歴史短編1のために #12 尼門跡寺院
尼門跡寺院について、調べていた。
きっかけは、以下の記事に書いたようなことからである。
- 2014年11月19日 (水)
歴史短編1のために #9 ゆっくり進むことに(今後の創作計画)。萬子媛の次男のホロスコープ。
https://elder.tea-nifty.com/blog/2014/11/9-eacb.html
萬子媛の兄弟姉妹は、花山院家を継いだ定誠以外は、円利は禅寺へ、堯円は浄土真宗へはいって大僧正に。姉は英彦山座主に嫁ぎ、妹は、臨済宗単立の比丘尼御所(尼門跡寺院)で、「薄雲御所」とも呼ばれる総持院(現在、慈受院)へ入った。定誠、武家に嫁いだ萬子媛も結局は出家している。
尼門跡寺院の「門跡」とは、ウィキペディアによると「門跡(もんせき、もんぜき)は、皇族・貴族が住職を務める特定の寺院、あるいはその住職のこと」をいう。
門跡で検索してみたところ、以下の著作が出てきた。
あやめ艸日記―御寺御所大聖寺門跡花山院慈薫尼公
花山院 慈薫 (著), バーバラ ルーシュ (編集), 桂 美千代 (編集), & 2 その他
出版社: 淡交社 (2009/1/30)
平成18年に96歳の天寿を全うされた大聖寺27代門跡・花山院慈薫の随筆集で、図書館から借りて、読んでいるところだ。
萬子媛は、花山院家の21代・花山院定好の娘だが、花山院慈薫は31代・花山院家正(1834年 - 1840年)の娘。
花山院家の37代・花山院弘匡(1962年 - )によると、尼門跡寺院大聖寺の門跡は24代まで内親王だったが、明治以降は華族出身の子女が尼門跡寺院の法統をお守りするようになり、伯母・花山院慈薫にもお話があったという。
お経、仏典、和漢の書、和歌、哲学などを学び、児童文学や少女雑誌なども読んで育ち、13歳で剃髪。
大聖寺の宗旨は臨済宗系の単立で、本尊は釈迦如来。
ちなみに、萬子媛は黄檗宗の尼僧となったが、開祖・隠元隆琦は中国臨済宗の僧で、黄檗宗は臨済宗系であり、明朝風様式を伝えているといわれている。
編者のバーバラ・ルーシュはコロンビア大学名誉教授で、13世紀に活躍した無外如大禅尼について研究するようになり、この禅尼が大聖寺門跡と関係あることがわかったことから、大聖寺にお参りしたいと思ったそうだ。
バーバラ・ルーシュ「思い出の花輪を捧ぐ」に書かれた以下の箇所は興味深い。
このような経験を積み重ねてゆくにつれ、尼門跡寺院という制度があることがわかってきました。この制度は、日本の真なる文化財の一つともいえますが、十九世紀の廃仏毀釈令によってほとんど破壊されてしまいました。尼門跡寺院というのは、何かを抑えつけるところではなく、逆に解き放つところといえる存在であり、もしこのような場が存在しなかったら、日本のきわめて高い文化的教養をもった女性たちが幾世紀にもわたって活躍できなかっただろうと思われます。皇室由来の寺院におられた尼僧様たちが、和歌の古典的な形態をみがき上げ、『源氏物語』に関する文化、さらに茶道、華道、香道、年中行事などの保存にお勤めになられたのでございます。
萬子媛の妹(と姪もそうである。定誠の娘)が入った尼門跡寺院・総持院(現在、慈受院)について検索すると、2014年4月29日付の「慈受院住職の梶妙壽さん死去」というニュース記事が出てきた。
生前の法話が動画として公開されている。以下に紹介するのは、「諸行無常諸法無我」と題され、2009年3月31日に公開された動画。
公開されていた法話の動画はあらかた視聴した。気持ちが安らぎ、勉強になった。
瀬戸内寂聴の法話の動画もサイドに表示されていたので、そちらも視聴してみた。わたしは寂聴の法話を視聴すると、世俗臭すぎるためか、かえって不安に襲われてしまう。
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