ゴールデンウィークに借りた『シモーヌ・ヴェイユ詩集』、『死海文書のすべて』
シモーヌ・ヴェイユの戯曲『救われたヴェネチア』が以前から気になっていたので、それが収録されている『シモーヌ・ヴェイユ詩集』(小海永ニ訳、青土社、1992年)を図書館から借りてきた。
以下の構成。
- 編集者のノート
- ポール・ヴァレリーの手紙
- 詩編
金持ちの若い娘に
聖シャルルマーニュの会食時に読まれた詩
稲妻
プロメテ
ある一日に
海
必然
星
扉 - コント 火の妖精たち
- 救われたヴェネチア
《救われたヴェネチア》に関するノート
第一幕
第ニ幕
第三幕
シモーヌ・ヴェイユの伝記に、詩をヴァレリーに送り、返事があった旨が書かれていたので、詩に関しても興味があった。
ざっと見たところでは、ギリシアの古典に題材を求め、詩のスタイルもそれ風で、さすがはシモーヌ・ヴェイユというべき志の高さを感じさせるが、荒削りで、学びの段階にあるという印象。
彼女に潜む科学的傾向が、象徴的表現とうまく協調できていない。シモーヌはこれ以降詩作の道を歩みはしなかったから、手法的な模倣・模索期に留まったことになる。
ヴァレリーは詩の初心者に対して、長所短所を言葉を尽くして述べ、激励で締めくくっている。この頃のフランス文学界にはヴァレリーが健在だったのだと改めて思う。以下は過去記事で紹介したヴァレリーの詩。
- 2006年12月31日 (日)
行く年に想うこと&ヴァレリーの詩の紹介
https://elder.tea-nifty.com/blog/2006/12/post_62ac.html
『火の妖精たち』は、シモーヌが11歳のときに書いた童話だという。戯曲も読むのはこれからだが、全体にみずみずしさが溢れていて、よいゴールデンウィークになりそうだ。
死海文書関係ではトンデモ本も多いようだが、これは本格的。少し読んだところだが、ひじょうに興奮する。訳者は、日本における古代ユダヤ研究の第一人者、秦剛平氏。
カロッサの本も引き続き、沢山借りた。第一の目的は以下の続きを書くためだが、単に読みたいから、ということもある。バランスのとれた作風で、心身共健全へと導かれる気がする。カロッサ、医師であっただけのことはある(?)。
- 2013年4月29日 (月)
カロッサ『指導と信徒』に見る神智学・人知学(アントロポゾフィー)の影響と印象的なリルケの描写 その①ブラヴァツキー
https://elder.tea-nifty.com/blog/2013/04/post-18be.html
オルダス・ハクスリーを読むと、ベザント夫人などと出てきて、その頃、神智学協会の会長はアニー・ベサントだったのだろう。Wikipediaによると、
- アニー・ウッド・ベサント(Annie Wood Besant, ベザントとも表記されるが発音は「bɛsənt」, 1847年10月1日 ロンドン、クラパム - 1933年9月20日 インド、アディヤール)
- オルダス・レナード・ハクスリー(Aldous Leonard Huxley, 1894年7月26日 - 1963年11月22日)
アニー・ベサントというと、1925年にノーベル文学賞を受賞したバーナード・ショーとの関係が有名だが、そのあたりもリサーチしてみたいところだ。
他にも、神智学を囓った人物と関係のある面白い著作を見つけた。②で触れたい。
だが、体調が戻ったので、先に電子書籍を作ってしまおうと思う。連休明けにでも、またキャンペーンをやろうかと考えている。
追記:
ウィキペディアの以下の記述を読むと、アニー・ベサントとオルダス・ハクスリーは深交があったようだ。ウィキペディアより抜粋。
“Wikipedia:アニー・ベサント
1927年、アニーはカリフォルニア州オーハイ(Ojai)に2.0km2の土地を購入し、オルダス・ハクスリー、ジッドゥ・クリシュナムルティらと学校建設を夢見た。1933年、アニーは亡くなったが、学校はHappy Valley Schoolとして1946年に開校した。2006年、学校はアニー・ベサントを記念して、ベサント・ヒル・スクール(Besant Hill School)に改名した。Wikipedia:オルダス・ハクスリー
ハクスリーは意識の拡張に関心を持っていた。1944年の著書『永遠の哲学』では古今東西の神秘主義者の思想を引用抜粋し、神的な実在を認識した人間の思想を研究した。 特にインドの哲人クリシュナムルティとは長年家族ぐるみで親しく交流し、深い影響を受けた。”
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