ただいま46枚。映画『華氏451度』。
本日5枚追加で、46枚。できたら、あと5枚進めたかったのですが、今日も校正のほうに時間をかけたという感じです。
一応、賞に応募するつもりで書いていますが、応募を迷っています。
でも電子書籍にしてしまうと、本当にどこにも出せなくなるので、どこかへ出してみたい気がしてしまいます。60枚から100枚に増やして(それが可能な構想)、別のところを考えたりもしているのですが……どうしましょう。
ところで、レイ・ブラッドベリのSF小説『華氏451度』の映画(1966年、フランソワ・トリュフォー監督)を録画しておいてのを夫が観ていたので、わたしも少し観ました。なつかしい映画でした。
レイ・ブラッドベリは中学から高校にかけて結構読みましたが(高1のときのバレー部の合宿に1冊持っていったら、別の人が同じ本を持ってきていました。その人はスポーツ万能なクール美人で、慶應に行きましたが、今どうしているでしょう?)、ある日突然飽きました。
『華氏451度』は読んでいませんが、夫は読んだとか。
華氏451度というのは、本が燃え出す温度だそうです。思想管理が徹底している未来社会では本の存在自体が悪いこととされ、そこでは家は燃えない素材で作られているため、ファイアマンは消防活動をせず、書物の根絶を任務としています。
密告を受けたら直ちに出動し、隠された本を見つけ出しては焼却するのです。サマランダーがシンボルとなっていました。
そのファイアマンの一人が本に魅せられるようになり、追われる身となって、そして1人が1冊の本の内容を全て頭に記憶することで本が伝える思想や文化を継承しようとする人々がひっそりと暮らす村へ赴くという結末を迎えます。
昔観たとき、1人で1冊の本をまるごと、そのまま記憶するなんて、いくら未来人とはいえ、無理のある設定ではないかと思いました。コンピュータが活躍しない時代に制作された映画なので、現代から見ると、つい笑ってしまう未来設定もあるのですが、映像が綺麗で、トリュフォーらしいこだわりが感じられ、丁寧に作られている印象です。
映画に出てくるのは実際に存在する本ばかりで、SF、雑誌、美術書なども出てきましたが、プラトンなどの哲学書やチャールズ・ディケンズ、ジェーン・オースティンの純文学書など出てきて、わたしは今の日本の状況をふと重ねてしまいました。
燃やされこそしませんでしたが、日本では哲学書も純文学書も当時は考えられなかったような凋落ぶりです。昔は、哲学書も純文学書も、もっと読まれていましたよね。
大手出版社がエンター系ばかり派手に宣伝するようになり、村上春樹がよく売れ出した頃から「純文学なんてない」などと盛んにいわれていた時期がありましたが、あれは何だったのか。
書店員の娘に訊くと、芥川賞受賞作品は純文学に分類されるというので、日本でいう純文学のジャンルは依然生きているようですよ。
ただ、そこに分類されるらしい最近の芥川賞受賞作品の多くが、わたしには純文学とも思えません。
今わたしが応募を迷っている賞はジャンルを限っているわけではなく、「未発表小説一編」となっています。作品集を読むと、受賞作品の多くがエンター系(この場合は、大衆系といったほうが感じが出る気がしますが)か純文系といったところでしょう。
わたしは思うのですが、大衆系と純文系を同じ土俵で闘わせるのは無理があるのではないかと。ポピュラー音楽とクラシック音楽では形式が異なるように、大衆文学と純文学も形式が違うのですから。
その賞が芥川賞に一番近いとされる文芸雑誌を発表舞台としていることで、内容は大衆系といってよいのに純文学扱いされ、そのことで純粋な純文系(というと変ですが)作品のイメージと定義が崩れ、結果として純文学の衰退を招く一因になったではないかと思えるのです。
最近の芥川賞受賞作品の多くは、エンター系的面白さを追求しているわけでもなく、だからといって、人間や社会を分析し、洞察し、人間のすばらしいところを謳い上げるといった純文学ともいえず、日本語の壊れたような変な作品がどんどん生まれてしまっているように思います。
夏休みの課題図書に挙がっているのか、最近の芥川賞受賞作品のタイトルで当ブログにお見えになりますねえ。憂慮される事態です。最近の芥川賞受賞作品は日本語がおかしい作品が多いのですから、正しい日本語を身につけるべき生徒にはあまり読んでほしくない気がします。大人が趣味で読むにはいいのかもしれませんが。
読書感想文には、芥川龍之介の作品を読むほうがまだいいのではないかと思ってしまいます。
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