キリストに妻がいた可能性を示す文献が発見されたという
18日ロイターの記事によると、エジプトかシリアで発見されたと考えられている、名刺サイズのコプト語(古代エジプト語)で書かれた文献に、「イエスは彼らに言った。『私の妻は』」などと記されているという。
発表したのは、カレン・L・キングで、当ブログにおける過去記事で採り上げたことのある、アメリカのハーバード大学神学部・古代キリスト教史の教授。『マグダラのマリアによる福音書』研究の世界的第一人者だ。
キング教授は、発見された文献について、キリストが結婚していたことの証明とはならないとした上で、初期の信者の一部がキリストに妻がいたと信じていたことを示す初の証拠となるものだとの見解を表明したという。
わたしはマグダラのマリアを東西の思想を一つにするミッシング・リンクと位置付け、マリアに関する古文書から導き出される人物像を芸術的に造形化して、児童文学作品『不思議な接着剤』に登場させる予定で、この方面のリサーチを続けてきた〔カテゴリー「Notes:不思議な接着剤」参照〕。
イエスは福音書の中でしばしばラビと呼ばれ、ラビは結婚していることが普通であったそうだから、その観点からすれば、イエスが結婚していたとしても何ら不思議なことではない。
イエスの教えのすばらしさを純粋に享受するためには、初期キリスト教の文献が一度、正統派キリスト教の呪縛から完全に解き放たれる必要があると思う。
また、イエスのオリジナルとされてきた言葉にも引用があるのかどうか、引用があるとしたらそれはどこから、どのようになされたのかなどといったことも、人類の思想の歩みを知るためには、今後、研究されていくべきではないだろうか?
いずれにしても、今回のキング教授の発表は興味深いものだと思う。
※当ブログにおける関連記事
- 2012年10月3日 (水)
「イエスの妻」文献を否定するバチカンの公式見解(=公式願望表明)
https://elder.tea-nifty.com/blog/2012/10/post-6977.html
ライン以下に、ネットニュースからの記事をクリップした。
2017年12月11日に追記:
執筆中の拙児童小説『不思議な接着剤』にはグノーシス主義の福音書文書の一つ 『マリアによる福音書』に登場するマグダラのマリアをモデルとした人物を登場させるため、マグダラのマリアについて自分なりに調べてきた。マグダラのマリアを調べるということは原始キリスト教、グノーシス主義について調べるということでもあった。そうした中から、中世ヨーロッパにおいてカトリック教会により異端とされたカタリ派が、前掲 『マリアによる福音書』中イエスの最高の弟子として描かれたマグダラのマリアの教えを伝えていた可能性が浮かび上がってきた……
拙ブログ「マダムNの神秘主義的エッセー」で公開中の記事「49 絵画に見る様々なマグダラのマリア」を参照されたい。ユリ・ストヤノフの発見に関する部分を以下に引用しておく。
マイケル・ベイジェント&リチャード・リー&ヘンリー・リンカーン(林和彦訳)『レンヌ=ル=シャトーの謎――イエスの血脈と聖杯伝説――』(柏書房、1997)の《1996年版のあとがき》に次のような記述がある。
ユリ・ストヤノフは、著書『ヨーロッパ異端の源流』の調査中に尋常でない刺激的な文書を入手した。この文書は、とくにラングドッグ地方のカタリ派思想について詳しく解説したものである。この文書はおそらく司祭のカトリック作家が編纂したもので、彼はカタリ派の上層部に入りこみ、新入会員の教育の場に出席した。この場で、危険な秘密が将来の「完徳者」に伝授されたらしい。この文書からユリ・ストヤノフは、カタリ派ではイエスとマグダラがまさに結婚していたことが、ひそかに教えられていることを発見した(Stoyanov,Y., The hidden Tradition in Europe, London, 1994, pp 223-23)。
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☆キリストに妻いた可能性示す文献発見か、論争再燃も
2012年 09月 19日 16:15 JST
[ボストン 18日 ロイター]イエス・キリストが妻について語ったと記されている文献が発見され、キリストに妻がいたかどうかをめぐる論争が再燃しそうだ。ローマで開かれた学会で、米ハーバード大学のカレン・キング教授が18日発表した。
名刺サイズの同文献は4世紀のものとみられ、古代エジプト語(コプト語)で「イエスは彼らに言った。『私の妻は』」などと書かれていた。
匿名の所有者が同文献をキング教授に持ち込み、解読を依頼した。エジプトもしくはシリアで発見されたものと考えられている。キング教授は同文献について、キリストが結婚していたことの証明にはならないとした上で、「初期の信者の一部が、キリストに妻がいたと信じていたことを示す初の証拠」と指摘した。
キリストに妻がいたかどうかをめぐる論争は以前から度々起きているが、2003年に発表された小説「ダ・ヴィンチ・コード」は、イエスが売春婦とされるマグダラのマリアとの間に子どもがいたとするストーリーを展開し、多くのキリスト教信者の怒りを買った。
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