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2014年8月10日 (日)

高校生の読書感想文におすすめの本 2014年夏(海外編3冊)

最近「高校生の読書感想文 おすすめ」といった検索ワードで、当ブログをご閲覧になる方が増えました。

わたしはこれまでに、高校生が読書感想文を書くのによいと思われる本の紹介記事を6本書きました。高校生の読書にふさわしいと思われるバランスのとれた、文学作品としての品格を備えた作品を紹介するように努めてきました。

アクセスが最も多いのは以下の記事です。

書店で目につく本は毎年変わるので、昨日用事で中心街に出かけた帰りに書店に寄り、書棚で目についた3冊の本のタイトルと出版社名をメモ帳に書き留めてきました。

わたしが持っている本とは翻訳者、出版社などが違いますが、ざっと中身を確認し、おすすめできると思いました。

これまでにわたしが書いた記事では、高校生の理解力を考慮した、よくまとまった、定番的な作品を主に紹介してきました。

今回は、「この本が文庫で買えるなんて、何てすばらしい」と思った本を紹介することにしました。何年か経ってほしいと思っても、絶版になっていたりして思うように入手できないことがあるのですね。

ところで、あなたはフランス料理を召し上がったことがありますか? 

わたしは国内から一歩も外へ出たことがなく、フランス料理店にも入ったことがないので、縁がありません。欧風料理店でランチを注文したことがある程度です。

ですから、フランス料理のフルコースといわれても、漠然と想像できるだけですが、文学の世界でなら、この日本にいながらにして(翻訳されたものを通して)、数々のフルコース(長編)に舌鼓を打ちました。

「暗黒事件」は、そんなフルコース的な絶品小説をせっせと世の中に送り出したバルザックの長編小説です。長編ですが、それほど長くない手頃な長編で、フランスの文豪バルザックの諸作の中でも、とりわけ有名な歴史小説です。

暗黒事件: バルザック・コレクション (ちくま文庫)
オノレ・ド バルザック (著), 柏木 隆雄 (翻訳)
文庫: 443ページ
出版社: 筑摩書房 (2014/6/10)

この本を開くと、歴史の勉強で味もそっけもないものとして「フランス革命」「ナポレオン帝政」などと脳味噌に刻みつけられた歴史用語が突然香りを放ち、生き生きとした姿を見せ始めることでしょう。

わかりにくい箇所は飛ばして読んでもいいと思いますよ。あとで気になれば、ネットでなり、辞書、事典、年表でなり、調べればよいことです。

一番大事なのは、作品の香りを嗅ぐことですから。

勿論、わからないところを調べながら読めば、より読書を楽しめるでしょう。

そして、興味を惹かれた箇所をノートに書き出すことから、感想文の第一歩を始めてみては如何ですか?

以下の2冊に収められた作品は、エッセイ的な要素の強い作品です。プロットのはっきりした小説に比べると、感想文が書きにくいかもしれません。

でも、こうしたタイプの本の読書では、気ままな散歩のような気楽さがあり、一部分を採り出して感想を書いても様になる――感想文らしいものになる――という強み(?)があります。

これらの作品を読んだことのある場合とない場合とでは、この世というところが違って見えてくると思います。洗練された、良識的な物の見方とはどういうものかを教えてくれることでしょう。

マルテの手記 (光文社古典新訳文庫) 
ライナー・マリア リルケ (著),  松永 美穂 (翻訳)
文庫: 394ページ
出版社: 光文社 (2014/6/12)

ヘンリー・ライクロフトの私記 (光文社古典新訳文庫) 
ジョージ ギッシング (著), 池 央耿 (翻訳)
文庫: 331ページ
出版社: 光文社 (2013/9/10)

読書感想文を書くというイベント(宿題)を通して、ぜひすばらしい文学作品に触れてみてください。

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