雛祭り(過去記事より)
今日は雛祭りですね。雛祭りというと、杉田久女の俳句を連想しますが、過去記事で既に紹介済みでした。過去記事の一部と共に再度紹介します。
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雛祭りというと、わたしは微妙な気持ちになるのが常です。歳時記などを見ても、何とはなしに寂しさを感じさせる句が案外あるように思います。なかには、怖い句もあったりして…… 『カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版』(講談社、2008)に掲載されていた句です。
闇のなか髪ふり乱す雛もあれ 〔桂信子〕
御祓いのための流し雛が起源というところから、そんなムードを引き摺っているのでしょうか。あるいは、結婚に関するクラシカルな概念を含んだ伝統というものの重み。そこにひそむ雅やかさと瘴気。世俗の観点から見れば、雛祭りという行事には商売の絡んだ金の力が跳躍する一面もあります。
源氏物語も連想されます。光源氏の手によって、後ろ盾に乏しい貧困気味の境遇から救い出された紫の上でしたが、新しい環境にまだ怯えているなかで、源氏が一緒に雛遊びをしてあげる場面は印象的です。
杉田久女の雛の句を杉田久女『杉田久女全集第一巻』(立風書房、1989)より紹介します。
大江戸の雛なつかしむ句会かな
雛菓子に足投げ出せる人形たち
手より手にめで見る人形宵節句
ほゝ笑めば簪(かんざし)のびらや雛の客
幕垂れて玉座くらさや雨の雛
函を出て寄り添ふ雛の御契り
古雛や花のみ衣(けし)の青丹美し
雛愛しわが黒髪をきりて植ゑ
古雛や華やかならず﨟たけれ
髪そぎて﨟たく老いし雛かな
古りつつも雛の眉引匂やかに
紙雛のをみな倒れておはしけり
雛市に見とれて母に遅れがち
雛買うて疲れし母娘食堂へ
瓔珞揺れて雛顔暗し蔵座敷
雛の麻色紙張りまぜ広襖
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