電子書籍の登録時に改めて気づかされる日本人のおかしさ
Kindleダイレクト・パブリッシングに本を登録するときに選択するカテゴリと、Kindleストアで表示されるジャンルとは同じではなく、ずれを感じることがある。
カテゴリは二つまで選択できる。
純文学小説『台風』はフィクションであり、そのうちの文学作品という大きな括りの中で、自然災害に遭遇した家族の物語というものであるので、それにふさわしいカテゴリを探すと、自然災害、その中でも台風をモチーフとしたものであるという点にリンクするカテゴリをどうしても見つけられなかった。一つは、
フィクション>文学
を選んだ。
でも、台風を描いたものだという点をどうしてもカテゴリに反映させたかったので、フィクションという大きな括りを離れて、自然災害を選んだ。すると、本の出版後、Kindleストアでは「文学・評論」「科学・テクノロジー」に並んだ。
「文学・評論」はいいが、「科学・テクノロジー」となると、これは冷や汗ものだ。『台風』を登録するあたりまでは、カテゴリのずれをあまり意識しなかったが、とりあえずは本を完全に「文学・評論」の分野に戻さねばならないと思い、カテゴリの選択をし直した。
自然災害物という拘りを棄て、
フィクション>家庭生活
を選んだ。しかし、この新しいカテゴリの選択がKindleストアでの『台風』のカテゴリに反映するかどうかはわからない。
「文学・評論」には、以下のジャンルがある。
- 小説・文芸
- 歴史・時代小説
- 経済・社会小説
- ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- SF・ホラー・ファンタジー
- ロマンス
- エッセー・随筆
- 詩歌
- 戯曲・シナリオ
「小説・文芸」「経済・社会小説」あたりに並んでくれたらと思う。
カテゴリのアメリカ様式には偏りを感じないではない。日本様式のジャンルには感覚的には馴染む。ただ、そこに並んでいる本にはアダルト、エンター系小説の類が何て多いのだろうと驚かされてしまう。
「哲学・思想」というジャンルにまでエロティックなタイトルが当たり前のようにのさばって上位を占めるこの国の人間は、もう脳が冒されているとしか思えない。
以下は、人文・思想>哲学・思想カテゴリにおける過去30日、人気度で検索した結果(2013年3月2日23時41分)。
わたしの著作はアダルト系サンドウィッチの具材になっている。
ちなみに、このページのトップは113件中97件目で、「ニーチェ[超]入門 生きるための哲学」。
わたしは今、児童文学に一番関心があるので、ライン以下に、本の登録時に並んでいるカテゴリの中から「青少年向けフィクション」に含まれるカテゴリを抜粋、紹介しておきたい。
そこに並ぶ豊富なカテゴリを見(これは全て青少年向けのフィクションに含まれるものなのだ)、その中の一カテゴリにすぎない「ファンタジー、魔法」に現代日本のフィクション系児童文学作品の大半が収まってしまう現実を考えるとき、日本社会のおかしさを痛感せざるをえない。
それも日本のファンタジー、魔法物の多くが、古代形成された神話や過去に書かれたファンタジックな物語などから、好みのものを、背景の理解もなしにあちこちから盗ってきて作品に利用するという節操のない手法で書かれた、いわば、何でもありの作風のものが多い。
アメリカ様式のカテゴリを見ていて思うのは、こまやかに、正確に青少年を見つめ、深く理解し、また薫育したいという意図なしで、これほど多くのカテゴリが存在するとは考えにくいということである。
そこでは、たとえ空想物であれ、折り目正しさ、学識と教養、大人としての責任が求められている気がする。日本に溢れているのは、空想物というより、妄想物というべきものが多い。
わたしの400字詰換算20枚程度の童話『マドレーヌとわたし』のカテゴリを選ぶ際、一つは「ベッドタイム・夢」を選択した。「ベッドタイム・夢」がもう一つ、「キリスト教徒」という括りの中にも存在する。
ここで種明かしをするのもナンだが、以前からわたしのブログに来てくださっている方々は、わたしがマグダラのマリア、フランスの呼びかたで、マリー・マドレーヌのリサーチを続けていることをご存知だと思う。
『マドレーヌとわたし』は、キリスト教徒という括りには入らないが、神秘主義者という括りに入る「ベッドタイム・夢」だった。作者としてわたしはマドレーヌに、黒い聖母像の象徴性を持たせたかった。
そして、主人公のかすみは、自覚はないが、子供でありながら、その象徴性を感じとれるだけの感性の持ち主であり、一個の神秘主義者なのだ。子供時代のわたしがそうであったように。尤も、わたしは前世修行者として死んだというと自覚があり、瞑想の習慣があったくらいだから、自覚があったといえるが……。
一方では、マドレーヌか主人公かのどちらかが死んでしまった、あるいは不具になってしまった困惑と悲しみ、それでもなお消え去らない何かを表現しようとしたものだった。詩人と呼んでいた女友達をマドレーヌに重ねていた。
勿論それが読者にそっくり伝わるはずもないが(そもそも、そんな書きかたをしていない)、ムードとして、ほのかにでも伝わらないだろうか――という期待も、無造作なジャンル分けの前には(今の日本ではそれで事足りるのだ)、四散してしまうものがある。
本の登録時点では、わたしはあの作品に籠めた神秘主義的な意味合いに拘るとするなら、「青少年向けフィクション」から離れて「神秘主義」か「グノーシス主義」、あるいは「神知学」、「マリア論」なんかを選んでもよかった。少なくとも、それに応えるだけのカテゴリが用意されている。
しかし、それが日本式に変換されれば、結局のところ、「絵本・児童書」の中の「読み物」に日本式ファンタジーと一緒に振りわけられるだけのことなのだ。
ライン以下に、「青少年向けフィクション」に含まれるカテゴリ一覧を抜粋。
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
……(引用ここから)……
青少年向けフィクション
一般
アクション、アドベンチャー
一般
海賊
サバイバルストーリー
アクティビティ・ブック
動物
一般
ワニ
類人猿、猿、その他
熊
鳥
蝶、蛾、毛虫
猫
牛
鹿、ムース、カリブー
恐竜、有史以前の生物
犬
アヒル、ガチョウ、その他
象
家畜
魚
キツネ
カエル
キリン
カバ、サイ
馬
昆虫、クモ、その他
ジャングルの動物
カンガルー
ライオン、虎、豹、その他
哺乳類
海洋生物
ネズミ、ハムスター、テンジクネズミ、その他
神話
夜行性動物
ペット
ブタ
ウサギ
爬虫類、両生類
リス
カメ
オオカミ、コヨーテ
動物園
芸術、建築
ベッドタイム、夢
伝記
一般
カナダ
ヨーロッパ
アメリカ合衆国
その他
本、図書館
少年、男性
ビジネス、キャリア、職業
古典
衣類、ドレス
漫画、劇画
一般
漫画
メディア共催イベント
スーパーヒーロー
コンピュータ
概念
一般
アルファベット
身体
色
集計、数
年代、時間
金銭
対立
季節
知覚、感覚
サイズと形状
音
単語
料理、食物
おとぎ話、民話
一般
翻案
選集
国、民族
家族
一般
養子縁組
代替家族
結婚、離婚
多世代
新生児、孤児院
親
兄弟
複合家族
ファンタジー、魔法
少女、女性
健康と日常生活
一般
日常生活
病気、疾患、怪我
トイレトレーニング
史伝
一般
アフリカ
古代文明
アジア
カナダ
一般
連邦設立前
連邦設立後
ヨーロッパ
探検、発見
ホロコースト
中世
中東
軍隊、戦争
先史時代
ルネッサンス
アメリカ合衆国一般
植民地時代、革命時代
19世紀
南北戦争時代
20世紀
21世紀
その他
祭日、祭事
一般
誕生日
クリスマス、キリストの降臨
復活祭、受難節
ハロウィーン
ハヌカー
クワンザ
過越の祭り
愛国的な祝日
感謝祭
バレンタインデー
その他、非宗教
その他、宗教
ホラー、怪談
ユーモア小説
想像力、遊び
インタラクティブ・アドベンチャー
法律、犯罪
伝説、神話、寓話
一般
アーサー王伝説
ギリシャ神話、ローマ神話
古代スカンジナビア人
その他
生活様式
都市、町の生活
カントリー・ライフ
農村、牧場の生活
恋愛、ロマンス
メディア共催イベント
怪物
ミステリー、探偵小説
自然、自然界一般
環境
気候
童謡
人と場所
一般
アフリカ
アジア
オーストラリア、オセアニア
カナダ
一般
カナダ先住民
カリブ海、中南米
ヨーロッパ
メキシコ
中東
極域
アメリカ合衆国
一般
アフリカ系アメリカ人
アジア系アメリカ人
ヒスパニック、ラテン系アメリカ人
アメリカ先住民
その他
その他
舞台芸術
一般
サーカス
ダンス
映画
音楽
テレビ、ラジオ
劇場
読者
初心者
中間
チャプターブック
宗教
一般
キリスト教徒
一般
アクション、アドベンチャー
動物
ベッドタイム、夢
漫画、劇画
初期の読者
感情、感性
家族
ファンタジー
友人関係
健康と日常生活
史伝
祭日、祭事
ユーモア
学習概念
ミステリー、探偵小説
人と場所
人間関係
SF
社会問題
スポーツ、レクリエーション
価値観、美徳
ユダヤ系
その他
ロボット
王族
学校、教育
科学、テクノロジー
SF
短編小説
社会問題
一般
思春期
いじめ
デート、セックス
死、臨終
鬱病、精神障害
薬物、アルコール、薬物乱用
海外への移住、海外からの移住
感情、感性
友人関係
ホームレス、貧困
同性愛
マナー、礼儀作法
新しい経験
周囲からのプレッシャー
身体的、感情的な虐待
妊娠
偏見、人種差別
家出
自尊心、自立
自傷
性的虐待
特別なニーズ
見知らぬ人
自殺
価値観、美徳
暴力
スポーツ、レクリエーション(省略)
詩歌の物語
おもちゃ、人形、指人形
運輸
一般
航空
ボート、船、潜水艦
車、トラック
オートバイ
鉄道、列車
幻想、形而上学
西部劇
青少年向けノンフィクション
(以下省略)
……(引用ここまで)……
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