昨日書店に立ち寄って
昨日、美容室に出かけた帰りに、書店に寄った。
最近「高校生の読書感想文 おすすめ」といった検索ワードで当ブログにご訪問になる方が増えたので、書店ですぐ手に入りそうな本を見ておこうと思ったのだった。
これまではどちらかというと、高校生が読みやすい、感想文の書きやすそうなプロットのはっきりした作品を収めた本を「おすすめ」していたが、目に飛び込んできただけでなく、ああこの本が今なら文庫で買える――と思わされた本を3冊選び、手にとってみた。
どれも過去に読み、感動した本だが、訳者が異なるので、中身を確認してみた。
昔と比べて近年、書店に本が溢れているようでありながら、すぐに品切れになる本も多い。書店にある本を見れば、いつでも手に入りそうな気がしてしまうが、決してそうではない。
バルザックの『暗黒事件』が今であれば、ちくま文庫で買える。これは歴史小説の傑作だ。
バルザック流のこまかな描写が読書嫌いの生徒には敬遠されるかもしれないが、プロットは鋼鉄のようにしっかりしていて、何しろ面白いストーリーなので、感想文は書きやすいのではないだろうか。
ざっとでも再読しておかなければ、おすすめできないと思い、読み始めると、ざっととはいかない面白さで(何度読んでも面白い)、もう捕まってしまっている。
副産物として、この本を選んだ生徒を歴史好きにするかもしれない。女性哲学者シモーヌ・ヴェイユの伝記を読むと、学校でかなりバルザックを読まされている。
最近、フランスのことを書いた何かで、バルザックは学校で読まされる定番だという文章を目にしたことがあるので、今もよく読まされるのかもしれない。
そういえば、娘が文通しているイタリア人の書店主さんはバルザックの『オノリーヌ』をお読みになったばかりだそうだ。『オノリーヌ』も今ならちくま文庫で買える。
光文社古典新訳文庫の服を着たリルケの『マルテの手記』、ギッシングの『ヘンリー・ライクロフトの私記』も目に飛び込んできた。
なつかしい友人にでも再会したように、目が潤む。毎日自宅の本棚で見ている癖に、装いを新たにしているのを見ると、何ともいえない感動を覚えるのだ。
この2冊はエッセイ風なので、感想を書きづらいところはあるかもしれない。
しかし、ストーリーものだと挫折してしまう生徒には逆に、どこからでも読めるという利点がある。これらの本を読むと読まないとでは人生の味わいが違ってくる。
高校生で読めるだろうかと心配になったが、『マルテの手記』は中学1、2年で、『ヘンリー…』も高校生で読んだというレビューが出てきた。わたしが思った通り、これらの本が人生を変えたと書いている人のレビューを複数目にした。
自宅にある3冊をざっとでも再読して、おすすめ記事を書きたい。もたもた再読していると、夏休みが終わってしまうかもしれない。
この3冊はおすすめ海外編としよう。日本の本のおすすめも書店で決めたかったが、時間がなかった。自分が若い頃、翻訳物が好きだったせいか、どうしてもそちら中心になる。
バルザックの歴史小説は、これから歴史小説を書こうとしているわたしには刺激になる。高校生のときだったか、山岡荘八の『織田信長』などに夢中になったことはあったものの、大人になってからは日本の歴史小説、中には面白いと思うものもあるが、パターン化されている感じがし、正直いって、わたしにはつまらない。かといってバルザック風には書けるはずもないが……
お世話になっている郷土史家に(暑中見舞いを書きそびれたので)、残暑見舞いを出そうと思い、「かもめーる」を買ってきた。「かもめーる」、残暑見舞いにも使えることを一応窓口で確認した。
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