座右の書にふさわしいH・P・ブラヴァツキー『沈黙の声』
過去記事で少し触れましたが、ブラヴァツキーが東洋の古典から英訳、解説した『沈黙の声(The Voice of the Silence)』は、神智学に関心のある人にもそうでない人にも感銘を与える本だと思います。ジェフ・クラーク訳によるものを紹介します。
沈黙の声 オンデマンド (ペーパーバック) ※Kindle版も出ています。
H・P・ブラヴァツキー (著)
ジェフ・クラーク (翻訳)
出版社: UTRYU PUBLISHING (2015/9/3)
ASIN: B0156B9RLU
ジェフ・クラーク訳は、厳密で堅牢、アカデミックの薫りがします。初心者から高度な知識を求める者にまで対応できるだけの訳者解説、補注、用語解説が手厚く加えられているので、本格的な学習にはおすすめです。
読み始めてすぐに、この本が普通の本ではないことがわかりました。すなわち、人生の後先のこともよくわからず、呑み込めず、腑に落ちないまま生きている普通の人間によって著された本ではないということが……
この先、あと幾生が待ち受けているかはわかりませんが、それらの人生を終え、遂に人間として完成されるときまで指針となってくれるであろうことを、静かな内面の輝きのうちに予感させてくれる本。えもいわれぬ格調の高さで、内奥から歓びをもたらしてくれる本です。
1898年のブラヴァツキー夫人の序文によると、この本の内容は東洋の神秘学徒たちに与えられている本の一つである『金箴の書』から選び集めたものだということです。
そして、『金箴の書』は『シークレット・ドクトリン』の基礎となっている『ジヤーンの書』のスタンザ(詩節)と同じ叢書の一部ということです。確かに『沈黙の声』と『シークレット・ドクトリン』からは同じ薫りがします。この本は、難解な『シークレット・ドクトリン』を理解する助けともなるのではないでしょうか。
訳者解説によると、パンチェン・ラマ9世は菩薩道の理想を正しく解説したものとして、また現在のダライ・ラマは初版百年記念に言葉を寄せて、この本を高く評価したということです。そして、この本は文化人たちからもたいへん評価されたとのことです。
わたしは『沈黙の声』の存在を知りながら、長年読まずにいました。今は、この人生において、『沈黙の声』に出合えてよかったとしみじみ思います。出合いを可能としてくださった方々のご苦労に深く感謝致します。
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