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2013年5月15日 (水)

村上春樹現象の深層 ③マスメディアが媚態を尽くす村上春樹

村上春樹現象の深層

大学教師に熱愛される村上春樹
村上春樹の浮遊する夢とポルターガイスト体験
③マスメディアが媚態を尽くす村上春樹
眠剤を飲むくらいなら純文学小説を読みましょう
言論統制が行われている中国・韓国で、村上春樹がヒットを続ける理由

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 過日、村上春樹のイベントがあり、例によって当ブログの訪問者が増えたが、わたしはそれ以降、やる気の出ない日々が続いている。いつものこととはいえ、受ける影響の大きさに我ながら驚いている。

 どうしてこんなにやる気が出ないのだろう?

 村上春樹以外では、ハリー・ポッター騒ぎがうるさかった。その前はエンデかな。そういえば、ハリー・ポッターは世界中であんなに売れたのに、なぜノーベル文学賞騒ぎが起きないのだろう? 児童文学作家が受賞しないわけではない。現に、リンドグレーンが受賞しないことで話題になっていたぐらいだ。

 マスメディアは村上春樹があたかもノーベル文学賞候補であるような騒ぎ方をするが、そもそもノーベル文学賞の場合、候補は発表にならないはずだ。以下の抜粋の下線部分はわたしが引いたものだが、そこを注目していただきたい。

Wikipedia:ノーベル文学賞 「選考」より抜粋

第1回の選考の際にはトルストイが存命で、有力候補とされていたがフランスのアカデミーが推薦した詩人シュリ・プリュドムが選ばれた。 この選考結果に対してスウェーデン国内で一部の作家たちが抗議を行うなど世論の批判があったが、トルストイの主張する無政府主義や宗教批判が受け入れられず、翌年以降も選ばれることは無かった。

1913年には、インドのタゴールがヨーロッパ以外の地域から初めて選ばれた。タゴールはベンガル語で詩を作り、『夕べの歌』の出版以来、高い評価を得ていた。子供の頃から英語を学び、イギリス留学の経験もあるため英語に通じていたタゴールが自分自身で詩を英語に訳したところ、アイルランドの詩人イェイツなどの協力によって英語で出版され、ヨーロッパでも好評を得た。

1914年の選考ではカール・シュピッテラーが候補になっていたが、第一次世界大戦の勃発により授賞は中止された。1916年の11月に、1915年のロマン・ロランと1916年のヴェルネル・フォン・ハイデンスタムの二人への授賞が発表された。式典自体は戦争が終結する1918年まで実施されなかった。

1925年に選ばれた劇作家、バーナード・ショーは当初受賞を拒否していたが、説得により賞を受け、賞金はイギリスにおけるスウェーデン文学の為の財団設立に投じられた。

第二次世界大戦が始まると4年の間、ノーベル文学賞は中止された。1945年に1944年の受賞者ヨハネス・イェンセンと1945年の受賞者ガブリエラ・ミストラルが同時に発表された。1945年の選考ではフランスのポール・ヴァレリーに決まりつつあったが、正式決定前の7月にヴァレリーが死亡した為、ミストラルの南米初の受賞が決まった。

1958年のソ連のボリス・パステルナークは政府からの圧力により、辞退を強要された。パステルナークは1960年に死亡し、1988年に息子がメダルを受け取っている。

サルトルは1964年に選ばれたが、辞退した。サルトルは公的な栄誉を否定しており、過去にもフランス政府による勲章等を辞退していた。公式な声明ではノーベル賞の辞退は個人的な理由としているが、この賞が西側中心のものであることへのサルトルの批判として受け止められた。

日本人では川端康成と大江健三郎の2人が受賞している。このほか、賀川豊彦が1947・1948年の2度候補に挙がっている。ノーベル賞の候補者や選考過程は50年間の守秘義務があり、ノーベル財団のウェブサイトでは1950年までの候補者が公表されている。2009年、朝日新聞がノーベル財団に50年以上経過した過去の情報公開を請求した結果、賀川の後は1958年に谷崎潤一郎と西脇順三郎が候補となっていたことが確認された。さらに、谷崎と西脇は1960 - 1962年にも候補者となっていたことが、公開された日本の外務省公電からの間接的な形で2010年に研究者によって確認され、2013年に読売新聞によるスウェーデン・アカデミーへの情報公開請求の結果としても裏付けられた。また、同じ情報公開請求では1968年に受賞した川端康成が、1961年と1962年に候補者となっていたことも明らかになっている。これ以外に古くは1926年に内田魯庵が野口米次郎を「日本の文芸家からノーベル賞の候補に挙がる最初の人物」と評したのをはじめ、戦後は三島由紀夫、芹沢光治良、井伏鱒二、井上靖、遠藤周作、安部公房、村上春樹らが「候補者」として報道されたことがあるが、いずれも下馬評や過去の受賞者が獲得していた他の文学賞との関連などに基づく類推の域を出るものではなく、現在公表されているノーベル財団の公式な資料に基づくものではない。

 マスメディアは下馬評にすぎないものを、あたかもスウェーデン・アカデミーの公式発表であるがごとく、騒ぐのだ。

 マスメディアが頼りにするのは世界最大規模のブックメーカー(賭け屋)、英ラドブロークスであるが、それがどんなものか、ググってみていただきたい。およそ、文学とは縁もゆかりもなさそうなサイトに招き寄せられてしまうことだろう。

 そんな賭け屋の予想にすぎないものをマスメディアは、あたかもスウェーデン・アカデミーの公式発表と一般人に勘違いさせるような情報操作を行い、文豪だの世界的作家だのと喚き立てる。

 ノーベル賞の他の分野では、こんな騒ぎが起きない。それも変ではないだろうか。

 それに、ノーベル文学賞作家である大江健三郎は健在であるはずだが、下馬評くらいで文豪扱いするのであれば、大江健三郎には大がいくつ付く文豪になるのだろう? 大大大文豪くらいかしら。

 そんな大大大文豪をまだ生きていらっしゃるというのに、ほったらかし気味でいいの? 

 マスメディアは民主を持ち上げ、自民を貶めるのが好きだが、マスメディアがこうも熱愛する村上春樹……これは単純な商業主義ではないのではないか。

 文化庁長官だった――わたしには似非ユング学者だったとしか思えない〔※カテゴリー「瀕死の児童文学界」参照〕――河合隼雄との結びつきが村上春樹の権威づけに一役も二役も買っていることは間違いないだろうが、それだけではない……何かもっと大きな、組織ぐるみの勢力が裏で働いている嫌な予感が付き纏う。

 村上春樹現象は韓流ブームに似ている。

 わが国のテレビメディアは韓流の発信基地かとすら思えた一時期があったが、村上春樹に関しては、マスメディアが春樹に媚態を尽くし、村上春樹現象をつくり出す主因となっている。

 かくもマスメディアを操りうるのは誰なのか。一人のドンなのか、組織なのか、と疑問がわくのだ。(2013年5月11日)

 サンプルをダウンロードできます。
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