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2013年7月25日 (木)

高校生の読書感想文におすすめの本 2013年夏

「高校生の読書感想文におすすめの本」を書くのも、今回で3回目となりました。自分が年をとってくると、若い方々の体、表情、動作の全てがみずみずしく感じられて、まぶしいくらいです。

 そして、ああよい本を読んで、さらにみずみずしく、輝いてほしいなあと願わずにいられません。

 前回は、作者について短い紹介文をつけましたが、作者について調べてみることも読書の楽しみの一つだと思うので、今回は「この本は如何?」と思った本を、そのまま並べてみることにしました。

 ギリシアと日本の古典を1冊ずつ(古代ギリシアの哲学者プラトンの作品を前回に続いて選んでしまいました。とびきり面白いので。西洋哲学の源流といわれるプラトンの著作を読んだんだ――なんて、自分で自分に自慢できますよ。高校生にも充分読める内容です)。

 ロシアの戯曲を1冊(チェーホフは短編小説の名手でもありました)。

 フランスと日本の深刻な小説を1冊ずつ(あなたがもし同じ状況に置かれたとしたら、何を考え、どう行動しますか? 『ペスト』を書いたアルベール・カミュは1957年、44歳という若さでノーベル文学賞を受賞しました)。

 ドイツと日本の恋愛小説を1冊ずつ(カラーが全く異なる小説を選びました。ゲーテはあまりにも有名となった恋愛小説を書きました。もう1冊は、日常を不思議な世界に変容させてしまう化学薬品のような恋愛小説です)。

 日本の短編小説集を1冊(粋――いき――という言葉をご存知ですか? この本で、粋な小説を味わえます)。

 フランスの文豪のダイナミックな小説を1冊(主人公の最後の言葉に注目!)。

 2006年度ノーベル文学賞受賞者の代表作である、トルコの長編小説を1冊(絢爛豪華な世界です)。

 どれも文庫なので、ページ数をご覧になれば、どれくらいの長さかがわかるでしょう。中編を中心に選びました。ただし、『わたしの名は赤』は上下巻の長編です。『現代語訳 雨月物語・春雨物語』と『老妓抄』は短編集です。

 ギリシアと日本の古典を1冊ずつ――と書きましたが、『饗宴』を書いたプラトンは紀元前5世紀から紀元前4世紀に生きた大昔の人です。『雨月物語・春雨物語』を書いた上田秋成は、それに比べたらずっと現代に近い江戸時代後期の人です。『若きウェルテルの悩み』を書いたゲーテ、『「絶対」の探求』を書いたバルザックも、日本史の区分でいえば江戸時代の人達です。

 名作は、どれも生き生きしています。本の中で、様々な時代、色々な国の人々と交流できるのですから、本ってまるでタイムマシンみたいですよね。

 ところで、あなたは、大阪府吹田市千里の万博公園にある「太陽の塔」をご覧になったことがありますか? わたしはまだですが、粋な『老妓抄』を書いた人は、その「太陽の塔」を制作した岡本太郎のお母様です。

 ……本を並べるだけのはずが、あれこれ書いちゃいましたね。

饗宴 (新潮文庫) 
 プラトーン (著), 森 進一 (翻訳)
 文庫: 218ページ
 出版社: 新潮社; 改版(1968/9/3)

現代語訳 雨月物語・春雨物語 (河出文庫) 
 上田 秋成 (著), 円地 文子(翻訳)
 文庫: 277ページ
 出版社: 河出書房新社 (2008/7/4)

桜の園・三人姉妹 (新潮文庫) 
 チェーホフ (著), 神西 清((翻訳)
 文庫: 252ページ
 出版社: 新潮社; 改版 (1967/9/1)

ペスト (新潮文庫) 
 カミュ (著), 宮崎 嶺雄 (翻訳)
 文庫: 476ページ
 出版社: 新潮社; 改版 (1969/11/3)

沈黙 (新潮文庫) 
 遠藤 周作 (著)
 文庫: 312ページ
 出版社: 新潮社; 改版 (1981/10/19)

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)   
 ゲーテ (著), 高橋 義孝(翻訳)
 文庫: 205ページ
 出版社: 新潮社; 改版 (1951/3/2)

第七官界彷徨 (河出文庫) 
 尾崎 翠 (著)
 文庫: 189ページ
 出版社: 河出書房新社 (2009/7/3)

老妓抄 (新潮文庫) 
 岡本 かの子(著)
 文庫: 262ページ
 出版社: 新潮社; 改版(1950/5/2)

「絶対」の探求 (岩波文庫)
 バルザック (著), 水野 亮 (翻訳)
 文庫: 367ページ
 出版社: 岩波書店; 改訳〔〕版 (1978/04)

わたしの名は赤〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫) 
 オルハン パムク (著), 宮下 遼(翻訳)
 新書: 431ページ
 出版社: 早川書房; 新訳版(2012/1/25)
わたしの名は赤〔新訳版〕(下)(ハヤカワepi文庫) 
 オルハン パムク (著), 宮下 遼(翻訳)
 新書: 444ページ
 出版社: 早川書房; 新訳版(2012/1/25)

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