創作、電子書籍、また神智学に関すること。
夫の再就職から、何となく、おさんどんに追われています。児童文学作品『An』にミューズからインスピレーションを賜り(?)、ストーリーを書き留めようとした矢先の出来事でしたので、そちらは振り出しに戻った恰好です。
でも、わたしには創作で稼ぐ力がないので、定年後も懸命に職探しをし、働いてくれている夫の後方部隊として家事を最優先しないわけにはいきません。
振り出しに戻ったところで、創作に入る前にパブーの電子書籍サービスを利用して、『卑弥呼をめぐる私的考察』『すみれ色の帽子』を公開しておこうと思い、昨夜、作業にかかったままではいいのですが、すっかり夜更かししてしまいました。
といっても、『卑弥呼』の表紙とキャッチフレーズを考えるだけで疲労困憊し、本文は1/3ほど収録が終わっただけ。結構大変なので、これはお試しに有料販売してみようかと考えています。300円くらい?
また、『すみれ』は後回しにして、当ブログに掲載予定だった、昔書いた純文学小説――怪異譚としても読める――『茜の帳』を『卑弥呼』に続いて電子書籍にする計画です。付録として、2編のエッセー『萬子媛抄』『祐徳稲神社にて』を収録します。
『茜の帳』は習作なので、これは無料販売。どなたにも自由に閲覧していただきたいです。
電子書籍も、作品の収録が中断しているホームページやほとんど会員登録しただけの「作品発表広場」同様、しばらくしたら投げ出すかもしれませんが、作品置き場としてはいいんじゃないかしら。栞を挟めるなど、閲覧者にも親切な仕様となっていますものね。
オリジナルの表紙をつけたいと思い、写真をダウンロードしてみたりしましたが、本に合うようなものが見つかりません。パブーのテンプレートに帯付きのものがあったので、その中から選び、以下のようなキャッチフレーズをつけてみました。
卑弥呼及び邪馬台国の謎に、長年の神秘主義研究を生かした独特の観点から迫る、ノーブル感のあるエッセー。
そういえば、当ブログで個人的に時々触れてきた神智学に関することですが、わたしが会員となっている神智学協会ニッポン・ロッジ[http://www.theosophyjp.net/society1.html]で電子書籍化の計画があるようです。ブラヴァツキーが著わした歴史的偉業といえる『シークレット・ドクトリン 宇宙発生論(上)』『神智学の鍵』などが絶版のない電子書籍になることには大賛成です。
コリン・ウィルソンなどから偏向した人物紹介がなされてきて、ブラヴァツキーの品性や業績はずいぶん貶められてきたのではないでしょうか。そうした紹介では、ブラヴァツキーは霊媒以上でも以下でもないような人物紹介のなされていることが多々あります。
ブラヴァツキーは世界を旅した人ですが、彼女が滞在した当時のニューヨークは、ハワード・マーフェット『近代オカルティズムの母 H・P・ブラヴァツキー夫人』(田中恵美子訳、昭和56年、神智学協会ニッポンロッジ)によると、まだ以下のような状態でした。
[引用ここから]…
1873年には、ニュー ヨークにはトリニティ教会以外には高層建築はありませんでした。今の二番街と三番街の間の岩場には、開拓者達の小屋があってその間を山羊が歩きまわっていました。
…[引用ここまで]
ブラヴァツキーは《秘められた叡智》を求めて、中東、アメリカ、南米、アジア全域を遍歴しました。ちくま学芸文庫から『インド幻想紀行』(加藤大典訳、2003年)が上梓されています。日本にも来て、知恩院の僧侶と山伏の登場する『不思議な人生』という神秘主義小説を書いています。『シークレット・ドクトリン 宇宙発生論(上)』には、『日本書紀』からの引用がありますが、ブラヴァツキーは日本の風土を知っていたというわけです。
ヨーロッパやアメリカで降霊会が流行っていた時代、ブラヴァツキーは心霊現象についても徹底した調査や研究を行いました。
そうした側面ばかりが強調されるのは、全く腑に落ちません。古代の科学、宗教、哲学に関する研究においても彼女は徹底した側面を見せているにもかかわらず、彼女のそうした側面の果実である渾身の諸著作に対してはお茶を濁すというのでは、大衆週刊誌と変わりありません。
「宇宙と自然と人間の物質的、サイキック的、メンタル的及び霊的な秘密を研究する科学」という意味合いを持つオカルティズムという用語は、現代ではすっかり貶められている気がします。
オカルティズムの研究者は昔はキリスト教によって魔女と蔑まれ、現代でも様々な軽蔑のされかたをしていますが、魔女の起源を辿ればどうしたって南仏の異端カタリ派に行き着きます。さらにはそこから、東西の叡智が流れ込んでいたエッセネ派(ブラヴァツキーによると、エッセネ派とはピュタゴラス派です)、エッセネ派と関係したイエス・キリスト、そしてイエスの教えの真の継承者であると思われるマグダラのマリアへと遡ることができるのです。
わたしは、『不思議な接着剤』という書きかけの児童文学作品で、その流れを追っているつもりです。で、『接着剤』が完成もしないうちに、古代の地中海世界を探る『A』(仮題)、天使と悪魔の戦いに焦点を当てた『An』(仮題)に発展しようとしています。
『An』(仮題)は、恐竜の時代に遡る完全なファンタジーとなりそうですけれど。ミイラとりがミイラになってみるのも悪くないかもしれません[カテゴリー「瀕死の児童文学界」参照]。
ブラヴァツキーから話が逸れましたが、『不思議な接着剤』のために、原始キリスト教、グノーシス関係をリサーチするとき、わたしはブラヴァツキーの著作ほど信頼できる文献は少ないとわかりました[カテゴリー「Notes:不思議な接着剤」参照]。彼女の著作を霊媒のお筆先のようなものだと勘違いしているかのような表現にも、よく出合いますが、とんでもない話です。
彼女の代表作『シークレット・ドクトリン 宇宙発生論(上)』にしても、『神智学の鍵』にしても、引用の仕方、解釈の仕方、論の拡げ方、どれをとっても第一級の論文なのですから。彼女は参考文献の出自を明らかにしながら、文献同士の関係を探っているばかりか、世界旅行を通してそれらが書かれた風土まで肌で知っているのです。
神智学協会ニッポン・ロッジでは、会員に向けて神智学の集いの主催者が募集されています。『シークレット・ドクトリン 宇宙発生論(上)』『神智学の鍵』が電子書籍になった頃にでも、集いが持てるようになれればなあと思います。
新婚の頃(30年ほども前の話になります)、まだその頃は故田中会長がご存命で、神智学協会ニッポン・ロッジは竜王会の内部にありました。わたしは竜王会の会員でしたが、まだ神智学協会ニッポン・ロッジには入っていませんでした。
神智学のイロハのイも知らない段階でしたが、仲間ができたので、博多で集会を持ちたいと思い、わたしよりは詳しい、イロハのイくらいは知っている会員に進行役を頼んで会長に許可を求めました。
会長は懸念がおありのようでした。事実、集会は放恣に流れ、空中分解してしまいました。同じことになってはまずいので、東京の集会にも出席し、よほど勉強しなくては……。オフィシャルブログができたのは地方の会員にとってありがたい……。
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