朝の空に虹がかかっていました
携帯で撮ったので、よくは撮れませんでしたが、朝5時半頃、虹が出ていたので、思わず撮りました。晴れて見えましたが、ベランダに出てみると、とても細かな――絹糸のような――雨が降っていました。この写真、修正していません。
肉眼で見ると、虹は雲の上の辺りまで延びていて、雲の隙間からスッと虹の女神イリスが片足を伸ばしたかのようにも見えました。47分に見たときはまだ出ていましたが、6時に見ると、消えていました(この記事を書いていたのです)。
ギリシア神話に出てくる虹の女神イリスはヘラの使者です。仲裁役として優れていましたが、とても善良だったので、ゼウスがアフロディテとの情事をごまかすために、彼らの子であるエロスはイリスと西風の子――という噂をひろげたときも黙っていました。
ヘラはそんなことではごまかされず、黙っているイリスを責めました。そのときの様子が『現代教養文庫 1000 ギリシア神話小事典』(バーナード・エヴスリン、小林稔訳、社会思想社、1979年)に美しく表現されているので、引用します。
……引用ここから……
イリスは自分を弁護しなかった。最初彼女はそっと泣き、それからヘラにほほえみかけた。そのほほえみは、あらしの雲の間から輝く虹の光のように、涙のなかにきらめき、そのさまがあまりにも心を魅了したので、ヘラは、オリュンポスの記録では始めて、叱ることを思いとどまったのである。
……引用ここまで……
午前中の家事で中断。
ここではエロスはゼウスとアフロディテとの間の子とされていますが、エロスの出自及び性質については諸説あるようです。
プラトンは『饗宴』で、エロス(森進一訳で読み慣れているのでエロースといわなければ、感じが出ません)をめぐる賛美合戦を描いてみせています。
ここで、エロース(愛の神)は策知の神ポロスと貧窮の女神ペニアーの間の子であるという説が表れます。それは、ソークラテースがかつてディオティーマという女性から聴いた話だそうです。
わたしはこのくだりを読んでいると(『饗宴』『パイドーン』を何度読み返したことか)、ランボーの『わが放浪』という詩を必ずといってよいように連想してしまうのです。こんなにみずみずしい詩を書くランボーという人間がエロースのように想えてくるのですね。
昔人間は球形の統一体で、男性(男男)、女性(女女)、両性者(男女)という三種類がいたが、傲慢さで神々の怒りを買い、ゼウスに真っ二つにされてしまった……それ以来、切断された半身は自らの半身をこがれるようになったのだ……という面白い話が出てくるのも、この『饗宴』です。
昨年、わたしは「高校生の読書感想文におすすめの本_2012年夏」で、『ソークラテースの弁明』をすすめましたが、『饗宴』とどちらにしようかと迷いました。どちらも読みやすく、とにかく面白いのです。2013年版おすすめも書きたいのですが、もし書いたら『饗宴』を入れるかもしれません。
ところで、このときの宴で第一番に話し始めたのはパイドロスでした。彼はヘシオドスの説を引き、万物の初め、カオス(混沌)、ガイア(大地)、エロース(愛の神)の順に生まれたといいます。
このギリシア最古の宇宙開闢神話を引いて、ブラヴァツキーはフォーハットという未顕現の宇宙では潜在的創造力、現象界では電気的生命力となる神秘的なエネルギーについて、興味深い説を展開しています。それについて、つい書きたくなってしまいましたが、興味のない人にとっては独り言になってしまうので、やめます。
宇宙が話に出てくると、NHKスペシャル「地球大進化」を思い出します。母なる地球とわたしたちが呼んできたこの星は、46億年の間大異変を繰り返してきた荒ぶる星だというのです。
40億年前には、全ての海が干上がってしまうような大異変が実際に起きたそうで、その原因は巨大隕石の衝突。2億年前と6億年前には全てが氷に覆われてしまう全球凍結、2億5千万年前には地球内部のマントルが一気に吹き出すという大噴火。
生命は何度も絶滅の縁に追い詰められましたが、一方でこうした大変動があったからこそ、わたしたち人類は誕生したのだとか。全球凍結は微生物だったわたしたちの祖先を大型生物に進化させたと考えられているそうです。
何とも壮大な話ですね。
高校生の読書感想文におすすめです。
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