初の歴史小説 (31)『葉隠』 ②山本常朝の父は有田皿山(窯場)の代官
当ブログに、記事のあまり入っていない「やきもの」というカテゴリーがある。伊万里焼(有田焼)、その中でも鍋島藩秘窯の里、大川内山の御用窯で焼かれた鍋島焼に興味がわき、歴史小説を書きたい想いに駆られて、2006年の夏、伊万里に出かけた。
ブログを始めて4ヶ月にしかならない頃で、写真を撮るのも記事を書くのもまだ試運転といった段階で、記事にはざっとしたことしか書いていない。それでも、現在の関心事に響いてくる写真(小さい)と記述(青字)があった。
2006年8月10日 (木)
鍋島藩秘窯の里にて
https://elder.tea-nifty.com/blog/2006/08/post_0f43.html
2006年8月10日 (木)
8日10日のひとりごと
https://elder.tea-nifty.com/blog/2006/08/post_56c6.html
鍋島藩の有能な役人であった山本神右衛門は、有田皿山(窯場)の代官として重要な人物であるようだ。彼は、『葉隠』の著者の父であるという。
2006年8月11日 (金)
8月11日のひとりごと
https://elder.tea-nifty.com/blog/2006/08/post_1feb.html
耽美的とすらいっていい、秘窯で製作された献上用の「鍋島」。管理されシステム化された中であれだけのものがつくられたということは、管理しシステム化する側によほどの焼物の鑑賞力、美意識、思想があったはずだ。
『葉隠』の口述者、山本常朝の師匠筋を遡っていくと、以下のようになる。
山本常朝→石田一鼎→潮音道海→木庵(中国僧)→黄檗宗の開祖・隠元隆琦(中国僧)
隠元は黄檗宗の開祖であり、煎茶道の開祖でもあることは(29)でリサーチした通りである。
そして、『葉隠』には死をモチーフとした思想が散りばめられているにも拘わらず、サロン的ムードが漂うとわたしは書いたが、口述された時期が太平の世であり、またそれが煎茶道と関係があるからではないだろうか。
隠元の渡来は、明王朝の滅亡、清王朝の誕生と関係が深かった。そして伊万里焼が大躍進した――オランダ東インド会社への期待にも応えた――のも、この中国の歴史の転換期と関係が深い。
大川内山を舞台とした歴史小説を書きたいというわたしの願いは、祐徳院(萬子媛)をモデルとした初の歴史小説の中に溶解しそうである。
お世話になっている郷土史家のメールによれば、萬子媛の次男は、光茂に仕え、佐賀に住み、光茂の信頼厚く「親類同格」の扱いを受けていた。しかし21歳で亡くなり、このことが萬子媛を慟哭させ、出家の動機となった。その宗教は黄檗宗であった。
光茂は黄檗宗と関係が浅いとは考えられないし、鍋島焼とも関係が深い。鍋島焼との関係の深さは、元禄6年(1693年)、光茂が有田皿山代官に与えた手頭(指示書)からも明らかである。
萬子媛が生きていた江戸初期から中期にかけて、黄檗宗が流行り、人々は普茶料理に親しんだ。そして、佐賀藩の有田で焼かれた磁器及び献上用の鍋島焼は、普茶料理に使用されたであろう。
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