様々なマグダラのマリア。
マグダラのマリアをモチーフにしたパブリック・ドメイン作品を拾ってみた。
聖書の人物によって衣服の色がおおむね定まっており、聖母が青や紺色の衣やマントを着るのに対し、マグダラのマリアは緑色の下衣、朱色のマントを身につける事が多い。
ウィキペディアの執筆者. “マグダラのマリア”. ウィキペディア日本語版. 2016-02-10. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%80%E3%83%A9%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2&oldid=58566782, (参照 2016-02-23).
16世紀に描かれたマグダラのマリア。円光がまるで麦藁帽子のように見える(?)。
『マグダラのマリアの浄化』(ホセ・デ・リベーラ)、1636。バレンシア出身のバロック画家リペーラ。
1678年頃に制作されたバルトロメ・エステバン・ムリーリョ「無原罪のお宿り」は似た構図。リベーラの影響を受けたのだろう。マグダラのマリアと聖母マリアというテーマの違いがあるけれど。
次の1660~65頃に制作された「無原罪のお宿り(エスコリアルの無原罪のお宿り)」は清浄そのものといってよいのか、清純そのものといってよいのかわからないが、比類ない美しさを湛えている。クリックすると大きくなります。
ムリーリョは沢山の無原罪のお宿りを制作しているが、マグダラのマリアも複数制作している。
ムリーリョの聖マグダラのマリア。1650~55頃の制作。一般女性の渾身の祈りという感じ。
エル・グレコの悔悛するマグダラのマリア。1576~1577頃の制作。衣類の色に注目。清浄なブルー、白、紺といった色合い。画家の筆は悔悛直後のマグダラのマリアを捉えたのだろうか。
髑髏が聖書(?)に置かれている。よくマグダラのマリアと一緒に描かれる髑髏だが、イエスはゴルゴダの丘で磔刑死した。
ゴルゴダとはアラム語Golgothaで、頭蓋骨を意味するという。
頭蓋骨の形をした丘でイエスは磔刑に処されたのだ。イエスの死を見届けたマグダラのマリアが頭蓋骨(髑髏)と共に描かれるのは、そうした意味からなのか?
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの悔悛するマグダラのマリア。1593~1652頃の制作。独特の雰囲気。膝の上に髑髏あり。髑髏の代わりに猫でもいいような気がする。
現代女性風だと思ったら、やはり時代が下った19世紀、アリ・シェフェールによるマグダラのマリアだった。
他にも様々なマグダラのマリアが描かれてきたが、次に紹介する正教会のマグダラのマリアのイコン(14~17世紀)を観たとき、決定版はこれだと思った。
一般人でない感じが出ているのは、これが一番ではないだろうか。マグダラのマリアがイエスに最後まで付き従った志操堅固な弟子だったことからすると(他の弟子たちは怖じ気づいて逃げてしまった)……場所柄からも……
萬子媛の肖像画を連想してしまった。
正教会でマグダラのマリアはどのように語り伝えられているのか、ウィキペディアから引用しておく。
正教会での伝承の概略
マグダラのマリアについて、福音書に記載の無い伝承は以下の通りである。
主の升天後、生神女(聖母マリア)や使徒達とともに常に祈り、広くエルサレム中に主の復活を伝え、第一の証人となった。
神の道を伝えるために、方々を旅した。
ローマへ行き、皇帝ティベリウスに会って紅い鶏卵を献上し、ハリストス(キリスト)の復活を伝え、主の十字架の死を物語り、ピラトによるイイスス・ハリストスの死刑は不法であったと皇帝に訴えた。ユダヤ人には、貧しい者が祝賀・敬意の気持ちを示す際に鶏卵を贈る習慣があり、この習慣に則ってマグダラのマリアが皇帝に紅卵を献上してから、復活の記憶(復活大祭)に鶏卵を贈る習慣が始まった。
ウィキペディアの執筆者. “マグダラのマリア”. ウィキペディア日本語版. 2016-02-10. https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%80%E3%83%A9%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2&oldid=58566782, (参照 2016-02-27).
レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐より、部分。 イエスの向かってすぐ左隣に位置する女性的な風貌の人物は使徒ヨハネとされているが、一説ではマグダラのマリアともいわれている。
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