してきた。幼い頃から「異なった法則によって統制されている他の世界」のことを始終心に描き出してきたし、常にその「他の世界」の観点でこの世界を見てきたのである。わたしには「他の世界」のほうがこの世の上位にある。その世界がこの世より精妙な、よりよき世界に思えるからだ。
神秘主義は神聖科学(あるいは秘教科学)に基づいた体系を持ち、科学中の科学に他ならない。少なくとも、神秘主義者はそのように認識しているのである。
ユングはウィリアム・ジェームズ同様、「多くの他の神秘的な考え」を精査することなく、神秘主義を科学の対極にある非科学的なものであるかの如くに扱う。
つまり、ユングは神秘主義者ではない。批判的合理精神に与する人であり、その批判的合理精神が出てきたキリスト教という一神教の残照に染まって見える。
精神分析の運動から離れ一人研究を進め、1916年には石油王ジョン・ロックフェラーの四女イーディス・ロックフェラー・マコーミック(en, 1872年 - 1932年)の助力で「心理学クラブ」を設立して、分析心理学の確立に努める。このクラブには、ヘルマン・ヘッセも訪れている。このマコーミック夫人の縁でジェイムス・ジョイスを知り、『ユリシーズ』の批評も書いている。
ジェイムズ・ジョイスとも知り合いだったとは。エッセー 96「ジェイムズ・ジョイス (1)『ユリシーズ』に描かれた、ブラヴァツキー夫人を含む神智学関係者5名」を書いたことを思い出した。ロックフェラー家の助力で「心理学クラブ」を設立……どんなクラブだろう?
ウィキペディアには、「鈴木大拙、ミルチャ・エリアーデ、ハーバート・リードらと親交を結ぶ」とある。鈴木大拙は神智学徒だったが、禅の研究で著名である。ユングが神智学や禅を理解していたようにはとても思えない。
「母方のプライスヴェルク家が霊能者の家系として著名だった」ともあるが、この霊能者とは霊媒のことだろう。神秘主義者は個々人の体験的獲得によって神秘主義者になるのであって、個別的なものであるから、「家系」的に連なることはありえないのだ。
ユングがその霊媒の家系に連なる人であるかどうかはわからないが、ユングを――夢、あるいは幻視・幻聴の形で――訪れた夥しいまでのイメージは、神智学的観点から解釈すれば、カーマ・ローカ(主観的で目に見えない半物質的世界。黄泉の国)のアストラル幻影ではないだろうか。
『ユング自伝』全体がアストラル幻影に満ちているようにわたしには思われる。
死後の世界といっても、カーマ・ローカという死後の世界の前庭しか知らないユングだからこそ、次のように回りくどく書かねばならないのである。それを誠実さと勘違いしてはいけない。
……(略)……私は、死後の世界について明白な形でのべたことはない。それはつまり、そのときには私の個人的な考えをのべねばならなくなるだろうし、私としてはそのようなくせは全く持ち合わせていないからである。それはともかくとして、今、私は自分の考えをのべようと思う。
今になっても、私はお話を物語る――神話として話す――以上のことはできない。この点について自由に語るためには、多分、死に近づいていることが必要であろう。死後の生活を私が望んでいるということはない。実のところ、そのような考えを育てたくはないと思っている。それでも、現実に対して公平であるために、私は、そのようなことを欲したのでもなく、それについて何かをしたのでもないのに、このような考えが私の心の中に動いていると言わねばならない。(ユング,河合・藤縄・出井訳,pp.137-138)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
午前中にここまで書き、中断していた。その間に、夫がユング関係の著書を7冊、図書館から借りてきてくれた。その中には、前掲書『ユングという名の「神」―秘められた生と教義』が含まれている。
まだ読み始めたところだが、驚いている。
ユングは若い頃から降霊術に熱中しており、生涯にわたって、降霊術に出現する死者の国の霊や神々に相談し、それを他人にも相談するよう教えたというのである(p.37)。
自伝が霊媒臭いとは思っていたけれど、まさか、そこまで愚かな人だったとは!
道理で、ワイス博士のような人物が出てくるはずだ。何ということだろう、開いた口がふさがらない。ユングについては、今日はここまでしか書けない。後日また、気が向けば。
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