女友達のありがたみ。夫と散歩。
クールな女友達が深みを増し、何だか母親に会っているみたいな温かみを感じた。
考えてみれば、大学時代に知り合ったわたしたちは、その頃のわたしたちの母親より年輪を重ねているのだった。
瞳に宿る何ともいえない柔らかな光、考え深い表情、目から顔全体へと穏やかにひろがる微笑……女友達はとても魅力的になっていた。
互いに大学生くらいの精神年齢になったり、母親らしい感じになったりしながら、おしゃべりした。
夫に関する問題で、もしわたしの立場であればどうするか、尋ねてみたが、この年齢になってくると、それは離婚しかないわね、という女友達はまだ1人もいない。
これが三十代、四十代であれば、友人たちの回答は違っていたかもしれないと思う。それだけ、性的なことよりも他の要素を重要視するようになったということかもしれない。この年齢ともなれば、男の生理についても知り尽くしているわけだ。
それでもわたしは思い出すと、頭に血が上るのだが、女友達と話しているうちに冷静になり、いくらか笑い飛ばせる気持ちにもなった。
彼女のチークとストールが濃いローズ色で抜群に似合っていた。上着の白やアクセサリーのシルバーともよく調和して、彼女を引き立てていた。
「そのチーク、凄く似合ってる。どうしたの?」と訊くと、カラーコーディネーターから色彩診断とアドバイスを受けたのだという。3,000円だったそう。
ノーメイクの状態で、腕の内側の色も参考にして、その人の色のタイプを春夏秋冬に分類するのだそうだ。彼女は冬。原色やはっきりとした色が似合うのだという。それまでよく使っていた茶色は合わないことがわかったとか。
わたしの場合は夏ではないかという彼女の想像だが、専門家が診断すれば違うかもしれないらしい。
首周りに似合う色を配することが、ファッションセンスをよくするコツだとか。仮に、その下部のほうで失敗があったとしても、顔に近い部分でしっかりとした印象をつくっておけば、OKということらしい。
カラーコーディネートといえば、夫が今興味を持っている。インテリアやイラストなどとの関連からの興味だが、以前からの興味が最近強くなったという感じだ。
わたしはオーラとの関連から色彩に興味がある。世間に流布しているオーラの本は嘘臭い。わたしにわかる範囲のオーラに関するエッセーなども、そのうち電子書籍にしたいと考えている。
女友達とランチのあと、雑貨店など見、ソフトクリームを食べて子供たちや共通の友人たちの話をして別れた。
遊びついでに、休日の夫と港近くのレストランで夕飯をとった。大きな窓から海が見える、とても感じのよいお店。娘は仕事仲間と映画のあと食事をしてくる予定だった。
着いたときはまだ明るく、「さんふらわあ ぱーる号」がはっきりと見えた。
食事はおいしかったが、ご飯の量が男性には少ないかもしれない。ケーキを半分こした。
夫が注文したのは、鶏南蛮・ハンバーグ・ウィンナーのミックスグリルⅡ。
わたしはミラノ風カツレツ。ナイフを入れると、チーズがとろりと出てくる。これ、今度家で作ってみようかな。
そして、食事のあと、遊歩道を夫の腕に手を絡ませて、暗くなった海を見ながらブラブラ歩いた。嬉しそうな夫の様子に、彼はこんな時間を切ないくらい求めていたのだと改めて感じた。母親でも妻でも物書きでもない、恋人としてのわたしを求めていたらしい。
だとすれば、夫には残酷な年月だったろう。夫はこうしたことでは受け身の人間なのに、わたしは自分の時間がほしいばかりに、夫が必要に応じて自分からそれを求めてくるだろうと決め込み、夫の不満を見て見ぬふりをしていたところがあった。ベッドインにしても例外ではなかった。
散歩もベッドインも気持ちが合えば、これほど幸せな気分にしてくれるものはなかなかない……ということをわたしは忘れていたけれど、このことは故意にというわけではなかった。
幸せな散歩をしたというだけで、朝とは何という気持ちの違いだろう!
そういえば、女友達と、閉経近い避妊についての話になった。閉経が確認できるまでは避妊は必要だという結論になった。
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