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2013年2月 7日 (木)

大好きなお隣さん

 夜になると、近くで火事が発生したときの怖ろしさが蘇ってきます。

 消火するまで1時間40分かかり、出火元一室が全焼しました。一室だけが、まるでそこで焚き火でもしているみたいにぼんぼん燃えていました。

 わたしたち家族は火災の発生した分譲マンションの一室を借り、そこで暮らしています。たまたま上のほうの階を借りることになったのでしたが、地震とか火事になったら、うまく逃げられるのかしら、と時々思うことがありました。

 分譲マンションなどは耐火構造になっているようで、火災が発生したのはマンションの10階でした。

 耐火性能の規定時間をググってみると、最上階から数えて5以上14以内の階の場合、壁・柱・床・梁は2時間、屋根・階段は30分間となっています。

 なるほどね、という感想です。はしご車が到着するのが遅く、放水までに時間がかかったという印象を持ちましたが、どうなんでしょう? 火災報知器が鳴り出すのも、ずいぶん遅かった気がします。

 それにしても、松村潔氏のサビアン占星術で見て、木星が蠍座の2度『割れたビンとこぼれた香水』の年齢域に入ってから、まるでビンが割れるかのように、自然災害で借家が壊れたり、火災で脅かされたり、権利の侵害を受けたり、検査で頭蓋骨をえぐられたり……と色々な目に遭います。

 ただ不思議なことに、そうしたダメージから思ってもみなかった贈り物をもたらされることがしばしばです。

 今回は、感じのよいかただなと思っていたお隣のおばさん――老婦人といってよい年齢のかたです――と心のふれあいができたという点でしょうか。

 お隣のおばさんは日本舞踊の師匠をなさってきただけあって、着物姿のよさといったら、ありません。それでいて、素顔のときは可愛らしくて、亡くなった母を思い出します。

 忙しそうなので、挨拶を交わす程度でしたが、今回のことで、着物姿のときはきりっと見えていても、やはりご高齢なのだと痛感させられ、何かあったときのために電話番号くらいは教えておきたいと考えました。

 すぐにそうしたかったのですが、火災や消火の影響がほとんどなかった我が家に比べると被害があるようで、あれこれ人の出入りがあったり、片付けもあるようでした。大変なようであれば、手伝いたいと思いましたが、ご家族がおありのことだし、挨拶する程度の関係では言い出しにくくて遠慮していたのでした。

 昨日、買い物のために通路に出たとき、偶然お隣のおばさんが出て来られたので、今後何かあって近所の助けがほしいときには連絡してほしいといって、電話番号を渡しました。

 そのとき、「見てみる? ぐしょぐしょでな、とても住まれへんわ」とおっしゃったので、玄関から部屋の中を見せていただき、息を呑みました。こんなにひどかったのか、と驚きました。

 一緒に玄関ロビーに避難していたとき、消防士さんがお隣さんの鍵を取りに来られたのです。それで、延焼や放水の可能性があるのだろうと思ったのですが、こんな大変なことになっていたのだなと思いました。

 近所に住む肉親の家に今はいらっしゃるようで、そこから片付けに通って来ているそうです。罹災証明書の提出などもあり、色々と大変そうです。

 でも、真っ先にお隣のおばさんから出た言葉は「あんた、怖かったやろ?」という言葉でした。

「もっと怖かったのは、おばさんでしょ?」と驚くと、「うちは呑気でな。テレビ見とったんや」ですって。丸い、優しい眼で。

 そして、おばさんは「うちも、電話番号、教えとくな」といい、わたしに背を向けて、壁を下敷き代わりに書いていらっしゃったのですが、救出が遅かったら、一酸化酸素中毒の危険もあったのではないかと思うと、涙が出てきました。

「おばさんったら、呑気なこといって! 留守だと思っていたんです。危なかったんですよ!」といいながら、背中に抱きついてしまいました。

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