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2015年12月18日 (金)

知る人ぞ知る「余命三年時事日記」が本に

知る人ぞ知るブログ「余命三年時事日記」が本になり、昨日から発売されているようです。

本のほうは未読なのですが、ブログは驚きながら閲覧して以来、注目してきました。

この記事を書く前に確認したところではAmazonランキング、総合2位、社会・政治1位でした。

初代かずさんが命を賭けてブログを始められたので、タイトルが「余命三年時事日記」となっているようです。かずさんはお亡くなりになり、現在3代目へと引き継がれています。

日本に蠢く謎……物書きというより物陰で書く人間といったほうがいいわたしの最大の謎は日本ではなぜ純文学作家が生まれなくなったのか、ということでした。

純文学系商業雑誌のエンター化で、純文の薫りのある「三田文学」の役割が増しているようです。新人賞にチャレンジしたいと思って購読を始めた慶應大学とは無関係の大学を出たわたしも、次第に拠り所とせざるをえなくなってきました。

前掲のわたしの謎が解けたかどうかはともかく、一般日本人であれば、余命ブログを閲覧して目から鱗が落ちた気がすることでしょう。

現在57歳のわたしが大学生だったころ、 海岸に1人で行ってはいけない……連れて行かれるから、という警告が誰からともなく発せられ、どこに連れ去られるのかははっきりしないまま、1人で海岸に行くことが怖くなったものでした。

あれが北朝鮮の拉致事件を警告するものだったことがずいぶん後になってわかり、戦慄させられました。

初めて余命ブログを閲覧したとき、あの警告を耳にしたときと同じ感じを受けたのです。

わたしは在日外国人のおばさんに半分育てて貰いました。仕事で両親が不在がちだったからです。そのおばさんの会話は日本人と変わりがありませんでしたが、字がほとんど書けず、習慣にも違ったところがありました。決して歯を磨きませんでした。体が弱くて犬を食べさせられた子供の頃の話を聞かされました。

ご主人を亡くしていた――死因は赤痢といっていたような記憶があります――こともあってか裕福には見えませんでしたが、小さいながら土地と家を持っていました。暇を見つけてビーズ細工の内職をしながらの子守り(家政婦)の仕事で2人の男の子を育て上げ、上の息子の就職先がどこだったかは記憶にありませんが、下の息子は地下鉄の運転手になりました。

おばさんが上京して息子たちと暮らすことになったので、母は勤めていた電話局を――病気になったこともあって――やめ、わたしのおばさんたちに関する記憶はそこで途切れます。上の息子が事業を興し、下の息子は地下鉄をやめてその事業を手伝うことになったと母から聞いた気がします。

わたしはそのおばさんが在日外国人だと当時意識したことはなく、彼女の息子たちと兄妹のように育ちました。彼らが学校で虐められたような話を耳にしたこともありませんでした。

むしろ被害者はわたしで、彼らから性被害に遭い、本来の青春を味わうことのないまま苦悩の学校時代を過ごし、人生が変わりました。

小学校では人権教育が盛んで、部落問題が相当に扱われていましたが、同時は田舎では(普通の)地区のことを◯◯部落と呼んだので、わたしは混乱し、何のことやらよくわかりませんでした。

が、とにかく日本には虐げられた部落の人々がいて暗黒の江戸時代、橋のない川……朝鮮から炭鉱に強制連行された人々がいて……日本の軍人さんは鬼畜のようだった、わたしたちはその鬼畜の子だから第2次大戦までの極悪非道な日本を深く反省しなければならない……と教わりました。

こうした教育の中で、おばさんの息子たちが日本人の女の子には何をしてもいいと思ったのかどうかはわかりませんが、朝鮮人に引け目を持つことを刷り込まれた同世代の女性達が統一教会に騙されやすかったことは確かです。

駅前にはなぜ決まってパチンコ店があるのか? 結婚後は転勤族となり廃坑町に住んだときは生活保護が出る日に花火が上がりちょっとしたお祭りのよう……あれは何だったの?

余命ブログを閲覧して、わたしは本当に目から鱗が落ちた気がしました。しかし、余命ブログはヘイトブログという批判もあるようです。本当にそうでしょうか?

見過ごせないほどの人気ブログですから、そこはきちんと検証されるべきでしょう。そのためにも、今回の書籍化はよかったと思います。

一流の政治評論家たちに「余命三年時事日記」をどんどん評論していただきたい。

余命三年時事日記 単行本(ソフトカバー)
余命プロジェクトチーム (著)
出版社: 青林堂 (2015/12/17)

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