『ベールをとったイシス』が面白い。書いておきたいこと。
江戸時代に関する本を読まなくてはならないが、『ベールをとったイシス』が面白くて、中断することができない。
原書は2巻で、副題は第1巻が科学、第2巻が神学とある。だが、訳者解説によると、科学と神学に関する考察は両方で入り混じっているようだ。
邦訳版で出た2冊(原書の第1巻に当たる部分)をどちらも入手したので、本格的に上巻から読み始めたというわけなのだ。
というより、これまで邦訳版『シークレット・ドクトリン (宇宙発生論 上) 』とずっと格闘していて、『イシス』を読む余裕がなかったのだった。
が、この読みかたは間違いで、『イシス』の邦訳版が1冊出た時点で、それを先に読むべきだった。
『ドクトリン』で馴染めなかった神智学用語や学術用語、あるいは哲学者や科学者だが、それらは『イシス』で初めて出てくるときにわかりやすく解説されていたのだった。
『ドクトリン』でも再度解説されていることも多いが、初回に出て来た時点で読むほうが頭に入って来やすい。
また、『イシス』がわたしにとって読みやすく感じられる理由の一つに、『ドクトリン』に比べると、物理、数学といった理数系の記述が少ないため――勿論科学という副題からもわかるように出て来ないわけではないが――文系のわたしには読みやすく感じられるというわけだ。
それに東洋思想が『ドクトリン』ほどには出て来ないということも読みやすい理由の一つだ。
東洋人なのに何てこと、とは思うがサンスクリット語とか、それが漢字に訳されたものだとかが、わたしにはとても難しく感じられるのだ。
昨日読んでいたところでは『パイドロス』の中の有翼人間――有翼魂というべきかもしれない――が『イシス』に出て来たので、『パイドロス』を再読したりしていた。やはりプラトンは面白い。
『饗宴』で出てくる両性具有の球体人間だとか、『パイドーン』の壮麗なあの世の光景だとか……ブラヴァツキーはファンタジーのようなそうした話に隠されたもっと深い意味合いを他の文献を参照しながら探っていく。
プラトンが魂について『パイドロス』で次のように描くとき、ああ確かにこれはブラヴァツキーが『神智学の鍵』で解説した魂の構造そのものだと気づかないわけにはいかない。
そこで、魂の似すがたを、翼を持った一組の馬と、その手綱をとる翼を持った馭者とが、一体になってはたらく力というふうに、思いうかべよう。
(プラトン『パイドロス』藤沢令夫、岩波書店(岩波文庫)、2014年(初版1967年)、p.69)
一組の馬とは人間の場合は、低級マナス・高級マナスの一組の馬であり、手綱をとる翼を持った馭者とはブッディのことだろう。これが魂を描いたものだとすれば。
『パイドロス』ではイデア論がみずみずしく顔を出している。
ただ、ブラヴァツキーはここでは別のテーマを展開するために、『パイドロス』の中の話を採り上げていた。
ところで、わたしは以下の記事で自身の未熟な、いわゆるテレパシー体験について日記体小説『詩人の死』で書いた断片を引用したが、時間を見つけてもう少し書いておきたいと思っている。
- 2015年9月26日 (土)
二つの神智学協会(追記:初めてヘレナ・レーリッヒの写真を見て)
https://elder.tea-nifty.com/blog/2015/09/post-7238.html
パラマンサ・ヨガナンダがこの現象について、実にぴったりの解説をしているので、その部分を紹介したいし、一般に想像されているテレパシー現象とは違うと思うところがあるので、それを書いておきたい。
これはオーラについて書いたことから想像して貰えるといいのだが(そんな興味も暇もない人がほとんどだろうけれど)、わたしのそうした能力は次第に拓けていったので、自然にコントロールされているということだ。
わたしが自分のほうから――つまりは世俗的な動機で――知りたいと思えば、そのとたんに受信能力は低下し、自分で自分の雑念を受信するのがオチである。賞狙いのときにそれを実感して恐ろしかった。
もし自然にコントロールされていなければ、刺激過多、情報過多でおかしくなってしまうだろう。
だから、世俗的な要求に応じられるような能力は霊媒能力ではないかとわたしは思う。
スピリチュアル・ブームで、メスメリズムによる前世探求や超能力開発が流行っているようだが、霊媒になったり、狂ったりしたくなければ、やめたほうがいいとわたしは思う。
だが、スピリチュアル・ブームの責任をブラヴァツキーになすりつけるのは誤りである。ブラヴァツキーが生きていたころも、彼女が有名になる以前から既にスピリチュアル・ブームはあった。
前掲の彼女の『イシス』を読むと、古代からそうした危険なブームがあったことがわかる。
ブラヴァツキーは心霊主義を本当に詳細に分析し、その誤りと危険性を警告したというのに、彼女の代表作さえ読んでいない、無駄に知名度だけ高い人々によって好き勝手なことを書かれ、彼女の貴重な警告は搔き消されてきた。
このことに関しては、拙ブログ「マダムNの神秘主義的エッセー」に公開中の次の記事を参照していただきたい。
25 ブラヴァツキー批判の代表格ゲノンの空っぽな著作『世界の終末―現代世界の危機』
http://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2015/09/16/07055626 ブラヴァツキーの神智学を誹謗中傷する人々
http://mysterious-essays.hatenablog.jp/entry/2015/09/22/183629
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