息子の事情。わたしの電子本のこと。
昨日、息子とあれこれ話し、息子がポスドク(任期付きの博士研究員)志望をやめ、会社に留まることにした理由を詳しく聞きました。
一つは息子の研究している分野は狭く、研究者が少ない上に、コンピュータがありさえすればよく、従ってほとんど人手を必要とせず、雇用の創出力に乏しいというところがあるようです。
多くの装置を扱い、多くの人手が要る研究では、「技官として食っていくこともできるよ」と息子。
息子の研究分野ではそうした職も望めず(仮に海外に渡ったところで、事情は変わらない)、何より、当てにしていたS…という大きな研究所では研究員の人員削減に踏み切り、息子の研究分野の部署も取り壊された――という話は、前に聞いていました。
また、ストレートに博士課程に進まずに修士課程を終えた段階で一旦就職したことから研究にブランクが生じ、本来は実力が上がらなくてはならないところなのに、むしろ低下。
ポスドクとしてやっていくには、実力不足を感じるそう。尤も、研究に専念するだけの充分な時間が持てれば、実力を取り戻せるだろうが、それに必要な潤沢な生活資金がない……。
加えて、会社で一旦潰れた部署が復活の兆しで、企業だから、いわゆる研究所でする研究とは違うところがあるが、息子の研究とは関係があるそうです。
会社をやめるつもりで辞表を出したとき、会社は辞表を受け取りたがらず、復活の兆しのある部署へ希望すれば異動させてくれるといい、今回の休暇をくれ、またその頃S…研究所のことがわかったということもあって、会社に留まることにしたとのことでした。
ネットで評判を呼んでいる作者不明の創作童話『博士が100人いる村』を、リアルに感じさせる話を息子から聞きました。
知っているポスドクをしていた3人の先輩のうち1人は――その人は息子と入れ違いだったため、顔を見たことがあった程度だそうですが――自殺(尤も、在学中から鬱病の傾向があったとか)。
残る2人の先輩は、S…研究所でポスドクをしていた先輩とも、旧帝大研究所でポスドクをしていた先輩とも、彼らの任期が切れてから音信不通になってしまったとか。再就職口を見つけるのに、大変なのでしょうね。
政府の『ポスドク一万人計画』が孕んでいた無計画性の犠牲になっている博士号取得者の人数は、現在までにどれくらいの多きにのぼるのでしょうか?
ググってみれば、いくらでもポスドクの《悲鳴》や《悲哀》など、窮状を訴える記事が出て来ます。
息子は、今書いている論文を仕上げれば、博士号が取れるだろうといいます。時間がなかったので、前に掲載された海外の科学雑誌よりはグレードの低い科学雑誌に載ることになるだろうけれど、とのこと。
ところで、わたしの作品を電子本にしていく計画を話したところ、息子は賛成してくれました。ただし、単行本にしたい大事な作品は、とっておいたほうがいいという意見でした。
そして、サイトでわたしの作品を閲覧してくれる人々は本来は紙の本を好む気がする、電子本を好む人々とはずれがあるのではないかともいいました。「お袋の作品は、結構敷居の高いところがあるよ。普通の人には読めないと思う」と息子。
いただくメールは大学の先生などの専門家からが多いのですが、一般の方々からもちょくちょく頂戴しますって! まあ売れるとは思っていませんけれどね。電子本は、売れなくても埃が溜まらないのは、いいですね。
連休明けにはわたしの電子本、公開したいと思っています。
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