初の歴史小説 (39)後陽成天皇の憂鬱 ②猪熊事件の背景にある公家の境遇
当カテゴリー「初の歴史小説」の記事は素人のメモにすぎません。参考にはなさらないでください。
萬子媛が後陽成天皇曾孫女であることから、どうしても後陽成天皇に目が行く。以下の記事で、公家の乱脈ぶりを物語る「猪熊事件」について触れた。
- 2013年11月18日 (月)
初の歴史小説 (17)実家 ①伯父の起こしたスキャンダル「猪熊事件」
https://elder.tea-nifty.com/blog/2013/11/17-55f6.html - 2014年7月19日 (土)
初の歴史小説 (36)後陽成天皇の憂鬱 ①強まる幕府の干渉
https://elder.tea-nifty.com/blog/2014/07/35-3119.html
こうした事件の背景には、幕府が実権を掌握していく中での公家の立場の不如意さ、活躍の場のなさがあったようである。
以下の本より、当時の公家がどのような経済状態、精神状態におかれていたかが窺える箇所を引用しておきたい。
江戸の花女御―東福門院和子
出版社: 毎日新聞社 (2000/1/1)
近藤 富枝 (著)
近藤富枝著『江戸の花女御―東福門院和子』(毎日新聞社、2000年)、50頁―51頁。
皇室の収入が表高たったの一万石である。これでは大名の最下級の俸給である。もっとも皇室武器を整え、軍兵を養う必要はないし、ひざもとの公家たちや女院、皇子皇女の経済も別である。また内裏の建築も幕府まかせだ。
ちなみに関白の位につく五摂家でも二千石程度で、下級公家になると三十石という家さえある。それさえ幕府の宰領によるものだからいざとなると反抗ができないのだ。したがって公家たちは家柄を利用して内職に励まなければ妻子が養えない。政治の実権は武家にあり、公家は高い官職についても力を発揮することができない。彼らは右往左往して徳川のごぎげんとりに心をつかうだけであった。
想像以上の貧しさ、自由度の低さ、という気がする。「猪熊事件」にしても、Wikipediaによると、荘園収入がほぼ途絶え、稼業が大きな収入源となる時代に起きた事件で、蹴鞠を稼業とする家が商売敵を陥れるために天皇に逐一言上したのだと『花山物語』にあるそうだ。
| 固定リンク
「歴史」カテゴリの記事
- ヴァイスハウプトはロスチャイルドに依頼されてイルミナティを作った ④(2021.01.28)
- バイデン新大統領の就任式とマーシャルレポート(2021.01.22)
- ヴァイスハウプトはロスチャイルドに依頼されてイルミナティを作った ③(2021.01.20)
- ヴァイスハウプトはロスチャイルドに依頼されてイルミナティを作った ②(2021.01.18)
- ヴァイスハウプトはロスチャイルドに依頼されてイルミナティを作った ① (2021.01.17)
「萬子媛 - 祐徳稲荷神社」カテゴリの記事
- 世阿弥「花鏡」、戦国時代の中国に早くも臓器移植を連想させる道家の文書。神智学でいうカーマ・ルーパ。(2020.08.13)
- 作品1「祐徳院」らくがきメモ 3(2020.07.28)
- 作品1「祐徳院」らくがきメモ 2(7月29日に訂正あり)(2020.07.26)
- 作品1「祐徳院」らくがきメモ1(2020.07.25)
- 創作予定の変更。田中保善氏の愛読書。パンみたいな?(2020.07.15)
「Notes:萬子ひめ」カテゴリの記事
- 作品1「祐徳院」らくがきメモ 4(2020.10.31)
- 世阿弥「花鏡」、戦国時代の中国に早くも臓器移植を連想させる道家の文書。神智学でいうカーマ・ルーパ。(2020.08.13)
- 作品1「祐徳院」らくがきメモ 3(2020.07.28)
- 作品1「祐徳院」らくがきメモ 2(7月29日に訂正あり)(2020.07.26)
- 作品1「祐徳院」らくがきメモ1(2020.07.25)