レイチェル・ストーム『ニューエイジの歴史と現在』で紹介された、ブラヴァツキー夫人に対する非難の無邪気すぎる内容(この記事は書きかけです)
わたしは前記事で、ストームがブラヴァツキー夫人の代表作の一つ『神智学の鍵』を読まなかったことによって、「霊的な存在である大師方」を捏造したことを明らかにした。
ストームとは対照的に、ブラヴァツキー夫人は引用を厳密に行ったと書いたわけだが、ストームはブラヴァツキー夫人の引用について、世評から、次のような非難を紹介している。
すでに1890年代には、『ヴェールを脱いだイシス』には二千カ所に及ぶ引用があり、また『シークレット・ドクトリン』も全編が権威ある多数の書物からの引用で埋め尽くされている、という非難がなされた。(ストーム,高橋&小杉訳,1993,p.21)
ブラヴァツキー夫人は、『シークレット・ドクトリン』の「はしがき」で、執筆の意図を次のように明確に述べている。
これらの真理は断じて、啓示としてもたらされたものではないし、筆者は、世界の歴史の中で今はじめて公にされた神秘的伝承の啓示者であると主張もしない。この著作の中にあるものは、アジアの偉大な宗教や太古のヨーロッパの宗教の聖典に表されているが、象形文字や象徴のヴェールにかくされて、これまでに気づかれないままに散在していた何千巻にも及ぶものから得ている。今しようとしていることは、最古の教義を集めて、一つの調和のとれた一貫した全体としてまとめることである。筆者が先輩達よりも有利な唯一の点は、個人的な推論や学説を立てる必要がないということである。というのは、この著作は著者自身がもっと進んだ学徒に教えられたことの一部であって、筆者自身の研究と観察による追加はごく僅かだからである。
(H・P・ブラヴァツキー(田中恵美子&ジェフ・クラーク訳)『シークレット・ドクトリン 宇宙発生論(上)』神智学協会ニッポン・ロッジ,1989,はしがきp.138)
『シークレット・ドクトリン』は、いわば最古の教義に基づいて編纂された、「科学・宗教・哲学の総合」事典なのだから、引用が多いのは当然だろう。
引用の正確を期するために、「多数の権威ある書物から引用」されたのだ。
また、ブラヴァツキー夫人は、この事典を、「一つの調和のとれた一貫した全体としてまとめる」工夫を凝らした。
どのようにまとめられたかは、著作を読まなければわからない。誹謗中傷する人々は難解な『シークレット・ドクトリン』が読めないのか、引用が多いという無邪気な発見と、意味をなさない非難で止まっている。
彼らがブラヴァツキー夫人の「はしがき」さえろくに読まず、執筆の意図さえわかっていなかったことが、以上の事柄からも明白である。
学者が行うべきことは、『シークレット・ドクトリン』が一つの調和のとれた一貫した全体としてまとまっているかどうかの検証、評価ではないだろうか。
この記事は書きかけです。
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