初の歴史小説 (16)仏教徒たるお姫様
祐徳稲荷神社を創建された萬子媛については、これまで間違ったことを書き散らしてきた可能性があるので、カテゴリー「初の歴史小説」「萬子媛―祐徳稲荷神社」は素人の間違いだらけの一時的な覚書にすぎず、あとで非公開にする性質のものであることを改めて、お断りしておきたい。
漢文、不得意だったので、わたしはこの方面に関しては猿と同レベルだが、その猿の目で、識者がお送りくださった「祐徳開山瑞顔大師行業記」を読んでいた。というより、まずは眺めていたというべきか。ありがたいことに送りかなをつけてくださったものが添付されていたが、それでも猿には難しい。
そもそも最初から躓いた。カタカナを平仮名に直して書き写してみると、「大師、諱は実麟。號、瑞顔。」
うっ? 號って何? 調べると、「号」だった。
識者は、萬子媛の名について「わかりません」と回答された。確かに、昔の系譜には女としか記されていない。「直朝公御年譜」にも萬子という具体的名前はいっさい出て来ないそうだ。識者は「元来、昔の日本の上流社会では、生まれてすぐ名付けられた幼名を親以外の者が呼び名として呼びかけることは忌み嫌われたと聞いています」と書かれているが、以下にウィキペディアから「諱」について抜粋しておく。
諱(いみな)は、中国などの東アジアの漢字圏における人名の一要素である。忌み名(いみな)、真名(まな)とも。
概要
諱という漢字は、日本語では「いむ」と訓ぜられるように、本来は口に出すことがはばかられることを意味する動詞である。
この漢字は、古代に貴人や死者を本名で呼ぶことを避ける習慣があったことから、転じて人の本名(名)のことを指すようになった。本来は、名前の表記は生前は「名」、死後は「諱」と呼んで区別するが、のちには生前にさかのぼって諱と表現するなど、混同が見られるようになった。諱に対して普段人を呼ぶときに使う名称のことを、字(あざな)といい、時代が下ると多くの人々が諱と字を持つようになった。
諱で呼びかけることは親や主君などのみに許され、それ以外の人間が諱で呼びかけることは極めて無礼であると考えられた(詳細は、実名敬避俗(じつめいけいひぞく)及び避諱を参照)。また、僧侶が受戒するときに受ける法名のことを、仏弟子として新たに身につける真の名前という意義から諱(厳密には法諱(ほうい、ほうき))といった。
日本では時代が下ると、僧侶の受戒が、俗人の葬式で死者に授戒し戒名として諱を与える儀礼として取り入れられた。このため、現在では諱は諡と混同され、現代日本語ではしばしばほとんど同義に使われることもある。
識者は「直朝公御年譜」から萬子媛に関する分を抜き書きしたあと、「以上のように『萬』という人名は出てきません。昔は、萬子媛とは呼ばず祐徳院様と呼んでいました。祐徳院がお稲荷さん信仰と結びつき、由緒を語る必要からその創建者としての萬子様が蘇ってきたものと私は思っております」と書かれている。
神仏分離、廃仏毀釈について調べる必要を覚えていたが、識者の回答を読むと、一層その必要に迫られる。
名についてもそうだが、猿の目でざっと萬子媛について義理の息子・直條(鹿島藩4代藩主)によって著された「祐徳開山瑞顔大師行業記」を眺めたところでは、稲荷信仰には何も触れられていないのだ。
仏教徒として真摯な萬子媛の姿が印象づけられるばかりである。次男を亡くした後の萬子媛の慟哭、葛藤、出家に至る過程が生々しく綴られている。
わたしはこのくだりで、もうお亡くなりになった神智学の先生が大学生だった長男を亡くされたあとに陥られた慟哭とその究極のところで体験されたある神秘的な出来事、そしてお父上が紹介につとめられていた神智学との関わり……というお話を思い出してしまった。
識者によると、「祐徳開山瑞顔大師行業記」が萬子媛についての最も古くて上質の資料で、萬子媛の義理の息子・鍋島直條が萬子媛が存命中(萬子媛ご逝去の1年前)に著述したものとされているとか。
名については置いておくとして、次。
「洛陽の人。」
へっ? 萬子媛が中国人? あとに続く文章から、そんなはずはない。洛陽とは、京都の美称だろうか。猿が頼るのはウィキペディア。 抜粋。
古く京都は、しばしば中国王朝の都となった洛陽に因み、洛陽、京洛などといわれた。
以上のような調子で、先は長いのですが、翻訳して識者にチェックしていただければと考えています。漢文が得意な息子にもコピーを送ってみようと思いますが、忙しくて母親の趣味につきあう暇はないかもしれません。今ちょっと時間がないので、この記事は書きかけです。本日午後5時ごろから『台風』の無料キャンペーンです。
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