時間がまるで足りない
「トルストイ『戦争と平和』… 3」を神秘主義エッセーブログにアップしようとして、それはだいたい当ブログにアップした記事のままでいいと思っていたのだが、改めてじっくり読み直すと、これだはだめだとの感じがしきりとし出した。これはやはり、加筆する必要がある。
それというのも、2 で引用させていただいた論文の中で、バラ十字とフリーメーソンの関わりが出ていた。
1970年刊行の新潮社版トルストイ『戦争と平和』を注意深く読むと、主人公がフリーメーソンとなるきっかけをつくるフリーメーソンの長老について、このフリーメーソンである長老が「ノヴィコフの時代からの有名なフリーメーソンの会員で、マルチニストの一人であった」と書かれている。
本文の中で手がかりといえば、この箇所だけだが、植田樹『ロシアを動かした秘密結社――フリーメーソンと革命家の系譜』(彩流社、2014)にノヴィコフとマルチネス派についての記述があるので、これを手がかりにもっと調べて、この点について到達できるところまでは到達したい。
マルチネス派は、マルティネス・ド・パスカーリ(1717-1774)とその弟子ルイ・クロード・ド・サンマルタン(1743-1803)の思想をさすが、のちにはサン・マルタンの思想を指すようになったという。
サン・マルタンはバラ十字の祖の一人であるそうで、サン・マルタンといえば、バルザックである。バラ十字であったとされるヤコブ・ベーメの本を取り出して読んでみると、この本の読みづらさの大きな部分が翻訳の問題にある――というより、日本語とドイツ語の違いにあるとわかった。
この本をいくらかは読み、人文書院版ホールの『カバラと薔薇十字団』を読み、なんてやっていると、ああもう、いくら時間があっても足りない。ブラヴァツキーの神智学の本にも出ているので、それも。まるでジャングルに踏み込むかのようだ。
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