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2012年5月18日 (金)

そのうち読みたい本

 今は時間がとれないが、そのうち図書館から借りて読みたい本。

 野上弥生子の小説は、わたしには単調に感じられて眠くなってしまうのだが、エッセーはすこぶる面白い。大正から昭和にかけて活躍した女性作家に共通する、思想の徹った骨太な骨格、豊麗なまでの教養、ユーモアも散りばめられているとなると、眠くなるどころではないのだ。

 そんな野上弥生子が哲学に関心を示し、学んでいたとしても不思議な話ではないが、田辺元と野上弥生子というのはわたしには意外な組み合わせだった。そればかりか、ウィキに、ふたりは密かな恋愛関係にあったと書かれているではないか。何とも知性度の高い恋愛……。

 借りてきた。
  田辺元と野上弥生子は同年の1885年生まれ。北軽井沢大学村に野上夫妻の別荘があり、田辺夫妻の山荘があってのちに永住。弥生子と田辺夫人は近所付き合いがあった。主人の元を弥生子は気難しい癇癪持ちの人として敬遠していた。田辺夫人の死後(既に野上豊一郎は亡くなっている)、弥生子が妻を亡くした田辺元を慰めるという形で文通が始まった。このとき共に66歳。弥生子は元を先生と呼び、元は弥生子を奥様と呼んだ。まだ読むのはこれからだが、何かとてつもなく美しい。

  わたしは、妻として瑕のない人生を送りたいと望んでいたが(人間としては瑕の全くない人生など、とても無理だろうから)、それは永久に叶わないものとなってしまった。夫のせいばかりではない。そもそも、女性としての出発点からセクシュアルハラスメントに遭うなどして損なわれていたことを思う。
 女としても妻としても瑕だらけの現在である。弥生子が心底羨ましい。そして、彼らの書簡を憧れを籠めて読む。このような美しさに触れることができるのは、文学のお蔭だと感謝の気持ちでいっぱいになる。

 ユング。大学時代から心理学者としてのユングに、というよりユングの神秘主義者としての側面に惹かれて読んでいた。河合隼雄はユング派の心理学者だそうだが、河合のような恣意的なところはユングにはない。このコレクションは全部読んでみたくなる。特に『子どもの夢』。

 シモーヌ・ヴェイユの初期論集。書店で見つけて以来、読みたくてたまらないが、図書館の蔵書検索ではヒットしなかった。書店でパラパラとめくってみたところでは、これまでは伝記で断片的にしかお目にかかれなかった学校時代の作文・論文なども収録されているようだ。

 『図説パリ魔界伝説』だなんて、面白そう。これは図書館にあるが、借りている人がいた。返却されたら、借りて読もう。

内容(「BOOK」データベースより)
ノートル=ダム大聖堂と錬金術、サン=メリ教会とテンプル騎士団、パレ=ロワイヤルとフリーメイソン。魔都パリの12のスポットを歩く理解を助ける豊富なイラストとコラム付。

 

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