『ジュニア版 世界の文学(全35巻)』(岩崎書店,1967–1969) 2006.10.2
当ブログにおける過去記事に加筆した記事をエッセーとして拙エッセーブログ「The Essays of Maki Naotsuka」に収録したものですが、ここに再掲します。
- 『ジュニア版 世界の文学(全35巻)』(岩崎書店,1967–1969) 2006.10.2
https://naotsukas-essays.hatenablog.jp/entry/2016/03/10/060421
エッセーでは『ジュニア版 世界の文学(全35巻)』(岩崎書店,1967–1969)の一覧を本の巻末広告から転載させていただきました。また、当ブログでも紹介していますが(サイドバー)、講談社『世界の名作図書館』全52巻の詳しい一覧がサイト「翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist」に置かれていましたので、リンクを張らせていただきました。
『ジュニア版 世界の文学(全35巻)』(岩崎書店)、『世界の名作図書館(全52巻)』(講談社)に関する検索ワードで当ブログにお見えになる方は多いのです。毎日のようにあります。
小学校から中学校にかけて読むにふさわしいこうした全集が今ではあまり出なくなったのが残念な状況です。
でも、一覧があれば、どんな本を与えればいいかを考える指針となるでしょう。
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ジュニア版 世界の文学(全35巻)』(岩崎書店,1967–1969) 2006.10.2
昭和42年(1967)から44年(1969)にかけて、岩崎書店から『ジュニア版 世界の文学(全35巻)』が刊行されました。定価各380円とあります。
その中の(山本和夫編)『世界名詩集(ジュニア版 世界の文学 35)』(岩崎書店,1969)によって、わたしは詩のすばらしさを知りました。
ジュニア版 世界の文学(全35巻)
①ジェーン・エア(C・ブロンテ,花岡花子訳)
②レ・ミゼラブル(ユーゴー,江口清訳)
③猟人日記(ツルゲーネフ,神戸淳吉訳)
④赤い小鳥(スタインベック,白木茂訳)
⑤ジキル博士とハイド氏(スティーブンソン,白木茂訳)
⑥女の一生(モーパッサン,足沢良子訳)
⑦月と6ペンス(モーム,加藤輝男訳)
⑧三国志(羅 貫中,山本和夫訳)
⑨罪と罰(ドストエフスキイ,平井芳夫訳)
⑩シラノ・ド・ベルジュラック(ロスタン,中山知子訳)
⑪白 鯨(メルビル,亀山竜樹訳)
⑫阿Q正伝(魯迅,西本鶏介訳)
⑬初 恋(バルザック,調佳智雄訳)
⑭即興詩人(アンデルセン,岡上鈴江訳)
⑮血と砂(イバニエス,土家由岐雄訳)
⑯⑰静かなドン(上・下)(ショーロフ,松谷さやか訳)
⑱⑲ジャン・クリストフ(上・下)(ロラン,保永貞夫訳)
⑳若きウェルテルの悩み(ゲーテ,塩谷太郎訳)
㉑春の嵐(ヘッセ,山本藤枝訳)
㉒椿 姫(デュマ,庄野誠一訳)
㉓母(ゴーリキイ,石山正三訳)
㉔息子と母(ローレンス,飯島淳秀訳)
㉕アルト・ハイデルベルク(フェルスター,山本藤枝訳)
㉖アッシャー家の没落(ポー,久米元一訳)
㉗武器よさらば(ヘミングウェイ,山本和夫訳)
㉘せまき門(ジイド,那須辰造訳)
㉙タラス・ブーリバ(ゴーゴリ,袋一平訳)
㉚はじめての舞踏会(マンスフィールド,白木茂訳)
㉛緑の舘(ハドソン,榎林哲訳)
㉜㉝戦争と平和(上・下)(トルストイ,和久利誓一訳)
㉞みずうみ(シュトルム,植田敏郎訳)
㉟世界名詩集(山本和夫編)
このシリーズはジュニア向けの文学全集として、本当によく編集されたものだったと思います。娘が中学生になる頃に同じものを買ってやりたいと思い、岩崎書店に電話をしましたが、昔のもので、もうありませんとのことでした。
これと同じようないいものは、どこにもありませんでした。実家にしか。妹との共有のものでしたが、うちの子供たちがこの『ジュニア版 世界の文学(全35巻)』、妹の子供たちが講談社から刊行された『世界の名作図書館』全52巻(講談社,1966-1970)によい時期に達していたことと考え合わせて、わたしが岩崎書店の全集、妹が講談社の全集をそれぞれの家に持ち帰りました。
講談社『世界の名作図書館』全52巻の一覧がサイト「翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist」に置かれています。
ameqlist
Producer:雨宮孝(Amemiya Takashi)
結局、どちらの子供たちもあまり読まなかったのが残念ですが、現在では、このいずれかに匹敵するほどの児童向け、ジュニア向けのものは残念ながら出ていないようです。児童、ジュニア向けのよい文学全集が出版されるよう、文科省は力を入れるというわけにはいかないのでしょうか。
抽象的な事柄を血肉化し、生きた事例として見せてくれる教科書として、世界の名作といわれるような文学作品に勝るものはないと思います。
ただ巷で人間を眺めているだけでは、その人生まではなかなか見えてこないものです。それを知るには、先人たちが心の中までつぶさに開示して見せてくれ、渾身の力をこめて人生について語ってくれた薫り高い文学作品を読むのが一番なのではないでしょうか。
子供はそのような文学作品の中で様々な人生模様を見、恋愛の仕方を学び、理想的な生きかたを模索するでしょう。
命の尊さ――などといわれても、ぴんとこなくて当たり前なのではないでしょうか。よき文学作品を読めば、そのことが叩き込まれます。生きた水となって土壌に滲み込みます。逆にいえば、そのような文学作品がよき文学作品ということなのでしょうね。
話が脱線しましたが、詩に目覚めたわたしが自分のお小遣いで買った詩集は、(深尾須磨子編)『世界の詩集12 世界女流名詩集』(角川書店、1970)でした。中学1年生のときでした。それはまさに大人の女性の世界の薫りでした。その中でも、格別な大人の女性の薫りに陶然とさせてくれたのがガブリエラ・ミストラル((ガブリエラ・ミストラル(Gabriela Mistral, 1889年4月7日 - 1957年1月10日)))でした。
ガブリエラ・ミストラルはラテンアメリカに初めてノーベル文学賞をもたらしたチリの国民的詩人で、教育者、外交官としても知られ、「ラテンアメリカの母」といわれました。
詩集は、「女に生まれて」「恋愛と結婚」「あこがれ・孤独・別離」「自然――四季おりおりの詩」「時と永遠」「世界の苦悩――平和への祈り」というカテゴリーに分けられていますが、ミストラルの詩は1編にその全てを網羅しているような詩です。
拙サイト「マダムNの神秘主義的エッセー」にミストラルに関するエッセーがあります。
- 15 最愛の子にブッダと呼ばれたガブリエラ・ミストラル――その豊潤な詩また 神智学との関わりについて
https://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2015/08/29/191929
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