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2012年7月23日 (月)

福島第一原発の工事で、下請け会社の役員が被曝量を低く偽装

 21日付朝日新聞朝刊によると、東京電力が発注した福島第一原発の工事で、昨年12月、下請け会社「ビルドアップ」の役員が被曝線量を少なく見せかけるため、作業員に鉛のカバーで放射線の線量計を覆うように指示していたという。

 ビルドアップというのは、福島県の中堅建設会社だそうだ。以下は新聞記事中、市田隆氏による記事後半部より引用。

事故後の福島第一で放射線を浴びた作業員は今年5月までに約2万2千人。東電の集計によると、平均の被曝線量は東電社員の方が高いが、人数では8割以上が社員以外だ。
 今回の問題の深さは、原発に依存した労働構造にもある。下請け会社の役員は、線量限度を超えれば仕事がなくなると繰り返し訴えた。末端の労働者に被曝隠しを強いるのは論外の行為だが、地域経済に金を落としてきた原発での仕事に頼らざるを得ない人が多い現実を物語っている。
 この中で、発注者の東電の役割は重要だ。元請け会社任せにせず、率先して安全管理を厳しくしない限り問題解決はない。再発防止がかけ声だけで終われば信頼回復はあり得ず、原発再稼動を訴える資格もない。

 昨年3月に福島第一原発3号機のタービン建屋で電源復旧作業中だった3人が汚染水に浸かって被曝(そのうち2人は長靴を履いていず、くるぶしまで汚染水に浸かった)、病院に運ばれ、退院したと報じられた。その後、3人の健康状態はどうなのか。ずっと気になっているのだが、ネットでリサーチしたところで、確かなことはわからない。労働基準法違反に当たる18歳未満の就労も見つかっている。

 原発作業員の安全をないがしろにしたニュースに接するたび、絶望的な気持ちにさせられる。だが、脱原発デモのニュースなど観ると、よけいに気が滅入ってしまう。

 若い人々であればともかく、年齢がいっているのに、福島第一原発の事故で初めて原発問題を知ったなどという、あまりに無知な、基本的に自分のメリットにしか関心のないような近視眼の人々がどれほどの人数デモに加わったところで、集団ヒステリーの原因になるくらいのことしか招くまい。以前から地道な活動を続けて来た、信頼に値する人々の割合は、如何ほどだろうか。

 エネルギー問題は行き詰っているように見える。再生エネルギーは到底主力とはなりえない。火力発電への依存が大きく高まった結果、2011年度の輸入量はLNG(液化天然ガス)輸入が大幅増加したという。石油は、中東情勢の影響で原油価格が高騰し、輸入量は前年より減ったが、輸入額は増加。そして、財務省が4月19日に発表した「貿易統計(速報)」によれば、2011年度のわが国の貿易赤字は過去最大の赤字を記録したという。日本経済は本当に厳しい状況下にあるのだ。

 日本経済の厳しさを、庶民の一人として、昨年の夏、定年退職した夫と共に嫌というほど味わった。夫の窮状がわかっていながら、病人で、働けそうにわたしの心情としてはもう神頼みしかないと思うところまでいき、(気分転換も兼ねて)産土にある祐徳稲荷神社の萬子媛にお願いに行ったほどだった。

 とにかく、多くの資格や経験を求める癖に、その給料ではとても暮してはいけないような求人ばかりが目についた。ハローワークではなぜか、公的機関からの求人はすぐに引込められる傾向にあった。尤も、定年後の夫は年齢だけでアウトという場合が多かった。よく求人を出してくる、何とか雇って貰えそうなところといえば、ブラック企業――という現実があった。

 ブラック企業とわかっていながら、ホームレスになるよりはましだと思って入社を決める人々も、今は多いことだろう。前掲の記事に出てきた下請け会社は、いわゆるそうした企業のうちの1社ということだ。求職活動の過酷さは、日本経済の落ち込みをそのまま映し出しているように思えた。

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