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2015年5月29日 (金)

GHQによるWGIPの後遺症に悩む日本人と、希望を感じさせる日本型民主主義

昨日、家事の合間に国会中継を視聴して、もう少しましな質問ができないのだろうか、と思えるものが多く、こんなことで緊迫してきた国際情勢に対処できるのだろうか、と心配になりました。

日本人なのに、反日カラーを纏って平気な国会議員が沢山存在するという謎が、怖ろしいことに、過去記事でも紹介した関野通夫『日本人を狂わせた洗脳工作 いまなお続く占領軍の心理作戦』(自由社、2015年) を読めば、かなり解けてしまいます。

江藤淳が『閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本』の中で書いていた、ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)……戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画。
その衝撃的な著書の中で一次資料の公開のなかったのが惜しまれたが、待望の本が上梓され、一次資料が白日の下に晒された。
戦後70年も経ってようやく、赤ん坊がよちよち歩きを始めるかの如く、憲法改正への道を歩み出そうとしている日本人にとって、これはまことに力強い告発の書である。
反日左翼の声がかしましいが、その非現実的、空虚な主張の第一の原因をここに求めることができよう。
日本人であれば、一度は目を通すべき驚くべき書だ。

以下は、YouTubeで見つけた、青山繁晴氏の2015年5月27日、「インサイトコラム」出演時の動画です。大変貴重なことをいっていらっしゃいますので、おすすめです!

拝聴しながら、たまたまYouTubeの自動文字起こしを見ていたら、あんまりな文字起こしだったので、つい自分でやってしまいました。勝手にすみません……

以下は、上の動画より文字起こししたものです。

「今朝は憲法改正について、ですね」

はい。憲法改正の前に、いわゆる安保法制の国会審議が本格化しまして、もう冒頭から与野党が非常に激しい対決になっていますね。

これは安保法制の意義が大きいということに加えて、やっぱりその背後に、今櫻井さんがおっしゃった、憲法改正につながるのかどうかというところが一番大きいと思います。

実は、今僕が大変心配しているのは、憲法改正というものがいよいよ現実になるんじゃないかということになってから、極めて対立が激しくなって、国民をさらに真っ二つに割るような動きもあるということなんですね。

例えば、憲法改正に反対するいわゆる護憲派の方々が数万人集まられた集会がありました。

これにノーベル賞作家の大江健三郎さんなども主役の一人で参加されて、そのときに例えば、憲法改正を掲げている安倍総理を呼び捨てで「安倍、安倍」と連呼されることもありましたね。

安倍総理に反対する、憲法改正に反対するというのは全く正しい思想の自由ですけれども、あるいは言論の自由ですが、民主的な手続きで選出されたわたしたちの総理大臣を呼び捨てにするというのは、論議を深めたり、フェアに議論をするというよりは、もう対立を煽るといわざるをえないんですね。

わたしが問題提起をしてきましたのは、敗戦後の日本の70年を考えると、改憲派・護憲派に分けたり、あるいは沖縄をめぐって沖縄県民を被害者、本土の人間を加害者に分けたり、国民を割ることがずっと続いてきて、憲法をどうするかという一番大事なときに、またそれをさらに深めるようなことっていうのは、むしろ違うと思うんですね。

例えば、今の憲法があるから、日本国民が北朝鮮に誘拐されても取り返しに行っちゃいけないということは、改憲派・護憲派、共通の認識ですね。

で、誰も取り返しに来ないから、北朝鮮はいわば安心して百人以上の横田めぐみちゃんも有本恵子ちゃんも次々と誘拐していったというのはこれは動かせない現実ですから、憲法をどうするかについて、実は一致点があるはずだということをもう一度考えたいんですね。

で、その上でですね、例えば朝日新聞のような大きな新聞が、次々とこの憲法改正に反対する作家や学者の方々を紙面に登場させています。

で、もう一度いいますが、紙面に例えば憲法改正の方々が登場するというのは全く正しいんですけれども、しかし、例えばなぜ朝日新聞の名前を出したかというと、僕は自分で有料購読毎朝して、熟読吟味して申してるんですけれども、憲法改正に賛成だという作家や学者は見事に誰一人として登場されないですね。

いろんな濃淡あっても、とにかく改正に反対の人ばかりで。これは明らかに世論の誘導ですよね。

日本の新聞は一応公正中立を掲げています。

例えばフランスのル・モンドとかはそうじゃなくて、主義主張をはっきり出すんですが、日本は新聞もテレビもラジオも公正中立を掲げていて、放送にはそういう法律もあるわけですよね。

新聞に法律はありませんけど、しかし公正中立を掲げる以上は、世論を誘導するんじゃなくて、わたしたち主権者が判断できる材料を公平に出して貰いたいんですね。

そのことを踏まえた上で、この朝日新聞に登場される作家や学者の方々、この憲法改正が現実になってきたんで、さっきいいました国民を真っ二つに割るというちょっと困った面とは裏腹に、それぞれの主張がだんだんはっきりしてくるという、あえていえばポジティブな面もあるんですね。

で、今申しました通り、毎朝、朝日新聞を熟読吟味してますと、この憲法改正に反対される方々の主張が今までよりはっきりした面があって、それはまあ、あえて僕の言葉でまとめますとね。

今の憲法がアメリカ占領軍が英語で原案を書いた、それも極めて短期間で作り上げてしまった、そのあと決めたのは日本の内閣ですけれども、原案そのものはあくまで英語で書かれたものだということは、本音としては勿論事実だから認めているんです、しかし、そういう経緯があったとしても、アメリカの掲げる明るい民主主義が現憲法によってもたらされたんだからそのプラスの方を見ませんか、そっちの方が大事でしょ――という主張なんですね。

で、このことは何を物語るかというと、敗戦前の日本が民主主義ではなくて、遅れた国で、社会が暗かったという前提が実はありますよね。

しかしですね、わたしが社長を務める独立総合研究所に会員制のクラブがありまして、インデペンデント・クラブというんですけれど、毎年何回か、会員の方々をお連れして、国会議事堂の見学に行くんですね。

で、国会議事堂の見学に行くと、例えば、本会議場に入りまして、そこでHさんが丁寧な説明をしてくださるんですが、僕はあえてその説明をじっくり聞いたあとで、いつもつけ加えるのは、Hさんも一緒に聞いてくださいね、と申しまして、この議場を見てください、と。

この議場を見ると、天皇陛下のお席と国民が選んだ不充分な選挙制度ではあっても、国民が直接選んだ国会議員の席が両立してますね、いわばこれは日本型民主主義の場所ですね。

で、この国会議事堂というのは、実は戦前の大正年間に建設が始まって昭和11年に完成してるんですね。

つまり戦争に負ける9年も前にもう完成してて、そこにはアメリカの民主主義とは違うけれども、日本型の民主主義があったということが、目の前に広がっているわけですね。議場を見たら。

このラジオをお聴きの方も、修学旅行その他で国会議事堂を見た方は多いと思うんですね。

もう一度思い出してほしいんです。

で、今申しました、大正年間に国会議事堂の建設が始まったんですけれども、その大正年間に、大正デモクラシーという明るい時代があったということも、実は学校で習いましたよね。

デモクラシーというのは、当たり前ですけれども、民主主義であって、従って充分か不充分か、それをいえば、アメリカの民主主義だって、実は不充分であって、だから間違った戦争も繰り返しているわけですよね。

それはお互いに参考にし合うのは大事ですけれども、一番大事なのは、日本型民主主義が本来あるということを、この憲法を考えるときに、もう一度考えませんか、ということを提唱したいんですね。

しかもこの論議というのは、つまりアメリカの民主主義が入ってきたからよかったんじゃないかという方は、アメリカを実は絶賛するに近いんですけれども、当時のアメリカと今のアメリカは実は全く違いますよね。

アメリカは実は力を失って、だから中東で自称イスラム国があれほど荒れ狂ってしまうと言う現実が起きているわけですから、ですから今日の最後に申せば、これから憲法を考えるためにも、これから国民を割っていくんじゃなくて、むしろ日本を考える、一緒に共に立場の違いを乗り越えつつ、日本とは何かと改めて考える、それが実は浮ついた賛成・反対の議論の前に必要じゃないかと考えています。それが今日の問題提起です。

青山繁晴「インサイトコラム」2015年5月27日)


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