« Chrome に似た新Edge が使いやすい | トップページ | 坂口安吾ノート ① GHQ 御用作家だったのか? 対照的に、胸を打つ田中保善『泣き虫軍医物語』の記述。(27日朝に加筆) »

2020年6月24日 (水)

7 本目のYouTube動画「雪だるま」をアップ。動画化したい作品について。Kindle書籍からの引用箇所を示すことが可能に。

7 本目のYouTubeの動画をアップしました。今後は「風の女王」「ぼくが病院で見た夢」を動画化し、そこで一旦動画作成はお休みします。

萬子媛をモデルとした童話、新作能の執筆に入るためです。そのために、「マダムNの神秘主義的エッセー」に作っているカテゴリ「祐徳稲荷神社参詣記」に、何本かの記事(ノート)をアップする予定です。

萬子媛へ創作が移行しても、エッセイ動画は時間を見つけて作成するかもしれません。腐るほど、当ブログにエッセイはあるので。純文学作品にも動画にしたいものがあります。「牡丹」「昼下がりのカタルシス」「詩人の死」です。

「詩人の死」以外は KDP セレクトに登録しているので、動画化するとなると、登録を解除しなくてはなりません。作品をどちらに置いておいたほうが 1 人でも多くの読者(視聴者)を獲得できるのか、悩ましいところです。

そもそもKDP セレクトに登録しようがしまいが、わたしにとって主な違いはロイヤリティ(印税)が高いか低いかの違いだけ。

そして、元々の値段が安く、めったに売れないことを考えると、セレクト登録しようがしまいがあまり違いはない気もします。ただ、作品の保護という観点から、わたしはなるべくならセレクト登録しておきたいと思っています。

手記「枕許からのレポート」はわたしの神秘主義者としての出発点となった記念すべき出来事を素朴に作品化したものなので、これは動画化したい。

評論「村上春樹と近年のノーベル文学賞作家たち」と「気まぐれに芥川賞受賞作品を読む 2007 - 2012」はセレクト登録していないので、動画にできます。

ハルキブームは――おそらく――去りましたが、純文学への影響の大きさ、これが日本文学(純文学)の崩壊を招いた原因の一つであったことから考えると、ブームが去ったからそれでなかったことに、というわけにはいきません。

しかし、これが110枚くらいで、評論としては短くもなく長くもないという枚数です。動画にすると、さすがに飽きられるでしょうね。

「気まぐれに芥川賞受賞作品を読む 2007 - 2012」は120枚くらい。第一部が「レビュー集」で、寸評を集めたものです。第二部が文学論となっています。

この二つを合わせれば、単行本にできるでしょうね(本当に単行本にしたいのは、児童小説「田中さんちにやってきたペガサス」と「すみれ色の帽子」です)。まあわたしには、一生紙の本は無理でしょうけれど。動画にしたところで、意味がないでしょうか。

そういえば、Kindle版電子書籍は、引用がどこからかを表示できるようになりましたね。

記事にするのを忘れていました……先月、坂口安吾のエッセーをパソコン向けのKindleアプリ(Amazonのサイトから無料で入手できます)で読んでいたところ、大変ショッキングな文章に出くわしました。坂口安吾について再考を迫られる出来事でした。この男、こんなに頭が軽かったのかと失望しました。続いて織田作之助のエッセーを読み、これにも失望(この人、エッセーは書かない方がいい)。

太宰にはとっくに失望していましたが、安吾と織田作には一目置いていたのに。思想家であり作家であり、といった連中ではなかった、器用な小説家にすぎなかったと心底失望しました。勿論、彼らの小説に対する評価まで下がったわけではありません。ただ、この三羽ガラスの頭の中の頼りなさを考えるとき、日本文学が下り坂になったのも当然だったように思えました。

改めて坂口安吾の作品を次々に読み、考え、これはエッセーにしておきたいと思いました。とはいえ、電子書籍をどうやって引用すればいいのでしょう? 電子書籍でのページは絶対的なものではなく、可動的で、文字の大きさを変えれば、別のページになってしまいます。

ところが!  引用できる工夫が施されているではありませんか。ずっとKindleを使っていなかったので、気づきませんでした。

たとえば、わたしが引用したいのは 『坂口安吾全集・444作品⇒1冊』という電子書籍の中の 3 箇所で、坂口安吾のエッセー「もう軍備はいらない」の次の箇所です。

  1. 坂口 安吾. 『坂口安吾全集・444作品⇒1冊』 (Kindle の位置No.97732-97736). Ango Sakaguchi Complete works. Kindle 版.
  2. 坂口 安吾. 『坂口安吾全集・444作品⇒1冊』 (Kindle の位置No.97761-97765). Ango Sakaguchi Complete works. Kindle 版.
  3. 坂口 安吾. 『坂口安吾全集・444作品⇒1冊』 (Kindle の位置No.97806-97808). Ango Sakaguchi Complete works. Kindle 版.

引用しようとしてコピーすると、貼り付けた時点で、自動的に前掲のような表示が生成されます。これが正式なものとして、研究論文のような作品に使えるかどうかは知りませんが、わたしには画期的に思えました。坂口安吾に関するエッセーを仕上げるかどうかわかりませんが、仕上がったらアップします。

ところで、今、確認のために「気まぐれに芥川賞受賞作品を読む 2007 - 2012」を開き、「はじめに」を読むと、これを書いたころは文学界に対してまだ希望を棄てきってはいなかったと感じました。引用しておきます。

はじめに

 薄汚れた部室のすさんだような雰囲気のある文芸部で、わたしは文学の基礎を教わり、創作姿勢を問われ、知的刺激を受けました。
 村上龍「限りなく透明に近いブルー」が第 75 回( 1976 年上半期)、芥川賞に選ばれたのは、そんな大学時代でした。文芸部では賛否両論ありましたが、感覚という一側面に拘泥した、趣味性の勝った作品というのが大方の見方でした。客観性、総合的観点を備えていることが純文学作品の特徴の一つとする文学観から、そこから逸脱した作品として注目され、また警戒されたといったところでしょう。
 1979 年、わたしが 21 歳だったときに「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞した村上春樹の作品は、純文学作品扱いされていませんでした。
 純文学は次第に伝統性も、真の意味での実験的要素もなくし、つまらないものになっていった印象がありますが、第 128 回( 2002 年下半期)芥川賞を受賞した 大道珠貴「しょっぱいドライブ」は忘れられない作品です。
 その作品自体をというよりは、それが大道珠貴さんの作品だったからで、わたしの作品が平成 11 年度第 31 回九州芸術祭第 30 回文学賞地区優秀作に選ばれたとき、大道さんの「裸」と同じ最終選考の俎上にのり、大道さんはその作品でデビューされました。「しょっぱいドライブ」が芥川賞に与えた影響からすれば、大道さんの作品は純文学と大衆文学の間の垣根を完全に取り払ったということがいえるでしょう。
 そして、芥川賞に選ばれる作品は今や大衆文学でもないと思えます。面白さをプロフェッショナルに追求する大衆文学にもなりえていないからです。
 大手出版社の文学賞や話題作りが、日本の文学を皮相的遊戯へ、日本語を壊すような方向へと誘導しているように思えること、作家も評論家も褒め合ってばかりいること(リップサービスと区別がつかない)、反日勢力に文学作品が巧妙に利用されている節があること……そうしたことが嫌でも感じられ、長年文学の世界を傍観してきましたが、このまま行けば日本の文学は確実に駄目になってしまうという怖ろしさを覚えます。
 悪貨は良貨を駆逐する……昭和 33 年生まれのわたしが見つめてきた文学界に起きたことは、まさにこの言葉が象徴していると思います。
 本書は、芥川賞が発表になった時、その時点における文学界の動向を粗描するつもりで受賞作品の感想を綴ったものです。芥川賞受賞作品を読む、読まないの選択は気分任せでありましたが、読むときは真摯に読みました。
 本書と合わせて拙評論『村上春樹と近年のノーベル文学賞作家たち』をお読みいただければ、わが国における文学界の動向をより鮮明にお伝えできるかと思います。
 今後、文学界はどう変わっていくのでしょうか? 芥川賞にはすっかり興味をなくしたこのごろですが、その気持ちが回復し、続編を出せる日が来ることを願っています。

7 本目のYouTube動画は、童話というより掌編小説です。なぜ、童話をタグ付けしたかはYouTubeの動画説明欄に記しました。今回朗読してくれたのは、標準語話者 かほ です。この作品には、陽気なおばさん風の かほ さんがぴったりだと思いました。前述した説明欄に、動画作成に使用したソフト、お借りした素材について明記しています。

雪だるま
https://youtu.be/mZOUPd8C2F0

写真素材サイト「足成」からお借りした、雪だるまの写真が可愛いですね。もう少しましなサムネイルを作成できたらよかったのですが、再インストールした GIMP がわたしには使いづらくて困ります。

|

« Chrome に似た新Edge が使いやすい | トップページ | 坂口安吾ノート ① GHQ 御用作家だったのか? 対照的に、胸を打つ田中保善『泣き虫軍医物語』の記述。(27日朝に加筆) »

文学 №2(自作関連)」カテゴリの記事

村上春樹」カテゴリの記事

電子書籍」カテゴリの記事

マダムNのYouTube」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« Chrome に似た新Edge が使いやすい | トップページ | 坂口安吾ノート ① GHQ 御用作家だったのか? 対照的に、胸を打つ田中保善『泣き虫軍医物語』の記述。(27日朝に加筆) »