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2015年12月14日 (月)

「マダムNの神秘主義的エッセー」更新のお知らせ。新プラトン派について詳しく書かれたH・P・ブラヴァツキー『ベールをとったイシス』。

神秘主義的な記事を集めた「マダムNの神秘主義的エッセー」を更新しました。

新プラトン主義最後の女性哲学者、ヒュパティアについて、シネマ「アレクサンドリア」に絡めて当ブログに書いたのは2011年。

ほぼそのままですが、校正していくらか読みやすくなっているかと思います。

新プラトン派について知りたい方には、H・P・ブラヴァツキー(ボリス・デ・ジルコフ編纂, 老松克博訳)『ベールをとったイシス ―古代および現代の科学と神学にまつわる神秘への鍵― 第1巻 科学 上 』(竜王文庫、平成22年)、その続編『ベールをとったイシス  第1巻 科学 下 』(竜王文庫、平成27年)がおすすめです。

誹謗中傷に晒されやすいH・P・ブラヴァツキーですが、アカデミックな作品です。訳者の老松氏は大阪大学の教授。

竜王会の機関誌に連載されているのを読み始めたころは難しくてわかりませんでしたが、2冊を購入して読んでみると、かなり読めるようになってきている自分に驚かされました。

以下は、『ベールをとったイシス  第1巻 科学 上 』に寄せた拙いわたしのAmazonレビューですが、これらの本を読む喜びが伝わるかと思うので転載します。

訳者あとがきによると、『ベールをとったイシス』の原書は2巻本だそうですが、この邦訳版は4冊構成になる予定だそうです。
今夏2冊目が上梓されて、わかりやすい日本語で読めるありがたみを噛みしめています。
編者ジルコフの「前書きにかえて」を読むと、この本がどんなに苦労して書かれたかがわかり、胸が痛くなります。
邦訳版『シークレット・ドクトリン (宇宙発生論 上) 』とずっと格闘(?)してきましたが、『ベールをとったイシス』を先に読むと(これも読んでいる最中ですが)、『シークレット・ドクトリン』が読みやすくなる気がします。
ピタゴラス、プラトン、新プラトン派に興味のある人は、読み始めたらやめられなくなると思いますよ。
イアンブリコスについて(また彼を通してピタゴラスについて)知りたいと思っても、外国語ができないわたしには彼の著作を2冊見つけられただけでした。『ピュタゴラス伝 (叢書アレクサンドリア図書館) 』(国文社、2000)と『ピタゴラス的生き方 (西洋古典叢書)』(京都大学学術出版会、2011)です。
2冊は内容的に重なる部分が多いですが、「伝」として出ている方は図書館から借り、「生き方」として出ている方は購入して大事に読みました。
そのイアンブリコスが初めのほうから出てきたので、興奮しました。
また調査、研究が進み出した原始キリスト教について、もっと知りたいと思っていたのですが、本書では他の思想とのつながりの中で浮かび上がってきます。清冽な水の流れを追うように思想を辿れる著作はなかなかありません。ほとんどが、途中で淀んだ水溜まりとなって、どこへも流れなくなっていたり、流れがどこから来ているのかがわからなかったりするのです。
東洋思想はわたしにはむしろ言葉が難しく感じられ、頭に入ってきにくいのですが、西洋思想と対照される中で、少しずつ理解が進むようになりました。
続く2冊が上梓される日を首を長くして待っています。でも、どうか無理をなさらずに、すばらしいお仕事をお続けください!

老松氏は1959年のお生まれで、わたしより1歳お若く、脂ののりきった年ごろでいらっしゃるのではないかと想像します。続く2巻もきっと翻訳を完成なさると期待しています。

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