面白い本、面白そうな本
月曜日、久しぶりに書店に行きました。本の香り……どんなフレグランスよりもわたしにはすばらしい香りです。
持っていなかったタブッキの『逆さまゲーム』を1冊、購入しました。アマゾンには現在、中古しか出ていないようです。
タブッキの本で、女性におすすめしたいのは『いつも手遅れ』。大人っぽさを感じさせる、お洒落なムードが漂っていて、ベッドの中で読むのによさそう。シックな男性にもおすすめです。
いつも手遅れ
アントニオ・タブッキ (著), 和田 忠彦 (翻訳)
出版社: 河出書房新社 (2013/9/26)
わたしのタブッキ研究は中断中……
- カテゴリー「Notes:アントニオ・タブッキ」
https://elder.tea-nifty.com/blog/notes_8/index.html
孤独感を、ほどよく沈鬱な、落ち着いたムードで和らげてくれる『ペンギンの憂鬱』。
ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)
アンドレイ・クルコフ (著), 沼野 恭子 (翻訳)
出版社: 新潮社 (2004/9/29)
孤独感を、圧倒的な存在感で吹き飛ばしてくれる『冬の犬』。
冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)
アリステア・マクラウド (著), 中野 恵津子 (翻訳)
出版社: 新潮社 (2004/1/30)
過去記事でレビューを書きました。
- 2015年2月10日 (火)
アリステア・マクラウド『冬の犬』(新潮クレスト・ブックス)のすばらしさ
https://elder.tea-nifty.com/blog/2015/02/post-50ee.html
そのうち図書館から借りて読みたいと思ったのは、以下の本。
オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家 ゾラ傑作短篇集 (光文社古典新訳文庫)
ゾラ (著), 國分 俊宏 (翻訳)
出版社: 光文社 (2015/6/11)
ルーゴン・マッカール叢書で有名なゾラですが、上記2編の作品タイトルは初めて見ました。
地上界を中心に、地獄界から天上界まで描き尽くした感のあるバルザックほどの満足感は望めませんが、ゾラの綿密な取材に裏打ちされた、人間社会の断面図をまざまざと見せてくれるエネルギッシュな諸作品は、これまで読んだどの作品も重量感ある見事な出来映えでした。
これまでに読んだゾラの作品の中では、『制作』と『ボヌール・デ・ダム百貨店』が印象的でした。
制作 (上) (岩波文庫)
エミール・ゾラ (著), 清水 正和 (翻訳)
出版社: 岩波書店 (1999/9/16)
制作 (下) (岩波文庫)
エミール・ゾラ (著), 清水 正和 (翻訳)
出版社: 岩波書店 (1999/9/16)
印象派が世に出ようと苦闘していたころのフランス美術界を連想させる迫力のある作品で、芸術の深淵とその怖ろしさをも印象づけられ、読後呆然となりました。
ただ芸術を描いたにしては、この作品には肝心のものが欠けている気もします。
バルザックがペンで捉えることに成功した高級霊性とそこから来る恩恵ともいうべき芸術の醍醐味そのものがきれいに抜け落ちているために、芸術家の真摯な苦闘もどこか馬鹿馬鹿しい徒労としか映らず、戯画的にしか読めない物足りなさがあるのです。
ここのところがゾラの限界を感じさせるところでもあるように、わたしには思えます。
ボヌール・デ・ダム百貨店―デパートの誕生 (ゾラ・セレクション)
エミール ゾラ (著), 吉田 典子 (翻訳)
出版社: 藤原書店 (2004/02)
デパートの魅惑的かつ危険な生態(?)を見事に捉えた作品。
1883年(明治16年)もの昔に発表されたとは思えない新しさを感じさせる作品です。このときゾラは既に、資本主義社会の問題点を分析し尽くしていたのですね。
ところで、わたしが学生だったころ、シュールレアリズムはまだ人気がありました。モラヴィアは読んだことがありませんが、タイトルに惹かれ、読んでみたくなりました。
薔薇とハナムグリ シュルレアリスム・風刺短篇集 (光文社古典新訳文庫)
モラヴィア (著), 関口 英子 (翻訳)
出版社: 光文社 (2015/5/12)
第三の魔弾 (白水Uブックス)
レオ・ペルッツ (著), 前川 道介 (翻訳)
出版社: 白水社 (2015/7/8)
『第三の魔弾』の商品紹介には「16世紀のアステカ王国、コルテス率いる侵略軍に三発の弾丸で立ち向かう暴れ伯グルムバッハ。騙し絵のように変転する幻想歴史小説」とあって、激しく好奇心をそそられます。
オルハン・パムクが文庫で出ていますね。高校生くらいから読めると思うので、過去記事でもオススメしましたが、重厚感があり、ミステリー仕立ての面白さもあるので、読書感想文によいと思います。
イスラム芸術の絢爛豪華な世界に迷い込んで、エキゾチックな感覚を存分に味わいながら、細密画の制作に従事する人々の生きざまに触れることができますよ。
勿論、大人のかたにもオススメです。
わたしの名は赤〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫)
オルハン パムク (著), 宮下 遼 (翻訳)
出版社: 早川書房; 新訳版 (2012/1/25)
わたしの名は赤〔新訳版〕(下) (ハヤカワepi文庫)
オルハン パムク (著), 宮下 遼 (翻訳)
出版社: 早川書房; 新訳版 (2012/1/25)
子供のころに魅了された本が、岩波少年文庫から出ていました。『ジャングル・ブック』と『バンビ――森の、ある一生の物語』です。どちらも、「小学5・6年より」とあります。
岩波少年文庫の本は、単行本に比べると、リーズナブルですし、持ち運びにも便利ですよね。
ジャングル・ブック (岩波少年文庫)
ラドヤード・キプリング (著), 五十嵐 大介 (イラスト), 三辺 律子 (翻訳)
出版社: 岩波書店 (2015/5/16)
バンビ――森の、ある一生の物語 (岩波少年文庫)
フェーリクス・ザルテン (著), ハンス・ベルトレ (イラスト), 上田 真而子 (翻訳)
出版社: 岩波書店 (2010/10/16)
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