「クローズアップ現代」の「広がる“読書ゼロ”~日本人に何が~」を視聴して考えた、意思疎通の問題
2014年12月10日(水)放送「クローズアップ現代」の「広がる“読書ゼロ”」を視聴してから、書きたいように書いた記事――特に冗談を交えて書いた記事――を一般公開することに不安を覚えるようになりました。
前の記事で、追記を書いたのも、もしかしたら冗談が通じないかもしれないという不安が生じたためでした。
番組には「1年くらい読んでない」男性、「3年に1冊読めばいい」という女性が出てきて驚かされましたが、日本人の読書量は相当に減っているようです。
読書ゼロの学生も多いようですが、インターネットは利用しているという特徴があるようです。
わたしは最近、本を読む習慣のある友人と読書ゼロに近い友人とでは、意思疎通の度合いに相当な開きが出てきたような気がしています。
友人と話していて、趣味や生活環境が異なっているというだけでは片付けられない、意思疎通の齟齬を覚えることがあり、それがなぜ起こってくるのかが以前はわかりませんでした。
が、話す頻度は高くないに拘わらず、意思疎通が円滑に行く友人との違いをピックアップして原因を探っていったら、意思疎通に齟齬のある友人には読書する習慣がなく、読書ゼロに近いという点に行き着きました。
で、これはわたしの推測の域を出ませんが、その人が自分とは関係のないことに対してはほとんど想像力が働かないために起こってくる意思疎通の齟齬ではないかと。読書の習慣は、このことに大いに関係していそうです。
中年になると、若いころとはまた異なるテーマで友人とあれこれ話したいことが出てくるのですが、相手が推理小説しか読まなかったとしても、ある新興宗教に偏った読書をしていたとしても、読書ゼロに近い友人とよりは話せるのです。全然違います。
互いに、うまく理解できなかったことは聞き返すし、理解して貰えなかったと思えば、言葉を尽くしてわかって貰おうとします。本好きの人は、そうしたことが嫌いではないことが多いということに気づきました。
本を読んでいるとき、内容がわからなくなれば、前のページに戻って読み直したりしますよね。それと同じ態度といえるのではないでしょうか。相手をわかることは悦びであり、相手に自分をわかって貰うことが幸福感につながるのです。
嫌いになったわけではないのに、何か話そうとするたびに制限がかかっているような感じがして、以前にも増して話せなくなった友人とは、心のふれあいができなかったような欲求不満や、いったことを誤解されたような不安が募っていきます。
その人に嫌われたからこうなるのだろうかと思ってしまった日々がありましたが、どうもそうではなく(その人のほうから連絡してくれるので……)、その人の語彙不足や知識不足からこちらの話すことがうまく理解できない、また自分の話したいことをうまく話せない可能性があるのではないかということに思い当たりました。
わたしたちの学生時代は嫌でも本を読まされたので、そのころは本を読む人と読まない人の差がそれほどでもなかった気がします。
しかし、中年になるまで生きているうちに、本を読まない人のほうは読む人に比べて、語彙が乏しくなり、目先の知識しかなくなっている場合があると思います(まるで文盲病に冒されていくかのよう)。
この点では、職業を持っていても、いなくても、関係ない気がします。職業を持っている人にも、専業主婦にも、同じ傾向の人があるからです。
高齢となった親戚の人のなかには、隠居暮らしとなってから図書館通いしている人が珍しくありません。以前は共通の話題を必死で探さねばならなかったのに、今は相手の態度に柔らかみが増したような感じがして、自然に話せるようになったのも、読書効果かと思えるのです。
それにしても、こうも本が読まれなくなったのであれば、わたしの電子書籍など、売れるほうが不自然なくらいかもしれません。
今年に入って、幸い2冊売れましたが、お買い上げいただいたのはいずれも外国のキンドルストアででした。
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