ルネ・ゲノンの伝統主義に潜む危険性とブラヴァツキーバッシング
アメリカの神智学協会のオフィシャルサイトにリチャード・スモリーRichard Smoleyによって執筆された論文「Against Blavatsky: Rene Guenon's Critique of Theosophy」が掲載されている。
スモリーは、ブラヴァツキーの神智学を辛辣に批判したルネ・ゲノン(René Jean Marie Joseph Guénon, 1886年11月15日 - 1951年1月7日)の思想を分析している。
ゲノンのブラヴァツキー批判が抱えている矛盾について述べ、さらに彼の伝統主義に潜む危険性を指摘している。
ルネ・ゲノンの伝統主義はルーマニア出身の宗教学者・民俗学者エリアーデの思想にも深く影響を与えているが、ヨーロッパで伝統主義は多くの場合、極端な右翼政治に向かって衝動を煽っており、またロシアのネオ・ユーラシア主義、イスラム世界における抗西洋反応を煽っているという。
貴重な論文だと思われるので、精読後に改めて紹介したいと思っているが、前の記事で書いた作家2人の作品についても書きたいと思っているので、取り組むまでには時間がかかるかもしれない。
- 2016年5月28日 (土)
神智学の影響下で著された『青い鳥』(モーリス・メーテルリンク)、『オズの魔法使い』(ライマン・フランク・ボーム)
https://elder.tea-nifty.com/blog/2016/05/post-d7fa.html
わが国では、ブラヴァツキーの神智学やそれを本格的に日本に紹介した三浦関造が誹謗中傷にさらされる一方では、ルネ・ゲノンやエリアーデはほとんどノーチェックで崇められ、影響範囲を広げるといった異常な現象が長らく続いてきた。
こうした現象とオウム真理教問題はしばしば密着して出てくる。
これは過去記事でも書いたことだが、オウム真理教は、中共のような思想弾圧している一党独裁国家ではない、憲法第20条で信教の自由を規定した日本国において反日テロを起こすという重大な思想的問題を孕んでいた。
日本でのブラヴァツキーバッシングには、こうした問題から目を逸らす反日勢力の意図があったのではないかとわたしは疑っている。
ところで過去記事で触れた「Theosophy Wiki」で「Helena Petrovna Blavatsky」を閲覧した。ブラヴァツキーの貴重な写真が掲載されている。その中の「Death mask of HPB」と題された一枚の写真……大変な仕事を終えた人の穏やかな死に顔だ。合掌。
拙ブログ「マダムNの神秘主義的エッセー」にゲノン関連記事がある。当ブログの記事に手を加えたものである。
24 ルネ・ゲノンからシモーヌ・ヴェイユがどんな影響を受けたかを調べる必要あり
http://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2015/09/15/18324825 ブラヴァツキー批判の代表格ゲノンの空っぽな著作『世界の終末―現代世界の危機』
http://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2015/09/16/07055626 ブラヴァツキーの神智学を誹謗中傷する人々 ①ブラヴァツキーとオウムをくっつける人
http://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2015/09/22/18362940 ブラヴァツキーの神智学を誹謗中傷する人々 ②三浦関造の雛たちに危いまなざしを向ける人
http://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2015/12/28/16134846 ブラヴァツキーの神智学を誹謗中傷する人々 ③ブラヴァツキーの名誉回復
http://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2016/03/17/205030
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