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2013年1月 7日 (月)

人権委法案、再提出見送り

 以下は、時事通信ニュース。

“人権委法案、再提出見送りへ=政権交代受け法務省
 時事ドットコム
 2013/01/06-14:08

 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013010600052 

 法務省は6日、人権救済機関「人権委員会」を同省の外局として設置する法案について、28日召集予定の通常国会への再提出を断念する方針を固めた。昨年12月の衆院選で政権奪還を果たした自民党の政権公約を踏まえたもので、当面は法案の扱いを棚上げせざるを得ない状況だ。
 同法案は、人権侵害に対する救済や予防を行う人権委を、国家行政組織法に基づく「三条委員会」として設置する内容。民主党政権は昨年秋の臨時国会に提出したものの、審議入りせず、衆院解散に伴って廃案となった。 
 人権救済機関をめぐっては、自民党政権でも小泉内閣が2002年、設置を盛り込んだ「人権擁護法案」を国会に提出したことがある。しかし、報道機関の取材活動を制約する条項などに世論の批判が集まり、03年に廃案となった。その後、再提出の動きが起こったが、安倍晋三首相らが当時、「人権侵害の定義が曖昧」などと反対してその動きを封じ込めた。
 こうした経緯などを踏まえ、自民党は衆院選公約で「民主党の人権委員会設置法案に断固反対。個別法によるきめ細かな人権救済を推進する」と主張。法務省関係者は「少なくとも、昨年秋に出したそのままの内容での再提出は選択肢にない。じっくり腰を据えて検討するしかない」とあきらめ顔だ。”
 

 危機一髪のところで、日本の神様(?)のご加護か、政権交代が行われた。わたしは国会中継をよく見るほうなのだが、何しろ、民主政権になってからの国会視聴から受ける印象は、怖ろしいの一言だった。

 民主党の政権が長引けば、危険すぎる、人権委法案(人権委員会設置法案)、外国人参政権が通過してしまうと気が気ではなかった(外国人参政権が通りにくいことがわかると、その布石として外国人地方参政権を通そうとしていた)。

 勿論、民主党議員の中にも、これらの法案に反対する議員はいるが、民主政権は何が何でも通過させようとしているようだった。それは、一体、何のためになのか?

 何にしても、「人権委法案、再提出見送り」のニュースにはひとまずホッとさせられた。以下に、Wikipedia「人権擁護法案」から『人権委員会設置法案の内容』『法案に対する反対意見、危険性の指摘』を抜粋。法案の問題となる部分を赤字にしておく。

ウィキペディアの執筆者,2013,「人権擁護法案」『ウィキペディア日本語版』,(2013年1月7日取得,http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E6%93%81%E8%AD%B7%E6%B3%95%E6%A1%88&oldid=45697897).

人権委員会設置法案の内容

2012年(平成24年)に野田内閣が閣議決定した人権委員会設置法案(設置法案)の概要、および、人権擁護法案との主な相違点は以下の通り。

総則

人権委員会設置法の目的は、「人権を違法に侵害する行為により発生し、又は発生するおそれのある被害の適正かつ迅速な救済又はその実効的な予防並びに人権尊重の理念を普及させ、及びこれに関する理解を深めるための啓発を任務とする人権委員会を設置して、人権の擁護に関する施策を総合的に推進し、もって人権が尊重される社会の実現に寄与すること」と定める(設置法案1条)。また、「国は、基本的人権の享有と法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり、人権の擁護に関する施策を総合的に推進する責務を有する。」として国の責務を定めた(設置法案3条)。この目的及び国の責務は、人権擁護法案とほぼ同様である。

人権委員会設置法案は「人権擁護の基本原則」として、人権侵害行為と識別情報の摘示を禁じた。すなわち、委員会設置法案2条1項では「何人も、特定の者に対し、不当な差別、虐待その他の人権を違法に侵害する行為(人権侵害行為)をしてはならない。」と定め、同条2項では「何人も、人種、民族、信条、性別、社会的身分(出生により決定される社会的な地位をいう。)、門地、障害(身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害をいう。)、疾病又は性的指向についての共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として政治的、経済的又は社会的関係における不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為をしてはならない。」と定めた。

人権擁護法案では、まず2条で「人権侵害」などいくつかの用語を定義した上で、3条で「人権侵害等の禁止」を定めたため、広汎な行為が「人権侵害」に含まれ、その意味も曖昧なために分かりにくい条文構成となっていた。

人権委員会

人権委員会設置法案4条は、国家行政組織法3条2項の規定に基づいて、法務省の外局として、合議制の機関である人権委員会の設置を定めた。いわゆる三条委員会である。人権委員会は委員長1名と委員4名の計5名で組織され(設置法案8条1項)、委員長及び委員は衆参両院の同意を得て内閣総理大臣に任命されること(設置法案9条1項)、任期は3年で再任されうること(設置法案10条1項2項)、独立してその職権を行うこと(設置法案7条)、任意に罷免されず身分保障があること(設置法案11条)など、その大要は人権擁護法案と同様である。人権委員会の法的性格について、人権擁護法案では法務省の外局ではあるものの「法務大臣の所轄に属する」と定められていたのに対して、人権委員会設置法案では単に「法務省の外局」と定めた。「所轄に属する」または「所轄の下に」置く機関は、単なる外局よりも独立性が高い。

人権委員会は、「人権侵害行為により発生し、又は発生するおそれのある被害の適正かつ迅速な救済又はその実効的な予防を図るとともに、人権尊重の理念を普及させ、及びこれに関する理解を深めるための啓発を行うこと」を任務とすると定めた(設置法案5条)。この任務規定は、人権擁護法案では「第一条の目的を達成することを任務とする」と定めていた(擁護法案5条1項)。

このほか、人権委員会の所掌事務として「人権侵害行為による被害の救済及び予防に関すること。」、「人権啓発及び民間における人権擁護運動の支援に関すること。」、「人権擁護委員の委嘱、養成及び活動の充実に関すること。」、国際協力、調査及び研究、法律に基づき人権委員会に属させられた事務などを定めた(設置法案6条)。所掌事務は、調査及び研究を定めたことを除き、人権擁護法案と違いはない。

人権委員会の委員長及び委員の服務等については、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならず、その職を退いた後も同様としたこと、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならないこと、無許可で報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならないことなど(設置法案13条)、人権擁護法案と同様である。また、会議の方法、事務局の設置、法務局・地方法務局への事務委任、公聴会の開催、職務遂行の結果の公表、国会に対する報告、内閣総理大臣等又は国会に対する意見の提出など(設置法案14条ないし19条)、すべて人権擁護法案と同様である。ただ、人権擁護法案で定められた、人権委員会の地方事務所の規定(擁護法案16条)については、人権委員会案では定められていない。

人権救済手続

人権委員会は、人権相談に応ずるものとした(設置法案20条1項)。この点は人権擁護法案と同様である。人権擁護法案との違いは、相談を受けた場合において、「当該相談に係る事件の実情に即した解決を図るのにふさわしい他の手続を行う機関があると認めるときは、当該相談をした者に対し、当該手続に関する情報を提供するものとする。」と具体的に定めた点にある(設置法案20条2項)。

人権委員会設置法案・人権擁護法案とも、「何人も、人権侵害行為による被害を受け、又は受けるおそれがあるときは、人権委員会に対し、その旨を申し出て、当該被害の救済又は予防を図るため適当な措置を講ずべきことを求めることができる。」として、救済手続の開始を定め(設置法案21条1項)、人権委員会の職権による救済手続の開始を定めた(設置法案20条4項)。両法案の違いは、人権擁護法案では、人権委員会が救済申出を受けた場合の調査義務・措置義務を定め、例外として「当該事件がその性質上これを行うのに適当でないと認めるとき」、「当該申出が行為の日から一年を経過した事件に係るものであるとき」を挙げたのに対して、人権委員会設置法案では「人権委員会は、第一項の規定による申出があった場合において、相当と認めるときは、次節に定めるところにより、遅滞なく必要な調査をし、適当な措置を講ずるものとする。」として、まず人権委員会による相当性の判断権限を定めた(設置法案20条3項)。また、人権委員会設置法案には、「前項の規定による申出をする者は、他の者の権利利益を害することのないように留意しなければならず、かつ、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用してはならない。」として、申出者の手続濫用避止義務を定めた(設置法案20条2項)。

人権委員会設置法案では、人権委員会は人権侵害行為の申出者に対し、必要な助言、関係行政機関又は関係のある公私の団体への紹介その他の援助をすること、関係者と申出者等との間の関係を調整することのほか(設置法案24条1項)、人権侵害行為が認められた場合には、人権侵害行為をした者に対し、その行為についての反省を促すため、事理を説示すること、その行為をやめるべきこと又はその行為若しくはこれと同様の行為を将来行わないことその他被害の救済又は予防に必要な措置をとるべきことについて勧告をすること、関係行政機関に対し、人権侵害行為の事実を通告すること、犯罪に該当すると思料される人権侵害行為の事実について告発をすること、当該人権侵害行為をした者以外の者であって、人権侵害行為による被害の救済又は予防について、法令、契約その他の事由により実効的な措置をとることができる者に対し、必要な措置をとることを要請することなどの措置を講じることが出来ると定めた(設置法案24条2項)。また、公務員がその職務を行うについて人権侵害行為を行ったと認める場合に限って、その所属する機関に対して、その行為をやめさせるべきこと又はその行為若しくはこれと同様の行為を将来行わせないことその他被害の救済又は予防に必要な措置をとるべきことについて勧告をすること、勧告を受けた機関等が、正当な理由がなく当該勧告に係る措置をとらなかったときは、その旨を公表すること、資料の閲覧及び謄抄本の交付などを定めた(設置法案25条ないし27条)。これらの措置は、人権擁護法案に定める一般救済手続と同様である。ただし、人権擁護法案では幅広く認められた「勧告の公表」が、人権委員会設置法案では、公務員の人権侵害行為があった場合に勧告を受けた機関等が、正当な理由がなく当該勧告に係る措置をとらなかったときに限られた。

人権委員会は、人権侵害行為に係る事件について、当事者から申し出がある場合には、調停委員会・仲裁委員会を設ける。調停委員会・仲裁委員会には、人権委員会が任命する人権調整委員の中から事件ごとに調停委員・仲裁委員を指名し、調停・仲裁を行わせる。この点は、人権擁護法案と同様である。

人権擁護法案と人権委員会設置法案の最も大きな違いは、人権擁護法案に定めた特別調査の規定が、人権委員会設置法案には定められなかった点である。特別調査は、人権委員会が、事件の関係者に出頭を求め、質問することや、人権侵害等に関係のある文書その他の物件の所持人に対し、その提出を求めること、人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所に立ち入り、文書その他の物件を検査し、又は関係者に質問することなどの権限を定め、正当な理由なく、これらの調査を拒んだ者に対して、30万円以下の過料に処すことで、実効性を高めた調査である。人権委員会設置法案では、任意の調査手続のみを定めている。

補則

補則には、人権相互の関係に対する配慮(設置法案44条)、関係行政機関との連携(設置法案45条)、不利益取扱いの禁止(設置法案46条)、人権委員会の規則制定権(設置法案47条)などを定めた。人権擁護法案では、連携すべき機関について「関係のある公私の団体」を挙げ、人権委員会が当事者または参加人となる訴訟について国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律6条に定める法務大臣の指揮の適用除外とすることなどを定めたが、人権委員会設置法案ではいずれも定められていない。

罰則

罰則には、人権委員会の委員長及び委員(かつて委員長または委員であった者を含む)が、職務上知ることができた秘密を漏らした場合に、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処することのみを定めた(設置法案48条)。

人権擁護法案にあった、特別調査における人権委員会による出頭要請の拒否、文書等提出の拒否、立入検査の拒否などに対して、30万円以下の過料に処す旨の規定は、人権委員会設置法案には定められていない。人権委員会設置法案には、これらの特別調査の定めがないためである。

人権擁護委員法の一部改正

人権委員会設置法案とは別に、現行の人権擁護委員法の一部改正法案の内容も同時に閣議決定されている。

現行法との違いは、人権擁護委員に関わる事務を法務大臣・法務省が取り扱うとしていたことから人権委員会が取り扱うとしたこと、人権擁護委員への委嘱を法務大臣から人権委員会としたこと、人権擁護委員の推薦適格者を具体的に列挙していた点を「人権擁護について理解のある者」としたこと、市町村長の推薦によらず人権委員会が人権擁護委員を委嘱する特例委嘱制度を創設したこと、人権擁護委員を非常勤の国家公務員(給与は不支給)として国家公務員法が適用されるとしたこと、人権擁護委員協議会等に事務局を設置するとしたことなどである。
改正人権擁護委員法案では、人権擁護委員を非常勤の国家公務員とし(改正法案7条3項)、国家公務員法が適用される(現行法5条の削除)としたため、現行の人権擁護委員法にある欠格条項(現行法7条)は削除されている。国家公務員法38条には、削除されたものとほぼ同内容の欠格条項があり、これが改正案の人権擁護委員には適用される。
人権擁護法案との違いは、従来通り「当該市町村の議会の議員の選挙権を有する住民」のうちから市町村長が推薦するとしたため、人権擁護委員は日本国籍を有する者のみに委嘱される点である(改正法案5条3項、同条6項・3項)。

法案に対する反対意見、危険性の指摘

2006年時点で当時の人権擁護法案に対して衆院議員の城内実は、月刊BAN(番)誌上の対談「人権擁護法案の危険性」にて以下のような問題点を指摘している。
人権委員会が、裁判所の令状もなしに立入検査や物件提出要求を行う事ができ、警察を上回る権力を持つ。
人権侵害の定義が曖昧で恣意的な運用が可能である。
人権擁護委員の選定基準に国籍条項が無く、日本国籍を持たない在日韓国人・朝鮮人を人権擁護委員に選任することが可能である。
人権擁護委員が弁護士会やバウネットジャパン、朝鮮総連など党派イデオロギーをもった団体によって構成されるおそれがある。

2012年、人権侵害救済法案および人権委員会設置法案等に対しては下記のような問題点の指摘が行われている。

従来の人権擁護委員にはない強い権限を付与する同法案には「人権侵害の定義が曖昧で、拡大解釈をされて言論統制につながりかねない」との批判が保守層を中心に根強く、他国で差別表現に対する糾弾を通じて、表現の委縮や言葉狩りが広がった経緯から、法律で規制をかけることへの懸念は学者、文化人からも出されている。

2012年9月1日、産経新聞は、法務省外局に作られる人権委員会は独立性が高くコントロールできる大臣がいない。偏った人物が委員長に選ばれれば、すべての市町村に配置される委員会直属の人権擁護委員が「どこかに差別はないか」とウの目タカの目で見回る監視社会になりかねない。特に問題なのは、委員会が「深刻な人権侵害」と認定すれば、勧告のみならず警察や検察ばりに出頭要請や立ち入り検査もできるようになることであり、何よりも救済対象となる「不当な差別、虐待」の定義が曖昧である。などの問題点を指摘した(ただし、人権委員会設置法案には、人権擁護法案にあった出頭要請などの規定はない)。

また、現自民党総裁の安倍晋三は法案について、「大切な言論の自由の弾圧につながる」と懸念を表明した。 しかしながら2012年の衆議院選挙の自民党の公約では民主案に反対した上で別の法案を出すと明記してある。

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