初の歴史小説 (28)黄檗宗が『葉隠』の源泉?
(27)で書いたように、わたしは佐賀藩の第2代藩主、鍋島光茂、萬子媛の間には親しい交際関係があったのではないかと見ている。
そのことは萬子媛の2番目の子、式部朝清が光茂に仕え、佐賀に住み、光茂の信頼厚く、親戚同格の扱いを受けた――と郷土史家のメールに書かれていたようなことからも推測可能だと思う。
2人の生没年を見ておこう。
光茂は寛永9年5月23日(1632年7月10日)に生まれ、 元禄13年5月16日(1700年7月2日)に没している。
萬子媛は寛永2年(1625年)に生まれ(寛永3年という説もある)、宝永2年(1705年)に没している。
光茂の生涯は、萬子媛がこの世に滞在した期間内に綺麗に収まる。
光茂に仕えた山本常朝の口述による『葉隠』は再読しておく必要があるだろう。この本、高校のときか大学のときに買い、本棚でたまに目にしていた覚えがあるので、探したが見つからなかった。
「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」の文言は有名で、怖いイメージを抱かれる人もあるかと思う。
が、昔読んだとき、「綺麗……」と感じた記憶がある。狂信的なところはまるで感じなかった。今読めばどう思うかはわからないが。
そして、『葉隠』を口述した山本常朝は、潮音道海の影響を受けて神仏儒の合一を説いた石田一鼎(いしだ いってい)の門下生であったという。
潮音道海(ちょうおんどうかい、1628-1695)は黄檗宗の僧侶である。この潮音道海は木庵性瑫(もくあんしょうとう、1611-1684)という明僧の弟子で、木庵性瑫は、黄檗宗の開祖である隠元隆琦(いんげん りゅうき、1592-1673)を補佐し、その法を嗣ぎ、万福寺2世となった人物だった。
『葉隠』を調べて黄檗宗が出てくるとは、発見である!
黄檗宗が萬子媛を解くためのキイワードである、とわたしは思っているからである。
葉隠 (講談社学術文庫)
小池 喜明 (著)
講談社 (1999/7/9)
中公クラシックス・シリーズは読みやすくて好きだが、そこからも出ている。
葉隠〈1〉 (中公クラシックス)
奈良本 辰也 (翻訳), 駒 敏郎 (翻訳)
中央公論新社 (2006/06)
葉隠〈2〉 (中公クラシックス)
奈良本 辰也 (翻訳), 駒 敏郎 (翻訳)
中央公論新社 (2006/07)
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