『キリストの棺 世界を震撼させた新発見の全貌』を読んでいるところです(加筆あり、緑文字。8月21日に追記、青文字)
今夏も無事に収穫できたバジルでバジルソースを作り、コーヒーを淹れることと麺を茹でることに特化したわが家のシェフである夫がパスタを茹で、バジルパスタの出来上がり。
と、タイトルとは無関係の話題でした。
まだ二つの記事が書きかけで、それに関する本を再度、図書館から借りました(メアリー・ポピンズの1・2巻は何度も借りて悪いので、ついに購入しました。所有しておきたい本でした)。
その図書館から借りた10冊の中に、以下の本が混じっていました。何となく借りた、内容にはほとんど期待していなかった本でした。
キリストの棺 世界を震撼させた新発見の全貌
シンハ・ヤコボビッチ/チャールズ・ペルグリーノ (著), ジェームズ・キャメロン (編集), 沢田 博 (翻訳)
出版社: イースト・プレス; 1版 (2007/6/20)
ところが、わたしには面白いどころの本ではありませんでした。
1980年代にエルサレムで2000年前の墓が発見されていたそうです。そして、納骨洞にあった10個の骨棺は、イエス(ヨセフの息子イエス)、マグダラのマリア(師として知られたマリアムネ)、2人の子供であると思われる男の子ユダ(イエスの息子ユダ)、他に新約聖書に登場するイエスの家族のものだというのです。
1世紀ごろのユダヤ社会では、イエスもマリアもユダも他の家族の名もありふれたものでしたが、これだけの名が一つの家族に集まる可能性は600に一つにすぎないとか。
このドキュメンタリーから、ジェームズ・キャメロン監督によるテレビ用のドキュメンタリー番組が制作されました。
わたしは『ダ・ヴィンチ・コード』の元ネタとなった以下の本を読み、大変に面白く、また『マリアによる福音書』に登場するマグダラのマリアをモデルとした児童小説の参考にしたのですが、『キリストの棺』も、日本でも放送されたというドキュメンタリー番組も(ググったらフランスの動画サイトで出てきました)、全く知りませんでした。
レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説 (叢書ラウルス)
マイケル ベイジェント (著), ヘンリー リンカーン (著), リチャード リー (著), Michael Baigent (原著), Henry
出版社: 柏書房 (1997/7/1)
当時の新聞記事が出てきました。
「キリストに妻子」、ジェームズ・キャメロンのドキュメンタリーが波紋 - 米国
2007年2月27日 11:45 発信地:米国 [ 北米 米国 ]
https://www.afpbb.com/articles/-/2187431キリストの墓発見か、TVドキュメンタリーに反響 - イスラエル
2007年2月27日 15:51 発信地:イスラエル [ 中東・北アフリカ イスラエル ]
https://www.afpbb.com/articles/-/2187570?pid=1376916
わたしが興奮したのは、わたしにとって辻褄が完全にあったからです。
グノーシス文書とされる新約聖書外典『マリアによる福音書』『トマスによる福音書』などから、マグダラのマリアがイエスの最高の愛弟子であり、妻でもあったことを新約聖書の記述とも合わせて確信し、最後の晩餐のときにイエスの胸に寄り添っていた弟子は彼女なのではないかと憶測していました。
2000年前の骨棺の中には、「師として知られたマリアムネ」と刻まれた骨棺がありました。マリアムネはミリアムのギリシア語形、つまりマリアのことだとか。
マグダラのマリアは、正教会でも、主の復活を伝える第一証人として伝道の旅をしたと伝えられていますから、師として知られていたとしても不思議ではありません。
ただ、最後の晩餐だからといって、妻がラビ(師)である夫の胸に寄り添うのは行き過ぎのような気がしていました。でも、それが成人男性であるとすれば、もっと異常な場面であると思われ、従ってマグダラのマリアと考えざるをえないと思っていたのでした。
また、ヤコブス・デ・ウォラギネ『黄金伝説』に出てくるマグダラのマリアに関する伝説の中で、舵のない船で海に流されたマリア一行が南フランスに漂着したという伝説と、その伝説に領主夫妻の子として出てくる、愛くるしい男の子が忘れられませんでした。
2010年4月 1日 (木)
Notes:不思議な接着剤 #50/マグダラのマリアに育てられた男の子
https://elder.tea-nifty.com/blog/2010/04/notes50-2ea0.html2010年4月 5日 (月)
Notes:不思議な接着剤 #51 二つの嵐とマグダラのマリアの安否
https://elder.tea-nifty.com/blog/2010/04/notes51-7d04.html
わたしが最初、あまり『キリストの棺』を読む気がしなかったのは、マグダラのマリアは南フランスで亡くなったと思っていたからでした。
ところが、本によると、新約聖書外典『フィリポ言行録』には、ローマ帝国の迫害を逃れていったんフランスへ渡ったマグダラのマリアは、兄フィリポと共に小アジアへ伝道の旅に出、後にエルサレムへ戻ったという記述があるというのです。
確認しておきたいと思いました。もしそれが本当であれば、彼女の骨棺がエルサレムで発見されても不思議ではありません。
マグダラのマリアとされる古い骨のサンプルに核まれる核のDNAは損傷がひどくて使えなかったそうですが、もっと小さなミトコンドリアDNAの抽出には成功し、それによるとイエスとマグダラのマリアとされる骨からは、2人が母と子ではなく、兄弟でもないと判明したとか。
他人でありながら同じ墓から出てくるケースは夫婦以外に考えられないそうです。
またもし、イエスにユダという名の息子がいたという推定について、その根拠を新約聖書に求めるとするなら、『マルコ伝』に出てくる若者がそうではないかというのです。
イエスが捕らえられるときに、素肌に亜麻布だけを纏った若者が追いすがったのです。人々が逮捕しようとすると、亜麻布を捨てて裸で逃げたとマルコ伝ではあります。
異様な記述だと思っていましたが、大人が素肌に薄い亜麻布のシャツだけを身につけているなど考えられないけれど、子供ならありえたそうです。
最後の晩餐でイエスの胸に寄り添っていたのが幼い息子であったとすれば、何と納得がいくことでしょう! 自身の死とエルサレムの崩壊を予感していたイエスは、後継ぎである息子を抱き寄せて最後の食事をしたのではないでしょうか。
『キリストの棺』はまだ読んでいる途中です。いずれにせよ、拙『マダムNの神秘主義的エッセー』の以下の記事は改稿の必要がありそうです。
49 絵画に見る様々なマグダラのマリア
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2016/05/05/025512
追記:
イエス、聖母マリア、マグダラのマリアのものと考えられている骨棺について、『キリストの棺』を参考にもう少し詳しく書いておくと、イエスのものと考えられる骨棺は10個の骨棺のうち最も簡素だったそうです。
それには、「YESHUA BAR YOSEF(ヨセフの息子イエス)」というアラム文字の刻印がありました。しかも、先頭の Y の字の前には、文字より大きな「X」マークが刻まれていました。
それが何であるかは、『キリストの棺』では、旧約聖書のエゼキエル書(9・4)に根拠を求め、アラム語やヘブライ語のアルファベットで最後に来る文字「タウ」だとしています。
その「X」に似た文字は、ヤコボヴィッチ&ペルグリーノ(2007,pp.293-294)によれば、「それ自体で何かの終わりを、また同時に新しい何かの始まりを意味していた」と考えられるそうです。
聖母マリアのものだとされる骨棺には、ヘブライ文字らしきもので「マリア」と刻まれていました。ヤコボヴィッチ&ペルグリーノ(2007,p.38)によると、「ただしヘブライ語の綴りではなく、ラテン語での発音をそのままなぞっていた」とあります。
マグダラのマリアのものだとされる棺には、「マラとして知られたマリアムネ」と刻まれていました。
Marat(マラ)はアラム語で「主」または「師」を意味し、男性形も女性形も同形。Mariamne(マリアムネ)は、ヘブライ語Miriam(ミリアム)のギリシア語バージョンだそうです。
マグダラのマリアはガリラヤ湖周辺の生まれで、ヤコボヴィッチ&ペルグリーノ(2007,p.168)によると、「イエスの教団を経済的に支える存在」であり、地域柄、彼女はバイリンガルでギリシア語ができ、ヘブライ語、アラム語、ギリシア語を使いこなしていたと考えられるようです。
だからこそ、マグダラのマリアはギリシア語圏であった小アジア(アナトリア)で、師と呼ばれるほどの活動ができたのでしょう。
ちなみに、旧約聖書はヘブライ語で記されています。イエス時代のパレスチナで使われていたのはアラム語です。新約聖書にもイエスの言葉としていくつかアラム語が出てきます、新約聖書はギリシア語で記されました。
「マラとして知られたマリアムネ」と刻まれた骨棺は、ヤコボヴィッチ&ペルグリーノ(2007,p.50)によると、「バラの花弁をあしらったロゼッタ文様で美しく飾られて」いました。
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