エドワード・ゴーリーの危険すぎる絵本
エドワード・ゴーリーの絵本を知り、衝撃を受けました。
危険な目に遭う子供たちのその危険の直中ではなく、その直前か直後の場面を描いた『ギャシュリークラムのちびっ子たち または 遠出のあとで』という絵本を動画で観ました。あまりの生々しさに、その世界に引き摺り込まれてしまうような気分になりました。
高い技術力と、独特のムードを醸し出す能力。
子供たちの死の原因は、事故か犯罪か不自然な病死です。
避けがたく迫ってくる忌まわしいムード、嵐の起きる前の静けさにも似たムードには既視感があります。
わたしは確かにそれを知っており、間一髪で助かった瞬間が何回かあります。全世界が不気味に沈黙し、この世に完全に棄てられたような瞬間。避けがたい危険に呑まれるかもしれないことを全身が察知している、時間がとまったように長く感じられる瞬間。危険な目に遭うとき、時間はいくらでも伸び縮みするのです。現実にも確かに味わったことがありますが、悪夢の中でも味わったはずです。
そのリアリティはともかく、現実には、このようなおぞましい死の連続、統一された瞬間というのは、ありえないことです。作為的であり、人工的であって、子供たちの死が編集され、コレクションされているのです。子供たちの死はアルファベット順に構成されていますから。それを月並みな言葉では猟奇的と呼びます。
この子供たちにどんなに幸せな過去があったとしても、彼らは忌まわしい瞬間にピンでとめられ、固定されています。この子供たちは、そこから一歩も動けないかのようです。未来永劫、彼らにはこの瞬間が、この不幸が続くのだと絵本はほくそ笑んでいるかのようです。
前述したように、この世に生きていても、このような地獄さながらの瞬間を察知し、味わわざるをえないことがありましょうが、わたしが問題に感じるのはその固定です。忌まわしい瞬間をまるで愛撫しているかのような、執拗な拘りです。
人間は誰もが死にます。どんな人生を送ってきたとしても、結局は死に辿り着くのだ、それ以外にはもはや何も残らないのだ、というペシミズム――で括ることのできない、ある欠落を感じさせます。何なんでしょう、これは。
この絵本が日本では柴田元幸の訳により2000年に河出書房新社から出版され、それが日本図書館協会選定図書に選定されているというのがわたしには不可解です。
※下書きのまま放置しないために公開しておきますが、この記事は書きかけです。
採り上げ、展開すべき事柄は以下。
クマ、ロズウェル事件、F大ワンダーフォーゲル部の災難。 イングマール・ベルイマンとエドワード・ゴーリーの共通点。
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